冷蔵庫は毎年さまざまな進化をしていますが、なかでも家電好きに注目されるのがアクアの冷蔵庫。海外風スタイリッシュデザインの冷蔵庫「TZシリーズ」や、冷凍食材の霜を抑制する「おいシールド冷凍」技術など、デザイン面もテクノロジー面も注目したいメーカーです。

そんなアクアから4月19日に登場したのは、冷蔵庫の新しいフラッグシップモデルとなる「TX」シリーズ。とても“アクアらしい”製品、発表会からレポートします。

日本らしい冷蔵庫のデザイン……ではない!

TXシリーズは、プレミアムモデルの「AQR-TXA50N」(370,000円前後)とスタンダードモデルの「AQR-TX51N」(330,000円前後)の2モデルを用意。両モデルともに本体サイズは幅700×奥行き667×高さ1,850mm、内容積はプレミアムモデルが501L、スタンダードが507L。500Lサイズながら奥行きは浅めに設計されており、最近の高機能冷蔵庫のトレンドでもある「奥の方の食材にも手が届きやすい」仕様です。

  • 発表会場に展示されていたTXシリーズ。プレミアムモデルの「AQR-TXA50N」(写真左2機種)とスタンダードモデルの「AQR-TX51N」(写真右2機種)があり、いずれも2色展開です

新製品の写真を見て「普通っぽいデザイン」と感じなかったでしょうか? アクアといえば、海外風デザインの「TZシリーズ」やSide by Side冷蔵庫など、日本ではあまり見ないデザインが注目されてきました。

TXシリーズもソリッドで高級感のあるデザインではありますが、上に両面フレンチドア、下に引き出し式の野菜・冷凍室というファミリー向け冷蔵庫の定番構造です。

意外に感じてAQR-TXA50Nに近づいてみると、冷蔵室のドアハンドルが青くライン状に発光。一瞬にしてアクアらしい主張が……!

  • プレミアムモデル「AQR-TXA50N」は近づくと光る「LEDステータスバー」を搭載(人感センサーで動きを検知すると発光します)。本体表面は指紋が付きにくいマットなフロストガラスで、ずっと触っていたくなるようなサラサラとした手触り。スタンダードモデルはステータスバー非搭載。本体に光沢ガラスを使用しています

このライン上に光るLED「ステータスバー」は、光の色が状態にあわせて変化します。通常時に近づくと青、節電モードで緑、半ドアだとオレンジ、製氷機の給水タンクが空だと黄色など、全7色で冷蔵庫の状態を知らせてくれます。一般的な冷蔵庫はエラーなどを音で知らせますが、鳴り終わると聞き返せないこともあり、音よりわかりやすいですね。

  • おいシールド冷凍運転モードの紫色に発光しているところ。周りが薄暗いとラインがハッキリしてデザインとしても魅力的です

プレミアムモデルはメインの冷蔵室を開くと、背面と天井が面で光るパネル照明を採用。冷蔵庫を開くと、まるでお店のショーケースのような見た目です。

一般的な冷蔵庫はメイン冷蔵室に1つのライトが配置されていることが多いものですが、TXシリーズは全室に独立したライトを配置しています。冷凍室や野菜庫はもちろん、チルド室にも独立したライト。「どの冷蔵・冷凍室も食材がしっかり見える」ことは、フードロスの削減につながるかもしれません。

  • プレミアムモデルを開いたようす。庫内奥と天面にパネル照明があるのがわかります。一般的な冷蔵庫の内部は白色が多いですが、TXシリーズは照明以外の庫内色がグレー

  • プレミアムモデル(写真左)とスタンダードモデル(写真右)の庫内を比較。スタンダードモデルは天井にのみパネル照明を採用。プレミアムモデルと比較すると下のほうが暗いですね

  • TXシリーズは全室に照明を搭載。写真は冷蔵室のチルド室を開いたところ。チルド用の照明があります

フードロス対策になるかもしれない機能としては、アクアが展開する「Delie」シリーズでおなじみの「見える野菜室」があります。いちいち野菜室を開けなくても中が見えるよう、冷蔵室下部を透明な強化処理ガラスにした構造のことです。

