扇風機は風を身体に当てて涼をとる家電。風が当たらないと体感温度が上がります。「扇風機の風が人の動きに付いてくればいいのに……」と思ったことがある人もいるかもしれません。
今回、シロカがまさに「風が人に追従する」扇風機を発表しました。5月10日に発売予定の「人認識センサー付き DC扇風機 めくばりファン(SF-HC151)」(以下、めくばりファン)です。この扇風機は人を認識して自動追尾で首振りして、さらにリモコンを使わずハンドサイン操作もできます。ワクワクする扇風機、シロカを訪れて試用機を体験してきました。
個人を認識して風が追従する「ひとりじめ」モード
前述のように、めくばりファンは人の動きにあわせて首振りできる扇風機。ポール部分に画像カメラを内蔵し、人の位置を認識するだけでなく、複数人から個人を識別したり、手の動きを認識したりします。
めくばりファンの風(首振り)が人に追従するのは「ひとりじめ」というモードです。ひとりじめモードを有効にすると、最初に首振りをして人を探索。認識後は自動的にその人に向かって首の角度が追従します。面白いのは、めくばりファンがちゃんと個人を認識してくれるところ。林編集長がひとりじめモードを体験しているとき、筆者がカメラの認識範囲に乱入しても、ずっと林編集長だけを追従していました。
首振りの動きはかなりゆっくりなので、人の動きと同時に移動とはいきません。とはいえ数秒遅れながらも確実に風が付いてくるので、仕事の間にコーヒーを淹れて一息つくといった、ちょっとした移動には力を発揮してくれそうです。
無駄のない最小限の首振りができる「やまわけ」モード
ひとセンサーによる機能として、2人以上の人間を認識して人から人へと首振りをする「やまわけ」という運転モードも搭載しています。
通常の「首振り」モードは左右120°で首を振りますが、やまわけモードは「人と人」の最小限の首振りだけ。その代わり、従来の同等モデル「DC音声操作サーキュレーター扇風機 ポチタマ扇」にあったような首振りモードの角度設定(120/75/30°)は省かれました。
実際に体験してみると、左右120°の標準首振りだと、めくばりファンの首が端から端まで移動するのに約15秒かかりましたが、やまわけモードでソファーの端と端に座ったときは端から端まで約7秒。半分以下の時間でした。
おおまかにいって、標準の首振りモードよりも約2倍の風が自分に送風されます。やまわけモードで2人がくっついて座ると、首振りまでの時間は3秒とさらに短くなりました。やまわけモードは「できるだけ長く涼しい風に当たりたい」というニーズに応えてくれそうです。
リモコンを探す必要なし、ハンドサインを使った操作
多くの扇風機にはリモコンが付属していますが、いざリモコンを使おうとしたときリモコンが見つからなかったり、リモコンが遠くにあったり……というシチュエーションはあるあるです。めくばりファンはカメラを使った「ハンドサイン」操作に対応しており、リモコンにまつわるちょっとした不便を解消してくれます。
ハンドサインの種類(手の形)は「まる」「ちょき」「ぱー」の3つ。めくばりファンに向けて指で「OK(まる)」マークを作ると、停止中なら電源オン。運転中なら風量(8段階)がアップし、最大風量の次は最小風量へと巡回します。
電源をオフにしたいときは「ぱー」、首振りのオン・オフ切り替えは「ちょき」で設定します。残念ながら「ひとりじめ」や「やまわけ」モードはハンドジェスチャーなし。シロカによると、3つ以上の手の形を覚えさせると誤認識することが多かったからとのことでした。
ハンドサインを試してみると、「手」という複雑な形を認識するにも関わらず、認識率はかなり良好。予想以上にすばやい反応でした。ただし、めくばりファンの内蔵カメラは人の「肩から顔」付近を認識するため、顔付近で手を動かさないと反応しないこともありました。また、カメラの範囲に人のポスターやテレビなどがあると、その人影に反応してしまうこともあるそうです。
シロカには音声操作ができる「DC音声操作 サーキュレーター扇風機 シロカのポチタマ扇」という既存製品がありますが、ハンドサインなら音がしないので子どもが昼寝するときなどに起こさず操作ができそうです(ハンドサイン認識時にピッという音はしますが)。
ここではカメラ機能を中心に紹介してきましたが、めくばりファンはシロカ独自の「ふわビューン技術」に対応。なめらかで直進性の高い風と、静音性の高さを両立しています。モーターは細かく安定した出力ができる、長寿命な国産DCブラシレスモーターを採用。扇風機としての基本性能も高いでしょう。
体験してみて、「ひとりじめ」も「やまわけ」モードは実用的で便利。個人的には、自分について首振りをしてくれる「ひとりじめ」モードに、ペットが自分を見守ってくれるようなかわいらしさを感じて「癒やされる」ところに大きく惹かれました。