環境保護への取り組みを積極的に進めていることで知られるアップル。2018年には、世界44カ国のオフィスやデータセンター、直営店の店舗など、自社の企業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替え、脱炭素化を達成しています。
次の目標としてアップルが掲げているのが、2030年までにサプライチェーンを含めて脱炭素化を図ること。その目標に向け、iPhoneなどのアップル製品で使われている部品などを製造しているサプライヤー(納入業者)に対し、アップル関連製品の製造にまつわる企業活動について、2030年までに脱炭素化を完了するよう要請しています。
再生可能エネルギーの使用、1年で3割増に
4月5日にアップルが発表した最新の進捗状況では、以下のように取り組みが進展していることが分かりました。
- サプライヤーの電力使用のうち、再生可能エネルギーの使用が昨年より30%近く増え、世界中で13.7ギガワットを超えた
→1年で1,740万トンの二酸化炭素排出を回避したことになり、道路から380万台近くの自動車を排除することに匹敵 - 28か国で事業を展開する250社以上のサプライヤーが、2030年までにアップル関連のすべての製造に再生可能エネルギーを使うことを確約
→アップル製品の製造に使用するエネルギーの85%以上に相当、20ギガワット以上の確約になる
これらサプライヤーの脱炭素化の取り組みを支援するためにアップルが用意しているのが「サプライヤークリーンエネルギープログラム」です。アップルが脱炭素化を進めた際のノウハウをサプライヤーと共有するための仕組みで、資料やライブトレーニングを無料で提供します。このプログラムに参加した各国のサプライヤーは、100%再生可能エネルギーを続々と達成するなど、着実な効果を上げていることが分かりました。
日本では、サプライヤークリーンエネルギープログラムに参加するサプライヤーが、この2年で3倍以上に増加。現在は、34社のサプライヤーがアップル関連製品の製造において、100%の再生可能エネルギーを調達することを約束しています。
さらにアップルは、環境対策の事業に必要な資金を調達する「グリーンボンド」の資金を生かし、大規模太陽光発電プロジェクトを展開しているほか、低炭素設計、エネルギー効率向上、炭素除去への投資を実施しています。グリーンボンドの調達金額は、これまで47億ドル(約6178億円)に達しています。
野心的な目標を立てたアップルですが、今後も各国のサプライヤーを巻き込んで、世界的な脱炭素化を主導する役割を果たしていくことになりそうです。