三井不動産は、地球規模で生物多様性への影響への配慮が経営の重要課題の一つであるという考えのもと、グループ全体で生物多様性に配慮した事業活動を行うとともに、サプライチェーンにおける生物多様性への影響に配慮するとした「三井不動産グループ生物多様性方針」を3月31日に策定した。
三井グループの事業である街づくりにおいて、生態系は守るべき存在であるというだけでなく、多様な生き物が生息する自然との共生は、街に潤いと憩いの場を提供するなど、大きな付加価値を与えている。2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30by30アライアンス」に加盟し、北海道に保有する約5,000haの森林で生物多様性に配慮した天然林の保護、人工林での持続可能な林業にも取り組んでいる。
不動産の開発や、サプライチェーンにおける建築資材の原材料となる天然資源の採取などにおいては、生態系を改変し生物多様性に影響を与えている。こうしたことから、生物多様性への影響への配慮は経営の重要課題の一つであると考え、グループ環境方針の中で生物多様性の保全を含めた環境への取り組みを幅広く統合的に推進していくために、「三井不動産グループ生物多様性方針」を策定した。
この方針で年12月に策定された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に賛同し、「自然と共生する社会」というビジョンや、「ネイチャーポジティブ」の考え方を支持している。今後は、当社グループの事業およびサプライチェーンからの生物多様性への負の影響を回避するよう努めるとともに、回避できない影響をできるだけ低減させるよう取り組み、自然資本に関するリスクと機会の開示フレームワークであるTNFDフレームワークを参考にしながら、積極的な情報開示を行う予定だ。
生物多様性への取り組み事例として、神宮外苑の再開発では、4列のイチョウ並木を保全するとともに多様な緑化を計画しており、現時点では、当地区内の樹木本数は既存の1904本から1998本へ増加し、緑の割合は約30%(現況約25%)となる予定。次の100年に向け、樹木を若い樹木に植え替えることにより、緑の循環を図る。
東京ミッドタウン日比谷では、豊かな緑との調和に配慮し、在来種をベースとした日比谷公園と同種の樹⽊などを植栽に積極的に取り⼊れ、公園の緑との一体化を図るなど、日比谷エリアの緑のネットワーク化や、鳥類などの生息空間のネットワーク化にも寄与している。外構部の植栽や屋上緑化に加え、「パークビューガーデン」(6階)「スカイガーデン」(9階)などを設置し、緑化率40%(約2,000㎡)の緑地を創出している。
NEMU RESORTでは、2012年度からは園内の約2haの沿岸部遊休地(耕作放棄地)を干潟に再生する「里山水生園」を整備し、再生後にはボラやクロダイ(チヌ)、カワセミやカモ、メダカ、カブトムシなど季節によって様々な生き物を確認している。NEMUの広大な敷地内を散策することで、普段出会うことのない生き物を見つけ、さまざまな自然に触れることで、 お客様自身が「自然環境との共生」を見つめ直す機会の提供にも努めている。
東京にある福徳神社・福徳の森では、官・民・地元が一体となった、「残しながら、蘇らせながら、創っていく」日本橋再生計画のもと、日本橋の地域コミュニティの核である「福徳神社」の社殿を再建。神社に隣接する1,000㎡超の緑豊かな広場空間「福徳の森」を整備。地元の方々や来街者の方々に憩い・賑わいの場を提供している。
ハレクラニ沖縄は2021年から、サンゴ礁地帯をはじめとした海洋環境を守る、海洋環境保全「サンゴ育成プログラム~コーラル・ナーチャリング~」を開始した。サンゴ礁と海の生き物たちの豊かなつながりや海洋環境保全のレクチャーを行っている。また、ホテル内の「ハレクラニブティック」で販売しているペットボトルを再生した原料で作られたエコバックの利益の全額を活動資金としている。