上司に何か相談がある状況で、どのように切り出せばいいか考えて、なかなか相談に踏み切れない人もいることでしょう。
本記事では、上司への相談時の切り出し方について、ポイントや注意点を解説します。メールでの切り出し方や、どこまで相談していいのかについてもまとめました。
上司に相談するときの切り出し方って?
まず、上司への相談の切り出し方について、コツや例を見ていきましょう。
相談していいかどうかの確認を取る
忙しい上司に対する配慮や、自分の話をしっかり聞いてもらうという意味でも、突然相談の内容を話し始めるのではなく、まずは相談してもいいかどうか、確認をとりましょう。
「相談したいことがあるため、今、少々お時間いただいてもよろしいでしょうか」などと切り出すことで、相手にとって都合がいいタイミングであるかどうかが分かります。
できれば「5分程度」なのか、「一時間程度」なのかなど、掛かりそうな時間の目安を伝えられるとベストです。
「5分程度であれば、今で大丈夫ですよ」であったり、「落ち着いて話したいので、今週の空いている日程で会議室とともにスケジュールを押さえてくれますか? それとも今週中だと遅すぎるかな?」であったりと、上司の人が何らかのリアクションをしてくれるはずです。
またこのとき、「○○案件のクロージングの仕方について相談があります」など、何に関する相談事なのかを具体的かつ簡潔に伝えると、上司が他の仕事との優先度を定めやすくなります。
ただしこのとき、例えば悩みの原因が人間関係であり、その人がその場にいるなど、相談内容を上司以外の人に聞かれたくないときは、この限りではありません。
「相談があり、30分程度お時間を頂きたいのですが、フリースペースでお願いできますでしょうか」などと、内容をぼかしつつ別の場所に誘導したり、後ほど説明するようにメールで相談したりするのがおすすめです。
相談内容や緊急度によって、切り出し方やタイミングを変える
緊急の相談であれば、もし上司が忙しそうにしていても、「○○の件で、急ぎの相談があります」と声を掛けることが大切です。上司がすぐに対応できるかどうかは分からないものの、後回しにすればするほど、上司や周囲の人間に迷惑を掛けてしまう恐れがあるからです。
一方で急を要さない相談は、相手の手が空いているタイミングをうかがい、話し掛けるといいでしょう。忙しくないときの方が、じっくりと話を聞いてもらえる可能性も高まります。
機密情報を含まなければ、昼休みにランチに誘って、そのときに相談するのもいいでしょう。
上司へ相談をするときの言い方・話し方のポイント
上司へ相談があると切り出した後は、具体的に相談内容を話す流れになります。どのようなポイントに気を付けて話せばいいのでしょうか。
結論から話す、状況を簡潔に分かりやすく説明する
ダラダラと話してしまうと、上司はあなたが何を言いたいのか理解できずに困ってしまいます。結論から話すことを心掛け、現状や問題点などを、簡潔に分かりやすく伝えましょう。
具体的には、「A社のプロジェクトの進行状況に関する相談事です」などと、どのような話かを真っ先に伝えます。
できれば、「A社のプロジェクトの進行状況に関する相談事なんですが、現在Bの部分でスケジュール遅延が発生していて、対策を3つ考えてきたので、アドバイスを頂けますと幸いです」のように、結論や目的、要約を端的に伝えられるといいでしょう。
その後に、相談に至った経緯や現在発生している具体的な事象、懸念点などの詳細に移ります。
また私情や感情が入り過ぎないように、事実と自分の思ったことを分けつつ、論理的に話すことも大切です。
複雑な話や上司が関わっていない案件の話などは、必要に応じて資料を用意する、手書きでもいいので図解を見せるなどして、状況が伝わりやすいように心掛けましょう。
現時点での自分の意見、方向性を伝える
発生している問題や相談内容について、現時点での自分の意見を伝えましょう。
例えば、現在進んでいる案件があって、別の先輩から案件の進め方を変えた方がいいとアドバイスされた状況を想定します。
「このように進める予定だった」「別の先輩からはこのように進めた方がいいと意見をいただいた」「私はこちらで進めた方がいいと考えている」などと伝えられると、上司が状況を理解しやすくなります。
漠然と相談するのではなく、自分の意見を伝えてそれが正しいかどうかの確認をする場と考えると、上司も答えやすく、判断も速くなることでしょう。
上司に何を求めているかを明確にする
相談の際は、上司にどのような行動を求めているのかを、明確にして伝えましょう。
具体的には、「どのようにすればいいか迷っているため意見が欲しい」「こう進めていこうと考えているため正しいかを確認してほしい」「上層部に直接話しづらいため、上司から掛け合ってほしい」などが挙げられます。
上司が、自分が何を求められているのかを理解できれば、話も入ってきやすく、次のアクションがしやすくなります。
上司へ相談をするときの注意点
上司へ相談するときの注意点は以下の通りです。
上司に丸投げするような相談の仕方は避ける
「どうすれば正解ですか?」「どう思いますか?」などのように、丸投げな相談にはならないように気を付けましょう。
問題を丸投げされた上司も、少ない情報で適切な判断を下すことは難しいですし、相談内容によっては、「自分で何も考えないとは無責任だな」と思われてしまう危険があります。
