ソニーが久しぶりに4Kチューナー搭載BDレコーダーの新機種を発表しました。6月10日発売の「FBシリーズ」3機種は、「コンテンツ沼にハマった人たちの“味方”」をうたい、多忙でストレスフルな現代の“コンテンツ消費”需要に応えて「『見る』をさらに進化させた新機能」を盛り込んでいるのが特徴です。
新作の連続ドラマやアニメ、特番ドラマを約1カ月前から先行予約できる独自の「先録」機能や、自動録画の「おまかせ・まる録機能」といった、従来機種から備えている主要な録画機能はそのまま継承。
自動録画に使っている用語集「まる録辞書」は2023年時点の最新版に更新したほか、録画番組の視聴状況がひと目で分かる「視聴中マーク・再生バー」や、複数タイトルをイッキ見するときに便利な「連続再生」といった、イマドキの映像配信サービスライクなUI/機能を新たに備えているのが大きな特徴です。
新しいBDレコーダーの価格はオープンプライスで、店頭予想価格は以下の通り。
■FBシリーズ 2Kトリプルチューナー/4Kダブルチューナー機
- BDZ-FBT4200(4TB):15万8,000円前後
- BDZ-FBT2200(2TB):12万7,000円前後
■FBシリーズ 2Kダブルチューナー/4Kダブルチューナー機
- BDZ-FBW2200(2TB):11万8,000円前後
なお、従来から販売されている2Kトリプルチューナー/4Kダブルチューナーの6TBモデル(BDZ-FBT6100、2021年発売)は継続、ダブルチューナーの1TBモデル(BDZ-FBW1100)は販売終了といったラインナップの一部整理が行われています。2Kチューナー機についてはすべて2021年モデルが販売継続となります。
スマホでテレビで楽しめる映像配信サービスが普及したこともあり、BDレコーダーの国内出荷台数は年々減少を続けています。電子情報技術産業協会(JEITA)が公開している、民生用電子機器国内出荷統計の情報を見てもそれは明らか。BDレコーダーの国内出荷実績をみると、2011年の“地デジ移行特需”をピークに、2012年以降は右肩下がり傾向となっています。2021年にはついに200万台を割り込み(198万7,000台)、翌2022年には158万2,000台まで落ち込みました。
ただし、テレビ番組を録画して観たい・保存したいという需要がなくなったわけではなく、今でも根強くあります。放送波でしか見られないコンテンツは今でも存在しますし、映像配信サービスは配信終了のタイミングがあるので、今まで楽しんでいた作品がある日突然見られなくなった……という“○○ロス”状態を招くこともあります。
好きなアニメやドラマをBlu-rayメディアに保存して手元においておきたい。なんなら、初回テレビ放送版と販売ソフト版の細かな違いを楽しみたい。放送当時のテレビCMも録画してあとで“当時の空気感”を振り返りたい……そんな「テレビ録画に対する熱量の高いユーザー層」は確実に存在します。
実際ソニーの調べでは、BDレコーダーの出荷台数が減少傾向でも、4Kチューナー搭載の上位機の構成比が増えていることで、結果として平均単価が上昇傾向にあるといいます。また、テレビでネット動画を視聴するスタイルの普及によって、録画番組視聴の割合も微増する傾向にあることも分かってきたとのこと。
そうした「コンテンツ沼にハマった人たちの味方」をうたい、ソニーが新たに発売するのがBDレコーダー「FBシリーズ」の2023年モデルです。新機能は大きく分けて以下の5つ。
- 視聴中マーク・再生バー
- 連続再生
- 上書き録画設定
- おうちタイム
- 便利な使いかた
新搭載の「視聴中マーク・再生バー」は、録画した番組の視聴状況をひと目で判別できるようにするもの。
録画リスト画面ではこれまで、未視聴を示す「NEW」マーク、視聴済みを示すアイコンなしの状態で判別できるようになっていましたが、新機種では視聴中を示す半月状のマークを新たに追加。録画データを削除していいかどうかを分かりやすくしました。また、録画番組のサムネイル下にどこまで見たかを表す再生バーも表示し、効率よく録画番組を見られるように機能強化しています。
