大学入学や就職のために実家から離れて暮らしたり、留学で海外に住んだりなど、一人暮らしを始めてホームシックになっている人も多いのではないでしょうか。
家族や気心知れた友人に会える機会も減り、知らない人ばかりの町で暮らすことに不安やストレスを覚えることもあると思います。それでも新生活を始めたからには楽しく過ごしたいという気持ちは、きっと誰もが持っているはず。
今回はホームシックになる原因や、ホームシックになってしまったときの対処法・治し方などを解説します。
ホームシックとは? どんな症状?
ホームシックとは、故郷から離れているときに、故郷や家、家族や地元の友人が恋しくなり、帰りたいという気持ちが湧いたり憂鬱になったりすることをいいます。
原因は、置かれている環境によるものと、自分自身の性格によるものがあります。 住み慣れたところや親しい人から離れることによる孤独感や喪失感、新しい社会への溶け込みにくさなどがホームシックを引き起こします。
ホームシックの主な原因6つ
自分にとってのホームシックの原因を突き止めることで、対処しやすくなります。ここでは、ホームシックになる主な原因を紹介します。
自分に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
①慣れない環境
遠く離れた見知らぬ土地での生活は、分からないことだらけで、慣れるまでに時間がかかります。また、新しい人間関係を築くのも簡単ではなく、親しい友人ができないので孤独感を抱くこともあるでしょう。
そんな慣れない環境で学業や仕事も頑張らなくてはいけないとなると、居心地が良かった地元や家が恋しくなることは自然なこと。
このように、慣れない環境はホームシックの大きな原因です。
②身近に友人・知人がいない
初めての生活環境で、新しい人間関係を上手く構築できていない状態だと、頼れる人や相談できる人も当然いません。心細さや不安など、胸のうちを打ち明けられる相手がいないと、孤独感を抱いてしまい、ホームシックに繋がります。
③親や兄弟に頼り切って生きていた
実家にいるときは、何でも親や兄弟に頼っており、その生活に慣れすぎてしまっていたという人も、ホームシックになりやすいです。家族との絆が深く、仲が良いほど、家族と離れたときの不安や不便さを強く感じるようになり、ホームシックにかかりやすくなります。
今まで誰かがやってくれていたことも、自分が全てやらなければ生活ができないことに気づき、焦りや不安からホームシックにかかってしまうのです。
④地元の心地よさを失った喪失感
新生活に慣れてもホームシックが続いている場合は、地元から遠く離れたことによる喪失感が原因の可能性が高いです。 たまたま見たテレビやSNSで地元の様子を知ったときに、「やっぱり地元が良かったな」と思ってしまい、そこからホームシックになってしまうのです。
親しみのある地元から離れることは寂しいものです。しかし、心に空いた穴を埋めるような、新しい何かを見つけることで癒やされていくでしょう。
⑤不安や自立心からくる焦り
新しい環境に適応できないときには不安や無力さを感じます。自立心が強いほど、焦りを感じる傾向です。なんとか適応して順調に楽しく生活したいという気持ちを強く持って生活していたとしても、何かの拍子に力が抜けると「地元は良かったな」と地元や家を恋しく思う気持ちが現れてしまうのでしょう。
はやる気持ちを抑え、目の前の小さなことでも一つずつやっていけば、次第に気持ちが安定するでしょう。
⑥内気な性格
人とのコミュニケーションや人間関係の構築が苦手で、変化を好まない性格だと、初対面の人と話したり仕事をしたりするのにストレスを感じます。部屋でスマホやパソコンに向かったり、テレビを見たり料理をしたりなど、家にいることが好きな場合は、なおさら新しい人間関係を構築するのが億劫になりますよね。
上記の性格に当てはまる場合、新しい環境に馴染めないことをマイナスに捉えてしまい、ホームシックに繋がるのです。
ホームシックの主な対処法・治し方9つ
ホームシックへの対処法としては、さまざまな方法があります。
ここでは、ホームシックの原因が分かればすぐに試せる、ホームシックの対処法や治し方をまとめました。
些細な不安を解消することを積み重ねていくことで、自分に自信を持てるようになり、ホームシックも改善されることが期待できます。
①問題を書き出して客観視する
自分の心にある不安や焦りなどの問題点は、言葉や文章として書き出すことで客観的に捉えられます。新しい環境での人間関係や勉強、仕事の問題など、今悩んでいることを書き出してみましょう。そして、一つひとつについて、なぜそう思うのかを考えます。
