三菱電機はこのほど、4月10日の「エアコン試運転の日」に併せて、夏が来る前に夏前に冷房の試運転を実施したほうが良い理由と、具体的な試運転の実施方法を公開した。

  • 試運転を行わないと故障を見逃す可能性も

総務省消防庁によると、2022年夏、熱中症で救急搬送された人のうち39.5%が住居で熱中症を発症している。対策の1つとしてエアコンの活用が推奨されているが、故障で冷房が効かないといったトラブルが起こる場合もある。それを防ぐため、本格的に暑くなる前に、エアコンの調子を確認する冷房の試運転が重要になるという。

エアコンは、暖房運転時に問題なく使えていたとしても、冷房運転時に「結露水(ドレン水)まわり」の部分に不具合が発生する可能性がある。暖房運転では室内機内部に結露は起こらないが、冷房運転では結露が起こるため、冷房の試運転で「ドレンホースから適切に結露水が排出されているか」「室内機から水漏れがしないか」などを確認する必要があるのだ。

ドレンホースから結露水が適切に排出されていない場合は、内部に溜まった結露水がエアコンから漏れ出てくることがある。また見えない部分で水漏れが発生し、部屋の壁が腐食するなどのトラブルが生じる可能性もあるという。

  • 冷房運転時にドレン水を排水している仕組み

では、なぜ夏前の4月・5月に試運転を行う必要があるのか。同社は理由として、エアコンの設置・修理工事は6月〜8月が繁忙期であること、修理を依頼できたとしても、補修用性能部品の保有期間を過ぎていると、部品が手配できず買い替えが必要になってしまうことを挙げている。

  • 2022年4月~9月までのエアコン相談件数月別推移(三菱電機調べ)

次に「冷房試運転の3ステップ」を紹介する。ステップ1では、電源プラグやコンセント、室外機まわりをチェックし、「ほこりの付着、変色、がたつき、ゆるみがないか」「電源コードを束ねたり、延長コードを使用したりしていないか」「電源コードに傷がついていたり、途中で接続されたりしていないか」「室外機の前に室外機の風通しをふさぐような障害物を置いていないか」を確認する。

ステップ2では、冷房効率を下げないためにエアコン内部のフィルターの汚れをチェック。吹出し口やファン、熱交換器にカビが生えて気になる場合は、販売店やメーカーの修理窓口に相談の上、室内機を洗浄する。なお、誤った洗浄剤の選定・使用方法で洗浄すると破損や水漏れなどの原因になるほか、洗浄剤が電機品やモーターにかかると故障や発煙の原因になるため、自身で室内機の洗浄は行わないよう呼びかけている。

ステップ3では、試運転を実施する。まず屋外のドレンホースのねじれや詰まり、先端につぶれがないかをチェック。その後、運転モードを「冷房」、設定温度を「最低」にして運転する。10分程度運転して、室内機の吹き出し口から冷たい風がでているか確認した後、さらに20分程度運転し、室内機から水漏れがないか確かめる。正常に運転できた場合は設定温度を元に戻して運転を停止し、異音や異臭など異常があった場合はメーカー・販売店へ連絡しよう。

  • 冷房試運転の3ステップ

同社は、エアコンが必要な時にすぐ使えるよう早めに試運転を実施し、調子が悪い場合は暑くなる前に修理や買い替えを済ませてほしいとしている。