JR東日本は4日、既存の鉄道ネットワークを活用し、多方面から羽田空港へのダイレクトアクセスを実現する「羽田空港アクセス線(仮称)」の本格的な工事に着手すると発表した。「東山手ルート」「アクセス新線」の本格的な工事に着手し、2031年度の開業をめざす。
「羽田空港アクセス線(仮称)」は、2016年4月の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」において、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークプロジェクト」に位置づけられ、インバウンド需要のさらなる拡大など、首都空港として重要性が高まる羽田空港の機能強化にも大きく寄与する計画だという。
今回着手する「東山手ルート」と「アクセス新線」は、現在休止している大汐線の橋りょう・高架橋等の既存ストックを有効活用し、東京駅と羽田空港を直結するほか、宇都宮線・高崎線・常磐線方面からの所要時間短縮、乗換解消・低減など、広範なエリアからの空港アクセスの改善を図る。現在、東京駅から羽田空港へ、鉄道を利用した場合の所要時間は30分程度だが、「羽田空港アクセス線(仮称)」によって乗換えなく約18分で到着が可能になる。
東海道線接続区間の工事は、田町駅の東京方にある山手線引上げ線を撤去し、山手線外回り、京浜東北線南行、東海道線上りを順次移設。東海道線上下間にスペースを確保する。そのスペースを用い、開削トンネル・シールドトンネルを構築することで、東海道線と大汐線(現在休止中)が接続する線路を敷設する。
大汐線改修区間の工事は、1998年から鉄道事業を休止している大汐線の橋りょう・高架橋等の既存ストックを有効活用し、土木・軌道・電気の各設備について健全度を調査した上で、必要な改修や改良を実施する。
東京貨物ターミナル内改良区間の工事は、東京貨物ターミナル内にJR東日本が保有している用地を用い、「羽田空港アクセス線(仮称)」の運行に必要となる車両留置線や保守基地線を整備(約2万3,000平方メートル)する。
アクセス新線区間の工事は、東京貨物ターミナルから公共施設、道路、運河下を通過するルートで、最大深度約50m、延長約4.2kmの複線シールドトンネルを構築し、羽田空港新駅(仮称)に至る新たな線路を敷設する。
羽田空港新駅(仮称)の工事は、第1旅客ターミナル・第2旅客ターミナル間の空港構内道路下に、最大幅員約12m、延長約310mの島式1面2線のホームを有する地下駅を設置。ホームは地下1階の高さであり、第2旅客ターミナルへ高低差なく移動が可能になる。なお、空港島内のシールドトンネル・開削トンネルは国土交通省が空港整備事業で整備予定となっている。