意見を求める際は、「自分はこうしようと思っていますが」「自分はこう考えているのですが」などと付け加えて、その判断が正しいかどうか聞くようにするとベストです。
結果報告とお礼を忘れない
上司に相談に乗ってもらった後は、結果報告とお礼を忘れないようにしましょう。
なかなか結果が出ない場合は、事態が進展したタイミングで報告すると、連絡が遅くならずに済みます。
報告やお礼がきちんとできると、礼儀正しい部下だと認識してもらえ、その後も気に掛けてもらいやすくなります。上司との人間関係も良好になりやすいため、相談後の報告は大切です。
できるだけ、「あの件はどうなった?」と上司から話を振られる前に、自分から報告しましょう。
もし相談中に泣いてしまったら、人目につかないところへ移動する
相談内容によっては、話しているときに感情が高ぶってしまい、泣いてしまう可能性もあります。
相談をしていて、万が一泣いてしまったときは、人目につかないところへと移動しましょう。そうすることで、周囲に余計な気を遣わせずにすみます。
ただし、上司に何も言わずに席を立つのではなく、「すみません、お手洗いに行ってきます」などと一言伝えることをおすすめします。
一人になれる主な場所は、トイレや給湯室、階段の踊り場などがあるでしょう。
泣きやんで席へ戻ってきた後は、「取り乱してしまい、ご迷惑をお掛けしました」などと言えるとベストです。
上司へ相談するときのメールでの切り出し方
直接だと伝えづらかったり、言いたいことを忘れてしまいそうだったりする場合は、対面ではなくメールで相談を切り出すことも一つの選択肢です。
ここでは、上司へ相談するときのメールでの切り出し方について解説します。
件名に相談内容を記載する
件名に、どのような相談であるか、内容を簡潔に記載しましょう。
例えば、「○○案件について相談があります」「○○プロジェクトの△△についてのご相談」などと、件名だけで判断できるとベストです。こうすることで、他のメールに埋もれて見逃してしまう可能性を減らせます。
緊急の用件であれば、「【緊急】」と件名の冒頭に記載しておくと、目に留まりやすくなり、すぐに対応してもらえる可能性が上がります。
開封してもらえるように、分かりやすい件名をつけることが大切です。
簡潔に内容を伝える
メールで相談する場合は、本文にて、できるだけ簡潔に事実を伝えることが大切です。
メールが長文になったり、複数のやり取りにわたったりすると、手間が掛かって双方の負担になるばかりか、相談の内容が分かりづらくなります。
相談の説明が長くなる、事情が複雑で長文になるような相談であれば、直接話す方がおすすめです。職場でなかなか顔を合わせない上司であれば、直接話す予定が組めるかを、メールで確認することも一つの手です。
上司に相談してもいい内容とは?
業務の進捗状況や課題についてならば、上司に相談するべきか迷う人は少ないでしょう。
しかし人間関係についてなど、「こんなことまで上司に相談してもいいのかな?」と思う事柄もあるかもしれません。ここでは、上司に相談していいか迷いがちな事柄について見ていきましょう。
人間関係
職場の人間関係に問題が発生すると、仕事に直接影響を及ぼし、支障が出やすくなります。そのため、上司への相談をためらう必要はありません。
上司は年長者であったり、社会経験が自分よりも長い人であったりする可能性が高いため、人間関係の問題解消に向けた具体的なアドバイスが期待できます。
また、チームメンバーの変更や席の配置換えなど、上司という立場を利用して解決してくれる可能性もあります。
特にパワハラ、セクハラなどに該当しそうなトラブルであれば、迷わず相談しましょう。
職場の不満
職場に対する不満も、上司に相談して大丈夫でしょう。
直属の上司であれば、普段あなたがどのような仕事を、どのように行なっているか、どのような職場環境であるのかなどを把握しているはずです。そのため、話をすぐに理解し、スムーズに対応してくれる可能性があります。
上司の役割の一つは、部下のパフォーマンス管理です。部下が思うように働けない職場環境であるならば、できるだけ改善するように動いてくれる場合がほとんどです。
ただしこのとき、ネガティブな発言、他責な発言ばかりだと、「やる気がないのかな」「わがままな人だな」などと思われてしまう危険があります。ただの文句、愚痴ではなく、困っていることと、こうだったらいいと思うという論理的な意見を伝えられるようにしましょう。
なお、雇用条件や福利厚生などに関しては、別に窓口があるならそちらへ相談してもいいでしょう。
プライベートな事柄のうち、仕事に影響がありそうな事柄
プライベートな問題に関しては上司に話す必要はなく、自分一人で対処できるような内容であれば、基本的には公私混同しない方が無難です。
ただし、仕事に影響が出る内容であれば、上司に話を通しておくことも一つの選択肢です。
例えば家族の介護の必要性が出てきた場合に、「納期の延長を打診する」「自宅勤務を依頼する」「残業時間が取りづらいため仕事量を減らしてもらう」などが挙げられます。
上司への相談の切り出し方や言い方のポイントを押さえて、スムーズな解決を
上司に相談の切り出すときは、まずは相談してもいいかの確認をすることと、緊急度によってタイミングや言い方を変えることが大切です。
また、できるだけ分かりやすく状況を説明し、上司へ何を求めているのかを明確にして、相談を受ける側の立場を考慮した相談ができるようにしましょう。