ドラマやアニメなどの複数話を1回の操作で“イッキ見”できる「連続再生」機能も新たに搭載。好きな俳優が出ているドラマを録りためて週末に全部見る、といった使い方や、子どもにアニメを見せたいときに連続で流しておく、というシチュエーションを想定しているそうです。
番組特性にあわせて1回、4回、7回から設定可能な「上書き録画設定」も新たに設けています。たとえば、ニュース番組は最新回のみを残したいので1回、バラエティ番組は1カ月分残したいので4回、朝ドラは毎日放送されるので1週間分まとめて残しておきたいから7回……というように、ユーザーのニーズに合わせて設定可能。古い番組を削除する手間も省けるようにしました。
「おうちタイム」はちょっと変わったネーミングですが、要するに録りためた番組を普段見ている時間帯の傾向から探しやすくする、というもの。“子ども中心の夕方”なら子ども向けの番組、“家族団らんの夕食時”にはバラエティ番組、“仕事帰りの夜更かしタイム”にはドラマやアニメを……というように、ユーザーのスタイルに合わせて任意の時間設定ができます。
最後の「便利な使いかた」は、ホーム画面の最下段からアクセスできる“ヘルプメニュー”です。イラストとともにレコーダーの使い方を確認でき、通常のレコーダーの使い方に加えて、上記の新機能の設定方法も確認できるようにしました。
なお、ソニーのBDレコーダーではおなじみの自動録画機能「おまかせ・まる録機能」ですが、こちらも進化しています。
タレントや声優の名前、キーワード、ジャンルなどをあらかじめ登録しておくと、録画予約を入れなくても電子番組表と連動して自動録画する機能で、たとえばアイドルグループには各メンバー名も収録しており、グループ名をキーワード登録すると、その中のメンバーひとりだけが登場する番組も自動で録っておいてくれます。
そのキモとなる用語集が最新版に更新されているので、うっかり予約録画を忘れたり、自分が気付いていなかった出演番組まで網羅し、“推しを録り逃さない”というわけです(ただし製品発売後や、過去機種へのアップデートは行われません)。
さらに、おまかせ・まる録に“ユーザー待望”というグループのマーク設定も可能に。録画タイトルを整理しやすくしました。ほかにも、キーワード入力の手間を省ける仕組みを備え、除外ワードを設定して録りすぎを防止するといった細かな使い勝手向上も図っています。キーワード別で録画番組を探したり、好きな番組をひとまとめにして再生できるプレイリスト機能も備えています。
最後に、レコーダーとしての基本機能もあらためて見ておきましょう。
BDZ-FBTシリーズは最大3番組の同時録画、BDZ-FBWシリーズは最大2番組の同時録画が行えます。4K BRAVIAと連携して自動で画質を最適化する「4Kブラビアモード」を継承。4K録画番組を音声付きで1.3倍早見再生する機能も引き続き備え、見たい番組を時短で楽しめるようにしました。
4K録画関連では、「4Kインテリジェントエンコーダー」により、4K放送の長時間録画モード、特にLSR(4倍)以上で録画したときの画質を改善。動きや明るさの変化が激しいシーンで出やすいブロックノイズを低減します。
前面の光学ドライブは4K UltraHD Blu-ray(UHD BD)再生に対応し、4K番組をTS方式でBDメディアにダビングすることもできます。なお、他社製のBDレコーダーレコーダーで記録したMMT/TLV方式のBDメディアは再生できません。本体背面には、映像/音声用と音声専用のHDMI出力を各1系統、計2系統備えています。
ソニーのBDレコーダーは既に成熟の域に達しており、2023年モデルはハードウェア面での進化はそれほどありません。しかしソフトウェア面ではまだまだ強化・改善できる余地があり、ディープな録画ユーザーの声を反映して細かな使い勝手が向上しています。そろそろBDレコーダーの買い換えを考えている人や、これまで使ってきた他社製BDレコーダーからの乗り換えを検討している人には、これが最適解といえそうです。