スバル「クロストレック」の販売状況が明らかになった。2022年11月に注文の受け付けを開始して以来、約5カ月で受注台数は約1.2万台に到達。ディーラーに試乗車の配備を始めた直近1カ月で台数が約3,000台も増えたそうだから、実際にクロストレックを見て触れた人たちが購入を決めたケースも多いようだ。スバルに販売状況について話を聞いた。
FWDの受注が約3割に
新型クロストレックのパワートレインは2.0Lの水平対向エンジンにモーターとバッテリーを組み合わせた「e-BOXER」(いわゆるマイルドハイブリッド車)。従来型では選べなかったFWD(前輪駆動モデル)が追加となったことも新型のトピックだ。グレードは「Touring」と「Limited」の2種類で、Limitedが装備充実の上級グレードにあたる。価格はTouringがFWD266.2万円、AWD288.2万円、LimitedがFWD306.9万円、AWD328.9万円。
4月12日に聞いたところによると、新型クロストレックの受注台数は約1.2万台。月間販売目標は2,600台、注文を取り始めてからは約5カ月だから、ほぼ想定通りに売れているようだ。グレードの内訳はLimitedが75%、Touringが25%、駆動方式の割合はAWDが72%、FWDが28%。納車は2023年3月に始まっている。
FWDが全体の約3割という受注内訳をどう考えればいいのか。スバルに聞くと、「CセグメントのSUVに興味を持ち、どのクルマにしようかと考えるお客様の中には、(従来型のXVには)AWDしかないということで、最初からスバルを選択肢から外してしまわれる方も一定数いらっしゃいました」とのこと。新型クロストレックにFWDを設定したことにより、これまでであればほかのメーカーに流れてしまっていた顧客を獲得できたのではないかと手ごたえを得ているようだ。
見た目が好きだからとか、流行しているからという理由でSUVに関心を持つ人のなかには、クルマの使い方として「AWDである必要はない」と考える人が相当数いるはず。荷物がたくさん積めて多人数で乗ってもゆとりがあるところは評価するが、アウトドアの趣味もないし、雪道を走ることもないので、駆動方式はFWDで十分という人たちだ。彼らを取り込むうえで、スバルのSUVラインアップの中ではサイズも価格も手ごろなクロストレックにFWDを設定したのは効果的だったのではないだろうか。スバル 商品企画本部の刀祢友久さんは「SUVのFWDで、どこまで四駆の走りに近づけられるかというのが、今回のチャレンジでもありました」と話していた。