「努力」とは、「ある目的を達成するために、怠けることなく、力を尽くして励むこと」を意味します。子どもの頃、親や先生から「努力しなさい」と言われた経験のある人も多いはずです。
しかし、努力しようと意気込んでも努力が続かずに、「自分は努力できない人間なんだ」と落ち込んだ経験がある人もいるのではないでしょうか。
本記事では努力ができない、続かない原因や、努力が苦手な人の特徴、努力ができるようになるための解決方法を紹介します。努力できないことによるデメリットや、注意点もまとめました。
努力できないのはなぜ? 原因と努力できない人の特徴とは
努力ができない原因は人によってさまざまです。まずは努力ができない、続かない主な原因や、努力が苦手な人に共通する特徴を見ていきましょう。
努力しても意味がないと考えてしまう
努力できない原因として、「努力してもどうせうまくいかないから、意味がない」と思い込んでしまうことが挙げられます。
このように考えがちな人は、過去に努力をしても報われなかった経験があったり、成功体験を得ていなかったりすることが多いです。つまり、努力を「結果ありきのもの」として捉えている状態です。
努力できる人は、努力すること自体を楽しんだり、努力した経験は次に生かせると考えたりと、努力そのものを前向きに捉えています。
努力を結果と結び付けて考えるのではなく、努力の「過程」に目を向けてみましょう。
物事を完璧主義で考えてしまう
努力に苦手意識を持つ人の中には、完璧主義の人もいます。なぜなら、完璧主義である故に挫折しやすい場合があるからです。
物事を完璧にこなそうと考えている人は、自分の計画が少しでも崩れてしまったとき、それまでの過程やこれからのことが全て無駄だと思ってしまい、嫌になってしまうことがあります。
しかし、当初の予定と多少違ったとしても、目的を達成できればいいのであって、計画通りであることが最重要なわけではないはずです。また、とにかく最後までやり切ることが大切です。
自分が完璧主義だと自覚がある人は、自分の計画通りに物事が進まなかったときにも変化を楽しむ心を持って、完遂に向けて臨機応変に前進しましょう。
他の人と比較をしてしまう
努力できない人は、他の人と自分を比べる気持ちが強い傾向にあります。
結果を出している他人と、まだ何もできていない自分を比較することで、自分に自信を持てなくなり、「自分なんかが努力しても無駄だ」と、諦めてしまうのです。
他人と比べて劣等感を抱く癖を改善するためには、他人との差をポジティブに捉えて、自分のモチベーションに変換することを心掛けるといいでしょう。例えば「自分ではあの人のようになることは不可能」と考えるのではなく、「あの人のようになりたい」と考えられれば、自分のモチベーションの維持につながり、努力できるはずです。
先延ばしにしてしまう
物事を先延ばしにすることも、努力できない人の特徴です。
今すぐにできることを明日に持ち越してしまうと、「まだ大丈夫」という気の緩みや、差し込み業務があって十分な時間が取れなくなるなどのさまざまな要因から、結局着手するのが締め切り日間近になってしまう、ということになりかねません。そうすると、中途半端な出来になるということがよくあります。
また何日も先延ばしにすることで、本人のやる気も徐々になくなっていき、「適当でいいや」あるいは「やらなくてもいいや」となってしまうことも考えられます。
まずは10分でもいいからやってみる、自分の中で期限を決めて物事に取り組む、などのことを心掛けるといいでしょう。
目標を自分で作れない
今まで両親や学校の教師、仕事の上司など、誰かから目標を決められていた人は、目標を自分で作れない傾向にあり、この傾向が努力を妨げる原因になることもあります。
誰かから目標を与えられているうちはそれに向かって努力できるのでいいですが、社会に出れば、大目標は与えられたとしても、そこまでに達成すべき細かな目標は教えてもらえないことが多いでしょう。
しかしこのタイプの人は自分で目標を立てる力が育まれていないため、自発的に目標を立て、努力することが難しい状態です。
目標を自分で立てられない傾向がある人は、まずは日常のささいなことから目標を立て、それを達成することに挑戦してみましょう。
結果が出るまで待てず、すぐに物事をやめてしまう
すぐに結果を求めてしまうことも、努力できない人の特徴です。この特徴を持つ人は結果を短期に求め、自分の思い通りの結果にならないとすぐにやめてしまいます。また、さまざまなことに手を出して、結果的にどれも長続きしないという特徴もあります。
努力はすぐには実を結ばないものです。肩の力を抜いて、気長にやる気持ちを持ちましょう。また目標のスケールを小さくし、小さな目標を少しずつ積み重ねると、結果がすぐ返ってくるのでモチベーション維持に有効です。
