日本放送協会(NHK)は、経済的に厳しい状況に置かれている学生を受信料全額免除の対象に加える、新しい免除基準の素案をまとめた。10月に実施する全体の受信料値下げとあわせ、免除拡大の実施を目指す。
総務省への認可申請に向けて、4月12日から意見募集を開始。集まった意見を参考に案を取りまとめる。NHK経営委員会のWebサイトから回答でき、募集期間は5月11日まで。
NHKではこれまで、親元などを離れて暮らす学生のうち、経済要件を課した奨学金を受給している学生など、現行の免除基準に該当する対象者の受信料を全額免除している。
現在のコロナ禍による社会経済への影響の長期化、世界規模での物価高騰などで、学生本人や親元らを取り巻く現在の経済状況は厳しくなっている。とりわけ、親元らから離れて暮らす学生は、アルバイト収入や仕送りの減少といった厳しい状況に置かれ続けていることもふまえ、NHKでは受信料の免除基準の一部変更を検討することとした。
新たに受信料の免除対象に加えることを検討しているのは、親元から離れて暮らす学生のうち、「社会保険制度において被扶養者となっている学生」、「被扶養者となっている学生と同等の収入水準にある学生」。詳細は以下の通り。
- 年間収入が一定額(130万円)以下の学生
- 社会保険制度において被扶養者となっている学生
- 年間収入が、所得税法に規定する各種控除のうち、勤労学生に適用される控除額(給与所得控除55万円・勤労学生控除27万円・基礎控除48万円)の合計額以下の学生
- 国民年金保険料の学生納付特例対象の学生
- 国民年金法第90条の3により国民年金保険料の学生納付特例の適用を受けている学生
- 国民健康保険の修学特例対象の学生
- 国民健康保険法第116条により「国民健康保険遠隔地被保険者証(マル学)」が交付されている学生
NHKは、上記の条件に該当する学生向けの受信料免除拡大に関して、基本的な考え方を説明。このなかで、フェイクニュースなどインターネット上でさまざまな課題が指摘されていることも挙げて、「学生を対象とする免除の拡大は、テレビ設置の負担を軽減することで、多様で信頼できる情報を取得したいと考える学生の一助となるものと考える」としている。
なお、NHKでは新たに全額免除となる件数は約19万件、受信料収入は年間約20億円(2023年度は約10億円)の減収になると見込んでいる。