例えば実家に依存していることがホームシックの原因だと感じるのであれば、具体的に何が原因でストレスを感じているのか書き出すと良いでしょう。その書き出したものから「家事を全てやらなくてはいけないのがきつい」「親に愚痴を聞いてもらえないのが辛い」などの原因が分かれば、次に行動すべきことが分かってきます。
悩むのが馬鹿らしいと感じられれば一歩前進です。
②時間が過ぎて慣れるのを待つ
人間は、環境に適応する能力を持っています。遠く離れたことで感じる寂しい気持ちも、時が過ぎれば徐々に感じなくなり、気づいたら今の環境を楽しんでいるなんていうことも多いです。
時が経つと新しい環境での生活にも慣れ、過去を振り返ることも少なくなります。周囲の状況も変化して、新しい出会いが次から次へとやってきます。
ホームシックを時間が解決してくれることも、少なくないのです。
③近所や地域を散策する
住み始めた町に不安を感じるのは、知らないことが多いため。周りを知らないことが不安を大きくさせるため、まずは周りを知ることを目的に出かけてみましょう。
家や会社の近所・通勤経路など、地域を散策して新しいお店や人、イベントなどに出会うことで、町に興味を抱くようになります。
自分が好きなことをキーワードにして関連する場所を訪ねることが、早く地域に慣れる秘訣です。無理に苦手な場所に行く必要はなく、好きなところが見つかれば良いのです。
④友達や知人を作る
町のさまざまな場所に出かけたり、イベントに参加したりすると知り合いができる可能性も高いです。自分と同じように、遠くからその町に来て生活している人に出会うかもしれません。
自分の好きなことや住んでいる場所から知人を増やしていくと、出会った人が自分と共通の話題や背景を持っていることから、親しみやすい存在として捉えることができます。
⑤家族に電話する
自立心が強い人は、家族に連絡して弱音を吐くのはかっこ悪いと思いがちですが、寂しいときは素直に親や友達に電話して相談してみることをおすすめします。
親しい人と話して声を聞くだけで、心が穏やかになったり前向きになれたりすることがあると覚えておきましょう。
⑥仕事や勉強・趣味に没頭する
何かに没頭することで、不安や焦りを忘れられることも多いです。学生は勉強、社会人は仕事に没頭し、料理やスポーツなどの趣味にも全力で取り組んでみましょう。
とにかく好きなことに熱中できるように意識してください。その間は嫌なことやストレスも忘れられます。
⑦インテリアにこだわる
新しい家の居心地が良いと、家に帰ってからも楽しく過ごせますし、心が休まりますよね。インテリアにこだわるだけでも、家にいるときの心地よさが一気にアップします。
お店で見つけた素敵なアイテムを置いたり、本棚をおしゃれに飾ってみたり、推しや好きなものの写真・ポスターを貼ったりというように、自分の好きなものであふれたインテリアにしてみましょう。
⑧夜は早く寝る
生活リズムが不規則だと体調を崩しやすく、悩みがあると鬱っぽくなることがあります。 夜遅くに考えごとをするとネガティブになりやすいため、あまり深く考えないで早く寝ることをおすすめします。
スマホやパソコンを深夜に見ると、寝つきが悪くなりがちです。寝る前に見ることをやめると神経の興奮が抑えられて、眠りやすくなります。 早く寝ると早く起きられるため、朝のスタートが早くなり、一日全体を通して爽やかな気分を感じられるでしょう。
⑨実家(地元)を離れた目的について再確認する
そもそもなぜ、実家や故郷を離れたかを考えてみましょう。 目的を持って今のところにいるわけで、そのモチベーションを改めて確認して、前を向いてみませんか。
地元の情報は、ときには遮断して、今やっていることに集中することも必要です。 また逆に、地元の情報を積極的に集めて満足することで、故郷に対する喪失感のような気持ちを和らげることはできるでしょう。 今の生活や仕事のほかに、故郷という趣味があると思っても構いません。
ホームシックの原因を知って対処しよう
ホームシックは誰でも経験することで、自分が劣っているわけでもメンタルが弱いわけでもありません。自分の気持ちを否定せず受け入れることが、乗り越えるための第一歩だと考えましょう。
その上で原因を自己分析し、対処法を見つけます。どうすれば良いのかが分かったら、すかさず行動して、簡単なことから一つずつ解決していくことが大切です。
そのうちに月日が経って、ホームシックの思いそのものが薄れていくはずですよ。