ヤマハ発動機では、二輪車の主要外装部品として使用できる高品質の「環境対応型リサイクルポリプロピレン材」を新開発した。まずはASEAN市場に展開するコミューター(2023年型主要モデル)から導入を進めるという。担当者がオンラインにて詳細と今後の方針について説明した。
環境対応型リサイクルPP材の特徴
PP材は、二輪車の外装部品に多く使われる樹脂材のうちの5割強を占めている。ヤマハ発動機ではこれまでもリサイクルPP材の導入を積極的に進めてきたが、新たに開発した環境対応型リサイクルPP材は、より強度が増し、外観品質レベルも向上したという。
ヤマハ発動機 生産技術本部の松本康彦氏は、まず基本的な話として「PPリサイクル材は、回収した材料を用いて製造します。従来のPPバージン材のように原油精製、ナフサ蒸留プロセスを経ずに製造できるため、CO2排出量を抑えることができます」と説明。アセアン主要拠点においては2009年頃から外装部品用リサイクルPP材の使用比率を増やしてきた、と紹介する。
ただ、リサイクルPP材はユーザーが廃棄した市中回収材(バッテリーケースなど)を用いるため、強度を高く設定できず、また高意匠の部位にも使用できなかった。ヤマハ発動機でも、強度のニーズがそれほど高くないカバー類などに使用している。
新たに開発した環境対応型リサイクルPP材は、石油化学メーカーの重合工程において(樹脂合成切替時に発生する中間材の)パージ材や、成形メーカーで発生する端材などを使用する。「どちらも従来なら廃棄されていた材料。品質も高いため、高強度で、高意匠の部位にも使用できる物性を得ています」と松本氏。そこで同社では、アセアン市場におけるコミューターから導入していく。たとえば『GEAR125』では、フロントマスクなどの外装部品に多く適用していく考えだ。
ヤマハ発動機では今後、環境対応型リサイクルPP材を活用することで二輪車製品におけるリサイクル材の採用比率を高めるとともに、将来的には二輪車以外の製品領域(船外機、ゴルフカーなど)にも段階的に使用していく構え。松本氏は「ヤマハ発動機グループの環境計画2050にて、2050年までに事業活動を含むサプライチェーン全体のカーボンニュートラルを目指しています。その実現のため、100%サステナブル材への切り替え(2050年)を目標に、グリーン材の採用、リサイクル材の拡大などを推進していきます」と説明した。