ソニーセミコンダクタソリューションズ(ソニーSS)は4月12日、小型のシングルボードコンピューターを手がける英Raspberry Pi(ラズベリーパイ)に出資すると発表した。
ソニーSSは、戦略出資によって両社の関係を強固にし、「世界中のRaspberry Piユーザーのコミュニティに向けて、ソニーSSのエッジAIソリューションの開発プラットフォームを提供していくことをめざす」としている。なお、ソニーSSは「少数持分出資を行うことで合意した」としており、具体的な出資額は公開していない。
ラズベリーパイは、趣味層をはじめ、教育や産業を含む幅広い分野で活用されている低価格なシングルボードコンピューター。世界最大規模の開発者コミュニティも有している。
ソニーSSはイメージセンサーなどの半導体デバイス事業を展開しており、「AITRIOS」(アイトリオス)と名付けたエッジAIセンシングプラットフォームを法人向けに展開中。現在は動作認証済みデバイスとして、AI処理機能を備えたインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を組み込んだ屋内用デバイス「SZP123S-001」(LUCID製)をラインナップしており、今後は無線LAN機能や屋外使用を想定したデバイスの投入も計画している。
ソニーセミコンダクタソリューションズ 社長 兼 CEO 清水照士氏は、「エッジAIデバイスを活用したユニークで多様なソリューション開発を支援する、我々の『AITRIOS』プラットフォームが、世界最大規模のデベロッパーコミュニティを持つRaspberry Piとのパートナーシップを築くことで、Raspberry Piユーザーと開発者コミュニティにユニークな開発体験を提供できることを大変喜ばしく思う」とコメント。
また、Raspberry Pi CEOのEben Upton氏は、「ソニーグループとRaspberry Piは、長期にわたる重要な戦略パートナーだ。製造委託から、イメージセンサーおよびその他の半導体製品の取引にいたるまで、関係性を構築している。今回の協業は我々の関係を拡充させ、ソニーセミコンダクタソリューションズのAI技術を用いた製品群をRaspberry Piのエコシステムに導入する。これにより、ユーザーがエッジにおいて、機械学習を活用した新しい魅力的なアプリケーションを構築できるよう支援する」と述べている。