大きな理想を持ちすぎている
いきなり大きな目標を立てることも、努力を妨げる原因の一つです。
自分で決めた目標が大きすぎると現実感がなくなり、何をどのようにすればいいのか分からなくなります。また目標が高すぎると、焦って駆け足になってしまい、目標にたどり着く前に力尽きてしまうことも考えられます。
高望みしすぎないことと、もし大きな目標を立てるときは、その目標を分解し、小さな目標に分けて取り組むといいでしょう。
自分のやりたいことと目標がずれている
自分が本来やりたいことから目標がずれている状態のときも、努力を続けるのは難しいでしょう。
流行や周囲の声だけで興味のないことに取り組んでしまい、すぐにやめてしまうケースが数多くあります。興味のない事柄のため、自分の力を発揮しにくい状況です。
この状況から脱却するには、思い切って努力の対象を変えてみましょう。
仕事や勉強で努力ができるようになる解決方法
ここからは、努力ができるようになるための方法を紹介します。
目標と期限を具体的に設定する
「努力ができない」状態を克服するためには、目標を具体的に設定しましょう。目標を具体的に書き出すことで、目標のイメージが正確になり、努力しやすくなるでしょう。
そして努力しやすい目標の決め方としておすすめなのは、いつまでに何をしたいのか、目標の期限を明確に決めることです。
努力する上で終わりが見えることは、自分の原動力になります。また期限を設けることで義務感がわき、目標に対する意欲につながるでしょう。
低い目標から頑張ることで努力を習慣化
いきなり高い目標に挑戦せず、低い目標から努力することで、努力をする習慣が身に付くでしょう。
例えば「一日5分、読書をする」など、短い時間を設定し、目標を達成した事実を積み重ねましょう。そうすることで、一日5分と考えていた目標が、いつの間にか一日1時間へと変化する可能性があります。
自分の成長が実感できると、目標に対してより前向きに捉えられるようになり、努力できる好循環が生まれます。
if-thenルールを定める
if-thenルールとは、「AをしたらBをする」というルールを決めることです。
例えば「朝起きたら散歩をする」「お風呂に入ったらストレッチをする」など、自分であらかじめルールを決めておくことで、自分の意志を強く持たなくても、自然と行動できるようになります。
努力を継続させるためには、意志やモチベーションなど、不安定な精神的要素になるべく頼らず、楽に努力をする仕組みを見つけることが大切です。
if-thenルールとは? 具体例8つとメリット3つをくわしく解説
得意・好きな分野から挑戦する
自分の得意分野や、好きな分野を選んで挑戦することは、努力を継続しやすくする方法の一つです。得意なことで「努力をすることができる」という成功体験を得れば、それを積み重ねることで自信が生まれ、新しく別の挑戦をする意欲も出てきます。
例えば「得意な分野の化学を勉強し、自信がついたら少し苦手な生物に取り組む」というように、好きなことから苦手なことへと段階を踏むことで、努力しやすくなるでしょう。
目標を他人と共有する
目標が決まったとき、友人や家族、上司などにその目標を話すのもおすすめです。
目標を口に出し誰かに伝えることで、「言ったからにはできなければ恥ずかしい」という意識が生まれ、その感情が努力を後押しする可能性が生まれます。誰かに直接伝えるだけではなく、SNSなどを活用して自分の目標を宣言するのもいいでしょう。
他人と目標を共有すると、その人たちが自分の目標達成のために手助けしてくれるかもしれないこともメリットです。一人では達成できなかった目標も、周囲の協力があれば達成できる確率が上がるでしょう。
他の人と一緒に努力する
一人だと努力が続かない場合は、一緒に努力できる相手を見つけるのもいいでしょう。共に努力する相手がいることで、サボりにくくなり、努力を継続できる可能性が高まります。
一緒に努力する相手は、信頼できる友人や同僚などがふさわしいでしょう。相手がいることで苦しいことを相談したり、楽しいことを共有したりなど、励まし合うことができるので、努力を一人でするよりも楽に実行できるはずです。
コーチをつけたり、お金が発生するサービスに加入したりする
努力の継続には、コーチをつけたり、お金が発生するサービスに加入したりすることも有効です。この方法なら、スケジュールを押さえられることでサボりづらくなったり、お金を払っているためもったいないと考えたりするようになるからです。
