今回は、ゲーミング機器を豊富に取りそろえる秋葉原のパソコンショップ アークで、キーボードの売れ筋を取材しました。

キーボードはマウスと比べてトレンドの流動性が高く、売れ筋上位の並びが頻繁に変動するそうです。スタッフの磯田尚輝氏は「マウスのように微妙なフォルムの違いが操作性に直結するということはあまりないので、ブランドを乗り換えやすいという特性がありますからね。日本語配列か英語配列か、テンキー付きかナシかなど大本の部分を押さえておけばいいといいますか。自由度が高い印象です」と解説します。

  • パソコンショップアークのキーボード売り場。店舗スタッフの磯田尚輝氏に解説してもらった

変化が激しいなかで直近の人気ベスト5を挙げてもらいました。「キーボード選びの3箇条」を踏まえて、売れている理由とともに追いかけていきましょう。

<キーボード選びの3箇条>

  • テンキーやファンクションキーなどの必要性を自問して、まずは自分なりのベストなサイズ感をイメージしたい。
  • マウスに比べて画像や仕様書で判断できる部分が多い。だからこそ、実機では見た目や好みを重視を。
  • 加えて、重さやキーの感触、固有のカスタム機能や反応速度などの違いを判断材料に検討するのがお勧め。

※本文と写真で掲載している価格は、2023年3月14日16:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:LEDの光あふれる60%英語モデル「Ducky One 3 Mini Aura White」

一番人気に挙げられたのは、ダッキーチャンネルから2023年2月に売り出されたメカニカルキーボード「Ducky One 3 Mini Aura White」でした。テンキーやファンクション専用キーを省いて、フルサイズキーボードの約60%のサイズに抑えた“60%キーボード”と呼ばれる仕様で、キー配列は英語となります。価格は20,579円でした。

すべてのキーに光の色を変えられるARGB LED(アドレサブルLED)を組み込んでいて、キーキャップやキー間から好みの光が放てるのが特徴。ユーザーの設定によって、七色のウェーブを作るなど、ダイナミックなライティング設定も可能です。ゲーミング用途での注目度が高いそうです。

「直近の販売数でトップですね。とにかく外観が目を引きますが、キーの打ち心地も評判です。カチャカチャしないちょうどいい塩梅のタイプ音になるよう工夫されていますね。また、キースイッチにKailh(カイル)のjellyfishを採用している貴重なキーボードでもあり、そこが決め手になっているという方もいらっしゃいます」

  • 「Ducky One 3 Mini Aura White」

  • キースイッチにARGB LEDが組み込まれている

第2位:オフィス用でもゲーム用でも安定人気の「Keychron K8」

2位は、キークロンが2022年3月から投入しているメカニカルキーボード「Keychron K8」です。テンキーのみ省いた“80%キーボード”で、日本語配列と英語配列、キースイッチやLEDライトの有無などで多彩なバリエーションがあります。取材時の価格は11,990円~17,930円でした。

「オフィス用途から物書きの方、ゲーマーの方まで、特定の層に寄らずに人気のあるシリーズです。オフィス用途だとMacにも対応していることと、Bluetooth接続にも対応している点が強みになっている印象です。それでいて、1万円台前半から選べる割安感も支持を広げていると思いますね」

  • 「Keychron K8」(英語配列/赤軸/ブラック)

第3位:スリムで割安な「Keychron K7」

続く3位もキークロン製品がランクイン。薄型のキースイッチを採用したワイヤレスキーボード「Keychron K7」シリーズです。テンキーとファンクション専用キーを省きつつ「Home」や「PageUp」キーなどを配置した“65%キーボード”で、2022年11月に英語配列、翌12月に日本語配列モデルが売り出されました。メカニカルタイプとオプティカルタイプがあり、キースイッチの種類も多彩で、価格は16,390円~17,380円でした。

「こちらはゲーミング用途でよく売れています。薄型キーボードはキーストロークが短くて素早く入力できるという利点がありますが、そのなかでもK7は割安なんですよね。ライバルより1万円以上安かったりするので、薄型を試してみたいという人によく選ばれています」

  • 「Keychron K7」(英語配列/オプティカルオレンジ軸と青軸)

第4位:指のニュアンスをとことん反映できるSteelSeries「Apex Pro Mini」

4位には、SteelSeries(スティールシリーズ)から2022年8月に登場した60%メカニカルキーボード「Apex Pro Mini」がランクインしています。英語配列と日本語配列があり、取材時の価格はともに価格は29,177円でした。

1年前からゲーミング用途を中心に安定して売れ続けているとのこと。その理由はカスタム性の高さにあります。

「キー入力がなされる押し下げ幅(アクチュエーションポイント)を0.2mmから3.8mmまで0.1mm単位でキーごとに調整できるうえ、軽く押したときと深く押し下げたときの2通りの入力も設定できます。指の微妙なニュアンスで多彩な入力ができるということで指名買いが多いですね。ゲーマーの方に人気の60%サイズであることも大きいです」

  • 「Apex Pro Mini」(日本語版)

第5位:ゲーミングキーボードの入門的存在、Razer「BlackWidow Lite」

5位は、Razerから2020年4月に売り出されたテンキーレス(80%キーボード)の「BlackWidow Lite」でした。日本語配列のメカニカルキーボードで、ブラックとマーキュリーホワイトの2色があります。価格はともに10,782円でした。

「日本語配列で導入しやすく、予算も1万円ちょっとで間に合うということで、ゲーミングの入門機として安定した人気があります。Nキーロールオーバーなどの機能はしっかり搭載していますし、メカニカルキーもRazerオリジナルのものを使っていて、初めてゲーミングキーボードを買うという方に安心して勧められるキーボードですね」

  • 「BlackWidow Lite」(マーキュリーホワイト)

はみ出し情報・・・VARMILO「67 Minilo Eucalyptus」のKailh Prestige Red軸に注目

「キーボード選びの3箇条」で磯田氏は「マウスに比べて画像や仕様書で判断できる部分が多い。だからこそ実機では見た目や好みを重視を」と助言しています。その観点から、いちキーボードフリークとして主観的にランキング外の注目株を尋ねました。

磯田氏が挙げたのは、VARMILO(アミロ)から2023年1月に登場した65%メカニカルキーボード「67 Minilo Eucalyptus」。異なるキースイッチを採用した多くのバリエーションがありますが、なかでもカイル社のPrestige Red軸を採用したモデルに注目しているとか。価格は17,179円でした。

「最近はキースイッチに注目して選んでいます。そこで気になっているのがこのPrestige Red軸なんです。まだしっかりタイピングしたことがなくて、純粋に興味が引かれているんですね。ちょうど65%サイズの67 Minilo Eucalyptusに採用されていたのも大きなポイントでした。個人的に60%では矢印キーが打ちにくく、65%サイズがしっくりんですよ。その環境で気になるキースイッチを使ってみたいなと、そう思っています」

  • 「67 Minilo Eucalyptus」のKailh Prestige Red軸モデル