女優の大島優子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、4月9日・16日の2週にわたって放送される『ボクらの丁稚物語2023』。令和の時代に“丁稚奉公”で職人を目指す家具製作会社・秋山木工に飛び込んだ若者たちを追ったシリーズの最新作となる。

秋山木工社長の「人を喜ばせたい気持ちがいい仕事につながる」という言葉に「正にその通り」と深く頷いた大島。今回の放送が本格的な仕事復帰となった大島に、待っていたファンへの思いを聞いた。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した大島優子

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した大島優子

■『ザ・ノンフィクション』は出会いの場

秋山木工へ一流の職人を目指して入社した新人たちは、住み込みで修業する、いわゆる“丁稚奉公”。酒もタバコも恋愛も禁止、スマホは私用で使えず、家族への連絡は手紙だけ、さらに修業期間は、男性も女性も丸刈りとなるのが決まりだ。番組がメインで追うのは2017年入社組の2人。前編は技能五輪全国大会を目前に、出場予定だった4年目の丁稚が辞めてしまうという衝撃の展開で幕を閉じたが、「~ふたりぼっち 夢の行方~」と題した後編では、2017年入社組の2人へ、社長がある覚悟を決める姿を追う。

前編では、『ザ・ノンフィクション』を見て秋山木工に興味を持った中学生が登場。母親が秋山木工に電話し、10日間の丁稚生活を体験したうえで、この春の入社が決まった。かねてから“ザ・ノンフィクションごっこ”をするほど番組を愛し、昨年ナレーションが決まった際にも「本当に念願です!」と興奮していた大島は、「この番組ってやっぱり誰かの人生を変えるんだな、すごいなって。うれしいですよね」とファンとして喜ぶ。「この1年間もずっと番組を見ていたので、楽しくナレーションができました」と緊張せず臨めたと明かした収録では、自ら「今の発音で合っていましたか」など声をかけて入念に確認しながら進める一幕も。「ナレーションはその人の個性が出るんです。自分で正しくできているか判断できなくなるので、これで大丈夫かなと確認しながら進めさせていただきました」と誠実な仕事ぶりを覗かせた。

番組ファンの大島が最近特に印象に残っているエピソードは、2月に放送された『私が踊り続けるわけ2 ~56歳のストリッパー物語~』。日本最高齢のストリッパー・星愛美さんの奮闘記に、同じエンターテインメントに関わる者として感じ入ることがあったといい「すごく華やかな世界の裏で、体を蝕むような痛さと闘っていることが伝わってきました」と振り返った。『ザ・ノンフィクション』で映し出される人生模様は勉強になると話し、「コロナ禍になってから外に出て人に出会う機会が減りましたが、『ザ・ノンフィクション』を見ているといろいろな人に出会えるんです。『こんなふうに生きているんだ』と他人なのに身近に感じて心を動かしてもらえるのが、番組の面白いところだと思います」と魅力を熱弁した。

  • 作業風景 (C)フジテレビ

■“挫折”という言葉は今の時代にはそぐわない

前編では、技能五輪全国大会を目前に出場予定だった4年目の丁稚が辞めてしまうという衝撃の展開も。大島は「辞めるのはしょうがないですよね」とキッパリ。そして「でもそれは“挫折”ではないと思いました。今の時代、挫折という言葉はもうあまり生まれないような気がします。情報の書き換えではないですが、これまで学んでいたことを別の分野で活かせるような社会になってきているので、辞めたとしても、修業した期間は必ず何かの糧になっていると思います」と持論を語った。

新年度ということで、大島からは新しい環境に飛び込む人へのメッセージも。「すごく怖かったりしますし、不安や心配がつきものですが、新しい自分に出会える機会にもなると思うんです。勇気を持って、楽しんでいろんなことにチャレンジできたら素敵ですよね」。一方で丁稚の修業のように、自分の心を鍛えることで“逃げないくせ”もつけてほしいと説く。「逃げるくせはすごく簡単につくから、一度自分とちゃんと向き合って心を鍛える修業のような時間を経験しておいたほうが、人生楽しく生きられるんじゃないかな」と話した。そして番組で密着した2人の丁稚へ、「『どうしてできないの、どうして言わないの』と思う瞬間もあったのですが」と視聴者目線での率直な意見を述べながらも、「この生活を6年間送っていると思うと、『すごいな、えらいな』と勇気をもらえるんです。私と同じように、この番組を見て勇気をもらえる人がいたら2人もうれしいと思います」と思いを馳せた。

  • 社長から指導を受ける丁稚 (C)フジテレビ

■ファンの存在がモチベーションに

79歳の秋山利輝社長の「人を喜ばせたいという気持ちがいい仕事につながる」という言葉には、「正にその通り。納得しました」と深く頷く。産休後、数カ月ぶりにSNSを更新した大島へは「おかえりなさい」の声があふれた。そんな様子に、なんと「待ってくれている人がいたんだ」と驚いたことを明かしつつも、「うれしかったです。幸せ者ですね」と満面の笑みを浮かべる。今後については「少しずつお仕事をしていきたいと思っています。でもそれは待ってくれている人がいるから。芸能界は流れが速いので、大丈夫かな、今復帰してお仕事あるのかなと不安もあるのですが」と吐露しつつも、「待ってくれている人の声がすごくうれしくて、そんな方の期待に応えたいという思いが一番です」とファンの存在がモチベーションになっていることを語ってくれた。

今回の『ボクらの丁稚物語2023』は、TVer・FODで無料見逃し配信される。また、FODの傑作選『ザ・ノンフィクションMASTERPIECE』の配信第2弾として『ボクらの丁稚物語』全シリーズとなる過去4本を、地上波未公開シーンも含めたFODオリジナルのディレクターズカット版として再編集し、一挙配信。

●大島優子
1988年生まれ、栃木県出身。06年からAKB48に所属し、14年に卒業。映画『紙の月』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞など、多数の受賞を果たす。その他、『スカーレット』『青天を衝け』(NHK)、『東京タラレバ娘』『ネメシス』(日本テレビ)、『教場』(フジテレビ)、『七人の秘書』(テレビ朝日)などのドラマ、『闇金ウシジマくん』『ロマンス』『真田十勇士』『ボクたちはみんな大人になれなかった』『女子高生に殺されたい』『とんび』『天間荘の三姉妹』などの映画に出演。現在映画『ネメシス 黄金螺旋の謎』公開中。