例えば一人で筋トレをする場合は「ちょっと疲れているから今日はやめておこう」と思ってしまうこともありますが、ジムに入会しパーソナルトレーナーをつけていれば、「ちょっと疲れているけど、予約をずらすのも面倒だし、ジムに行こう」と思えるでしょう。
もちろん、効果的な努力の仕方を教えてくれたり、叱咤激励してくれたりするというメリットもあります。
これらのことにより、継続率が高まり、一人で努力するよりも良い結果を得られるでしょう。
報酬を用意したり、ゲーム性を持たせたりして楽しむ
努力を続けるためには、報酬を用意するなど、楽しめる要素も効果的でしょう。
私たちは「努力することはつらいこと」というイメージを抱きがちですが、ご褒美を用意すれば、努力することが楽しさに変わる可能性があります。例えば「1カ月間、毎日貯金ができたらおいしいご飯を食べに行く」や「売上予算を達成できたら〇〇に旅行する」など、目標と報酬をセットにして考えましょう。
また、目標数値を徐々に上げて過去の自分を越えていく、同じ目標を持つ仲間と成果を競い合う、目標を達成したらSNSに成果をアップして「いいね」をもらうなど、ゲーム性を持たせて達成感を得るのもいいでしょう。
結果は後からついてくると考える
努力の結果は数日で分かるものではなく、長期間努力してやっと結果が出ることもあります。そのため、長い期間努力する必要があることを理解しつつ、「しばらくしたら結果が出てくるはずだ」という感覚で続けるのがいいでしょう。
努力を続ける中では、苦しいことや大きな壁にぶつかることが多々あります。そのようなときには「結果は後からついてくる、今はもう少し頑張ろう」と自分を励ましましょう。この小さな積み重ねが、やがて大きな結果につながるはずです。
またたとえ今回はその努力の結果が失敗だったとしても、努力をしたという経験や努力によって得たスキルは、自分の血肉となり、いつかきっと役に立つ日がくる、と前向きに考えるようにしましょう。
努力せずに成果を出す方法を考える
上記の方法などを試しても、どうしても努力ができないという場合には、視点を変えてみましょう。努力だけに頼る考えは捨てて、努力を減らし効率化できる方法を考えるのです。効率化できれば、やらなくてもいい努力をする時間を少なくすることができます。
この方法は、目標に向かって取り組むことを諦めるということではありません。今まで努力していた部分を、アプリやツールを活用したり、作業フローを組み替えたりすることで効率化し、目標達成を目指すということです。努力が減る仕組みを自分自身で作ってみましょう。
努力ができないのは悪いこと? その状態が続くことのデメリット
この章では、努力できない状態が続いたときに発生するデメリットを紹介します。これらのデメリットを自分に当てはめて把握し、努力することの意味を認識しましょう。
後悔が生まれてしまう
努力できず、やるべきことを怠ってしまうと、後悔が生まれがちです。「あのとき、全力で頑張っていれば…」という後悔は自分を苦しめ、人生において暗い影を落とすことでしょう。
そのため、今自分にできることがあるならば、それに取り組み、努力すべきです。また考えすぎると行動力が落ちてしまうこともあるため、まずは少しずつでも行動することが大切です。
自己肯定感が低くなる
努力できない状態が続くと、自己肯定感が低くなり、自信がなくなってしまう可能性があります。
自己肯定感が低くなると「自分なんかにできるわけがない」とネガティブな思考に陥り、挑戦や努力を避け、さらに自己嫌悪に陥るという、悪循環を引き起こします。
そのため、小さなことであってもやりたいこと、やるべきことには積極的に挑戦し、成功体験を積み重ねていきましょう。
努力をしようとする際の注意点
努力をしようと思うことはすばらしいことです。ただし、注意点も存在します。
まず「愚直にやる」「常に全力でやる」「とにかく頑張る」など、精神論に頼りきった努力や、具体的な目標を決めずにする努力は、失敗や挫折の原因となりやすいです。
そのため、明確な目標を持ち、自分に合っている方法を見つけて、正しい形で努力することが重要です。
また、自分だけで全てのことを解決しなければならないわけではありません。無理をせず、周囲の人を頼り支えてもらいながら、理想に近づく努力をしましょう。
「努力できない」と思っても自分を嫌いにならず、できることから始めよう
「努力」とは、ハードルの高い行動です。そのため、挫折や失敗をすることももちろんあります。だからといって、努力できない自分を嫌いになることはやめましょう。自分が怠け者なわけではなく、ただ努力に対する取り組み方や方向性がズレていただけということがあります。
自分ができる小さなことから始め、できることを少しずつ大きくしましょう。そうすることで、いつかきっと、自分でも想像していなかった光景を見られるでしょう。