角川文化振興財団は、4月19日に宮部みゆきさんの最新刊『ぼんぼん彩句』を発売した。5月19日より電子書籍でも配信する。

とある1冊の本との出会いから、俳句に興味を抱かれた宮部さんが、仕事仲間とともに始めた句会。3ヵ月に1度ぐらいのペースで会を開いていくうちに、「ひとつひとつの俳句の裏側にはどんな物語は潜んでいるのだろう」という思いがつのり、本作の執筆が始まったという。

  • 宮部みゆきさん

会で投句されたたくさんの句の中から宮部さんが12句を選び、宮部さんの深い洞察力と鑑賞力で生み出した繊細で彩り豊かに輝く12の物語を1冊にまとた。初めに各章タイトルでもある俳句を読み、その後に小説を、そして最後にもう一度俳句を読むと、今までの小説の読後感とはまた違った新しい発見があるという。同書の内容を一部紹介する。

1.[俳句]枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる

[小説あらすじ]寿退社後に、婚約者に裏切られ婚約を破棄されたアツコは、ある時、乗ったことのない路線バスで初めて終点まで乗車してみた。その終点には小さな丘と公園が広がっていたのだが……。孤独な女性のやり場のない想いを綴った物語。

2.[俳句]鋏利し庭の鶏頭刎ね尽くす

[小説あらすじ]16歳で亡くなった女友達のことをいまだに忘れられない夫と夫の実家の人々。いつまでも、なくなった友達に固執する家族から逃げるように離婚を決意した知花は、最後に仕返しをしようとある行動に出た……。奇妙な家族の執拗な想いと行動を描いたホラー的な物語。

3.[俳句]プレゼントコートマフラームートンブーツ

[小説あらすじ]ぬいぐるみ作りが大好きなアタル君は、その日、学級閉鎖でひとりでマンションに帰ってきていた。そこに見たこともない女性が突然現れて、アタル君に詰めよってきたのだが……。子供の視点で綴られたかわいらしいお話。

『ぼんぼん彩句』の価格は1,980円、電子版配信の開始は5月19日予定。