  • メインの冷蔵室を開くと、下の野菜室まで見える構造。野菜の見落としを減らします

個人的に気に入ったのは製氷室のデザイン。一般的な自動製氷機能付きフレンチドア冷蔵庫は、独立した製氷室を搭載しています。一方、TXシリーズは2段ある冷凍室のうち、上室左側に氷用の専用トレイがあり、ここに氷が落ちる仕様。自動製氷が必要ない場合は、箱を外せば一段すべてを冷凍室として使えます。筆者の家では冬の時期に氷を使わないので、必要ないときに広く冷凍室が使えるのはうれしい機能です。

  • 冷凍室にある「ワイドアイストレイ」はかなり大きいサイズ! 必要ないときは、トレイを外して全面を冷凍室としても使えます。引き出しが左右に分割されていないので、広くて使いやすそう

すべての庫内に「新鮮さ」を保つテクノロジー

TXシリーズはデザインだけでなく、食材の保存テクノロジーにもこだわっています。食材の保存において重要な「低温」と「高湿」に加え、温度を一定に保つ「恒温化」を重視した鮮度保持技術「ALL FRESH」を新たに搭載。

これは、アクアがこれまで専門家にも高い評価を得ていた「おいシールド冷凍」という食材を美味しく冷凍する冷凍特許技術に、新しい「W間接冷却チルド」と「うるおいエリア」を組み合わせたものです。

チルド室の新機能「W間接冷却チルド」は、チルド室の上下にアルミ板を配置し、このアルミを冷やすことで庫内を冷やすという、輻射冷却を用いた方式。一般的なチルド室は冷風を吹き付けて室内を冷やしますが、W間接冷却チルドは食材に直接風を当てないので、乾燥しにくいというメリットがあります。ちなみに、チルド室は約0~2度の通常モードに加えて、約-3~-1度の微凍モードへも切り替え可能です。

  • W間接冷却チルド

  • チルド室に7日保存したイワシ。左がW間接冷却チルド、右が非搭載製品にて保存したもの

  • こちらは10日保存した合い挽き肉。左がW間接冷却チルド、右が非搭載製品にて保存したもの。日本食品分析センターの試験では、非搭載製品で10日保存した肉は一般生菌数が6.6から8.3cfu/gと初期腐敗数値(7cfu/g)を超えていました。W間接冷却チルドで保存した肉は菌の数が6.6から6.9cfu/gとほぼ変わらず、初期腐敗数値も超えていません

野菜庫には、以前からある「鮮度保持用ツインLED」を搭載。LEDの力で光合成を促進し、エチレンガスの発生を抑制。これにより、トマトが柔らかくなったり、ジャガイモの芽が発芽したりすることを抑えます。

  • ツインLED搭載製品(写真左)と非搭載機(写真右)で80日保存したじゃがいも。LEDの力で芽が出るのを防いでくれます

さらに、新機能として「うるおいエリア」を搭載。セパレーターにより手前と奥の2エリアに分け、奥側のエリアを半密閉構造にしてアルミ板による間接冷却を取り入れたことで、奥下エリアのみ低温・高湿度の「うるおいエリア」としました。多くの野菜は乾燥によって劣化するので、うるおいエリアでは葉物野菜をはじめとした野菜が長持ちするそうです。

  • 野菜庫奥側のエリアをプラスチックの薄型トレイで塞ぐことで半密閉に。冷風を防いで「うるおいエリア」を作り出します。うるおいエリア奥にみえる格子奥のアルミ板を冷やすことで、風を使わずに間接冷却

  • 10日間保存したうるおいエリアの小松菜(写真左)と非搭載機の小松菜(写真右)。違いは一目瞭然。ビタミンC残存量もうるおいエリア保存の方が多いそうです

発表会では駆け足で製品をチェックしましたが、短い体験でもアクアらしい冷蔵庫だと感じました。デザイン、機能ともに特徴的なので、冷蔵庫を買い換える予定がある家庭は一度チェックしてみてください。