俳優の横浜流星が主演を務める、映画『ヴィレッジ』(4月21日公開)の本編シーンとメイキング写真が12日、公開された。

  • 映画『ヴィレッジ』

    映画『ヴィレッジ』

作はスターサンズ・河村光庸プロデューサーが企画し、藤井道人が脚本・監督を務めるオリジナル作。夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村(かもんむら)。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。幼い頃よりこの村に住んでいる片山優(横浜流星)は、美しい村にとって異彩を放つ、このゴミ処理施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ、ゴミ処理施設で働く作業員に目をつけられ、希望のない日々を送っていた。そんなある日、幼馴染の美咲が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出す。

今回公開されたのは、優と美咲(黒木華)が村で行われる「薪能」を観に村の能楽堂を訪れるシーン。そこでは毎年、村に伝わる伝統的な「薪能」が行われ、子供のころの優と美咲にとっては親しみ深い場所だった。村中から蔑まれ、過去の汚名を背負って生きる今の優にとっては避けてきた場所でもあるが、美咲に誘われて久しぶりに「能」を鑑賞する。

燃え盛る松明の美しい灯りとどこか荘厳な音色を奏でる囃子(伴奏)が流れる中、能を舞うのは歌舞伎役者としても活躍する中村獅童が演じる大橋光吉。光吉は、代々村長を受け継ぎ、村の中で絶大な権力を誇る大橋家の次男で、能の舞手として才能を発揮し、将来を有望視されてきたものの、ある事件をきっかけに村を出て刑事になっている。

映像では、優や美咲のほか、同じように「能」を鑑賞する美咲の弟・恵一(作間龍斗)や、村長として豪腕を振るう光吉の兄、大橋修作(古田新太)。さらに、彼らの母であり、村の象徴たる存在として君臨し続ける大橋ふみ(木野花)、修作の息子で権力を笠に悪行を繰り返す透(一ノ瀬ワタル)といった、錚々たるメンバーが勢揃いしている。一癖も二癖もある曲者たちが、それぞれの思惑を孕んだ表情で「能」の演目を見つめる様は、張り詰めた緊張感と、これから何かが起こりそうな気配をひしひしと予感させる濃厚な1シーンとなっている。

本作において「能」は物語の核をなす重要なメタファーであり、その演目「邯鄲」は作品に大きな影響を与えている。実際に能楽師の塩津圭介氏が演目選びから所作の指導、監修、出演まで全面的協力し、今回解禁されたシーンでも圭介の父である哲生をはじめ、シテ方から囃子方(伴奏担当)まで現役の能楽師の面々が出演。謡、囃子、足拍子などが一体となったその迫力は圧巻で、録音技師の岡本立洋も思わず「思ったよりロックでびっくりした!」と驚いたという。

光吉として「能」に触れた中村は「歌舞伎には能や狂言を取り入れた演目も多くて、『松羽目物』といって能を模した形式で上演させていただくのですが、歌舞伎の舞台における能がかった動きと能そのものの動きというのはまた違うんです」とその難しさを語っている。

今回映像とともに、稽古をつけてもらっている中村の貴重なメイキング写真や、優と美咲の前で「能」を披露する場面写真も公開された。実は、このシーンで着ている着物は中村獅童自身の私物だったということも明かされた。

(C)2023「ヴィレッジ」製作委員会