東武鉄道は15・16日に新型特急車両N100系「スペーシアX」の車両撮影会を実施。運転台なども公開した。運転席を車体幅方向の中央に配し、メーター・スイッチ類をコの字型に配置することで、高い操作性を実現したという。

  • 「スペーシアX」1号車の運転台

運転台ユニットは、L型ワンハンドル式主幹制御器、車両情報制御装置(T-TICS)の2画面(メータ画面・運転情報画面)を配置したほか、デジタル列車無線化にともない今後運用開始となる通告表示器などを設置している。

T-TICSは車両の運転および搭載機器の動作に関する情報の集中管理を行う。500系のシステムを踏襲し、車両制御機能、サービス機器制御機能、乗務員支援機能、検修機能、車上検査機能、運転状況記録機能を持たせた。システムの中枢を形成する中央・端末装置は待機2重系となっており、片系がダウンしても、もう片系で機能を維持できる構成としている。車上データ有効活用システム「Remote」にも対応しており、車両機器の状態データをクラウドに送信することで車両の状態把握を常時可能とし、状態基準保全(CBM)や走行パターンの分析による省エネ運転への活用を進めるとしている。

  • メーター・スイッチ類をコの字型に配置している

「スペーシアX」の最高運転設計速度は130km/h、運転最高速度は120km/h。加速度は2.23km/h/s、減速度は常用3.7km/h/s以上・非常5.3km/h/s以上とされる。ブレーキシステムは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ装置を採用。各車にブレーキコントロールユニットを搭載し、T-TICSとの伝送を行う。常用ブレーキは、ブレーキ制御ユニットによりT-TICSを介して編成制御を行うことで、編成全体での電空演算が可能に。ブレーキ力の分配をより有効的に実施し、消費電力量の低減と制輪子の摩耗量低減を実現する。天候・路面状況等の外乱に対し、つねにブレーキ指令・初速ごとの制動停止距離が一定となるように減速度を演算してブレーキ出力を制御する減速度フィードバック制御も導入している。

主回路はIGBTとSiCダイオードを組み合わせたHybrid-SiCを採用。スナバ回路レスによる損失低減により、小型・軽量化を実現している。装置は2群(1C4M×2群)構成で、165kWの全閉型誘導電動機を1群あたり4台制御できる性能を有する。補助電源装置(SIV)はIGBT式SIV装置(3レベル式・260kVA)を1編成あたり2台搭載。並列同期運転方式を採用し、軽負荷時の休止制御機能を有している。

  • 「スペーシアX」の主要諸元表

  • 「スペーシアX」の編成図

台車はボルスタレスモノリンク軸箱支持装置方式台車を採用。乗り心地の向上を目的に、加速度センサの走行振動検知により、台車に搭載したアクチュエータを動作させ、振動を減衰させるフルアクティブ空圧式動揺防止制御装置を先頭車の1・6号車(「コックピットスイート」「コンパートメント」「コックピットラウンジ」)、中間車の2号車(「プレミアムシート」)に搭載している。