映画『首』(2023年秋公開)の完成報告会見が15日に都内で行われ、北野武監督、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋、KADOKAWA 代表取締役社長 夏野剛氏が登場した。
同作は、原作・監督・脚本・編集を北野武が務める最新作にして集大成となる作品。“本能寺の変”を題材に、戦国武将や忍、芸人や百姓といった多彩な人物の野望と裏切り、運命とともに描かれ、キレ味抜群のバイオレンスと笑いをはじめとした北野ワールドのエッセンスが全開となる。
北野監督が初期の代表作の1本『ソナチネ』(93年)と同時期に構想し、30年もの長きに渡って温めていた本作は、巨匠・黒澤明が生前「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待していた念願の企画が映画化。作品には羽柴秀吉(ビートたけし)、、明智光秀(西島秀俊)、織田信長(加瀬亮)、難波茂助(中村獅童)、黒田官兵衛(浅野忠信)、羽柴秀長(大森南朋)が登場。
さらに曽呂利新左衛門(木村祐一)、荒木村重(遠藤憲一)、斎藤利三(勝村政信)、般若の佐兵衛(寺島進)、服部半蔵(桐谷健太)、安国寺恵瓊(六平直政)、間宮無聊(大竹まこと)、為三(津田寛治)、清水宗治(荒川良々)、森蘭丸(寛一郎)、弥助(副島淳)、徳川家康(小林薫)、千利休(岸部一徳)と戦国時代を生きる役として実力派キャストが揃った。
すでに第76回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア」部門に出品されることも決定してる同作について、北野監督は「俺はコンペティションに出て優勝したいなと思って、『菊次郎の夏』とかみんな落とされたので腹立たしかったんですけど、あれは監督が選んだのでヤキモチで落としたと未だに思ってる。知り合いのカンヌの人に聞いたら、今回はコンペの枠にあてはまらない強烈な映画ということで、プレミアという枠で別個にやりたいという話で、世界的にこの映画は当たるなという。当たれば一儲けだなという嬉しい限りです」と喜びを表す。
戦国時代を描くにあたって、北野監督は「衆道、男同士が絡み合うなんてのは、NHK的には避けるけど、実は殿様に対して命をかけるというのは、そういう関係であるというのが自分の考え方で、そういうことを描かずに戦国時代を語るのはおかしいとずっと言ってるので、そういう話もちゃんと入れて」と説明。「要するに侍とか戦国大名なんて悪いやつなんですから、その残酷さと生と死をバックボーンとした生き方、そういうのがうまく描けるかなと。男同士の愛ではないけども、ちょっと死を前にした男同士の関係を、うまく描ければよかったかな」と意図を表した。
西島は「滑稽なことと悲惨なことが隣り合わせになって、笑ってると突然その後に信じられないくらい悲惨なことが起きたり、悲惨なんだけど思わず笑ってしまうような、それが真横にあるのが、きっと監督にしか描けない世界観というか、面白さだなと思って、そのことを感じて演じていました」と振り返る。
また、加瀬が「まず自分に信長役をくれるのは監督くらいしかいないかなと思いました。監督ならではというと、今回ほぼ全員ひどい人でしたね。残酷なシーンも数々出てくるんですけど、なぜか監督がそういうものを描くと、最終的には品のいい映像に収まってるというのが他の監督と明らかに違うところだと思いました」と称えると、北野監督は「私と三池(崇史)監督の違いです。私の方が教養があって、家柄がいいんだと思います」と会場を笑わせていた。
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