漫画『BLUE GIANT』のアニメーション映画作品『BLUE GIANT』が公開されている。4月8日、立川譲監督によるティーチインイベントが川崎・チネチッタにて開催された。

  • 立川譲監督

今回のティーチインイベントは好評につき2回めの開催。今回、チネチッタに最新鋭のハイエンド音響装置〈LIVE ZOUND〉のスクリーンで『BLUE GIANT』が上映された。

『BLUE GIANT』公開から約2カ月。鑑賞した観客からの絶賛コメントが広がり、原作ファンのみならず多くの映画ファンから圧倒的な支持を集め、現在観客動員63万人を突破する大ヒットを記録している本作。本編の4分の1がライブシーンで占めていることでも話題を呼んでいる。

今回は本作を手掛けた立川譲監督がステージに登壇。多くのリクエストがあり2回目の開催となるティーチインイベントとなった。立川監督は、「公開から2カ月近く経っても、こんなにたくさんのお客様にお越しいただけて嬉しいです。音響の良い映画館なので、ライブ会場にいるかのような体験ができたのではないかと思います。今日はよろしくお願いします!」と笑顔で挨拶をする。

本作の反響について尋ねられると、「友達の高校生のお子さんが映画館で『BLUE GIANT』を観てくれて、観終わった後に『私って適当に生きているな』って呟いていたと聞きました。ちゃんと届いているなって思い、ぐっときた」とコメント。続けて、「この映画を観て、今頑張っている人もいるし、頑張れない時もあると思うが、頑張ってる人たちってすごいなと思ってくれるのがすごく嬉しいです」と喜びをあらわにした。

また、ライブシーンについては、「ライブシーンでは、カメラが引いて客観的なアングルになったり、主観の視点に切り替わったりする表現が、演奏者の感覚に近いそうで、絵とすごくマッチしている」とジャズピアニストの上原ひろみから褒められたことを語る。

対し、監督は「何回も音楽を聴きながら、ああでもないこうでもないと試行錯誤していった結果生まれました」と漠然とした答えをしてしまったと語ると、上原は目を丸くして「天才ですね!」と返したという。それが本当に嬉しかったと当時の気持ちを明かした。そして、監督自身も制作のスタート時から1年以上サックスを習いに行っていたエピソードを語った。。

そして、本作について監督にとっての一番チャレンジングなところについては、「ジャズのライブシーンが毎回同じものにならないように、曲ごとに絵を変えるようにチャレンジしました」と答える。また、演奏時の体の動きについて、「複数の技術を使っているが、作画の参考には上原さんや馬場さん、石若さんのレコーディング時の映像をカメラを20台くらいで撮影し、それをもとに絵を作っていった」と制作エピソードを明かした。

イベント後半にはファンからの質疑応答が行われた。「劇中に何度か登場する黒猫はどういった意図で登場させたのか?」という問いには、「黒猫は重要キャラクターとして描いていて、原作にもあるシーンだが、前を突き進んでいく姿が大自身と重なるように映画でも登場させた」と回答。映画の冒頭シーンで、雪の中足跡を残してまっすぐ進んでいく黒猫と、サックスを通してさまざまな人に影響を与えながら前を向いて進んでいく大が重なるシーンとなっているという。

最後のコメントとして、「もっとみなさんに感謝の言葉をお伝えしたいし、もっともっと質問にも答えていきたいので名残惜しいですが、まだまだすごく良い音響で映画をお楽しみいただける機会も残されておりますので、是非また劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです」と締めくくり、今回のティーチインイベントは幕を下ろした。

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