韓国ポップカルチャー人気の高まりを受けて、趣味感覚で韓国語を学ぶ人も増加中。その象徴ともいえるのが、特有の文字「ハングル」ではないでしょうか。韓国旅行中、読み方がわからなくて困ったという人もいるはずです。
一見記号のようなハングルですが、実は計画的かつ合理的に作られたという点で、世界的にも珍しい文字であることをご存じですか? 韓国語を学ぶ人はもちろん、そうでない人も知っておきたい、ハングルにまつわる豆知識を無料語学アプリ「Duolingo」に聞いてみました。
世界的にも珍しい、計画的に作られた文字「ハングル」
韓国語を学ぶ人が避けて通れないのが「ハングル」。なじみのない人にとっては一見記号のように見えますが、実は、ハングルは計画的かつ合理的に作られた文字なのです。まずは簡単に、ハングル誕生の経緯を紐解いてみましょう。
韓国語は15世紀半ばまで独自の文字を持っていなかったため、韓国語を文字で表現する際には漢字が使われていました。
ところが、韓国語を漢字で表記すると、文法も語順もまったく異なる2つの言語が混在することになるため、漢字で表記した韓国語の文章の意味を理解するには、膨大な知識が必要でした。そのため、かつての韓国では、何千もの漢字を数年がかりで学ぶ余裕のあるエリート階級(おもに男性貴族)しか読み書きができなかったのです。
庶民の識字率の低さを憂いた朝鮮王朝の世宗大王(セジョンデワン)は、1443年、学者たちを集めて、誰にでも読み書きできる文字の考案を命じます。こうして生まれたのがハングルで、1446年に一連の書物として公布されました。
その中でも特に有名なのが「훈민정음(フンミンジョンウム、訓民正音)」です。ハングルの創製によって、私たちは韓国語の音を完璧に理解できるようになったのです。
ハングルのように、「公布」という形で世に広がり、作った人と作られた年が明確に記録されている文字は世界的にも珍しいといいます。
400年以上を経てやっと国字化されることに
今では韓国人の誇りであり、画期的な文字として世界的にも評価されているハングル。ところが、実は創製後すぐに広く普及したわけではありませんでした。
世宗大王が粉骨砕身してハングル創製を主導したものの、ハングルはそのシンプルさゆえ、当時の知識層から「知識のない平民が使う卑しい文字」として蔑まれていたからです。そのため、一般に普及してからもしばらくはハングルが公文書で使用されることはありませんでした。ハングルが正式に国字化されたのは1894年、世宗大王の公布から実に448年が経ってからのことです。
1970年、大統領令により「ハングルの日(10月9日)」が制定されました。1991年に一度公休日から外されたものの、近年、ハングルに対する国際的な評価の高まりなどもあり、2013年から再び祝日となっています。
韓国において、「ハングル」の日は、ハングルの創製を主導した世宗大王の功績を称えるとともに、ハングルの普及・研究を奨励する日。建国記念日にあたる開天節(10月3日)からハングルの日までのあいだ、「ハングル週間」としてさまざまなイベントが開催されます。
ハングルの子音は発音器官の形を模している
韓国語を学んだことがない人にとっては、とっつきにくく見えるハングルですが、仕組みさえ理解すれば、思いのほか短時間で読みこなせるようになります。というのも、ハングルはひらがなやカタカナ同様、文字が音を表す「表音文字」であり、その形にも意味があるからです。
ハングルは14の子音と、10の母音の組み合わせでできていますが、子音は、発音するときの喉・舌・唇・歯などの動きをかたどって作られています。
発音が似ている子音は形も似ているので、ㄱ(g)・ㄴ(n)・ㅁ(m)・ㅅ(s)・ㅇ(無音/ng)の5つの基本子音とその発音の仕方を覚えるだけで、残りの子音も簡単に覚えることができるのです。
母音は「天」「地」「人」を象徴
一方の母音は丸い点、横に長い線、縦に長い線の組み合わせから成っています。これらは「天」と「地」と「人」を象徴していることから、「天地人」と呼ばれ、天に当たる丸い点が線の上や右にくると音が明るく聞こえることから「陽母音」、下や左にくると音が暗く聞こえることから「陰母音」といいます。
なお、ハングルで母音の音を書き表すときは、無音のㅇを組み合わせて아(a)のように表記します。
また、書き順は日本語の文字同様、「縦から横、左から右、上から下」が原則。ちなみに、現在の韓国ではほとんど見られなくなりましたが、韓国でも昔は、日本の文学や手紙等で用いられるような「縦書き」が一般的でした。
ハングル誕生の歴史はドラマや映画にも
ハングルの誕生から現在まで570年以上。その間、韓国語の在り方は大きく変化し、とりわけ1980年代以降、韓国の文字はハングルが中心となりました。
ハングルの創製を主導した世宗大王は、朝鮮王朝史上屈指の名君と言われ、今なお韓国で尊敬される偉人。韓国の1万ウォン札の肖像として描かれているほか、ハングル創製にまつわる大王の奮闘は『根の深い木 〜世宗大王の誓い〜』『王の願い ハングルの始まり』など、映画やドラマの題材にもなっています。
映画やドラマを通してハングル誕生の背景を知れば、韓国語学習がもっと楽しくなるのではないでしょうか。
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