帝国データバンクは、食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査を行った。※対象期間:3月31日12時時点
4月は今年2番目の値上げラッシュとなる。2023年における家庭用を中心とした飲食料品の値上げ品目数は、3月末までの判明ベースで累計1万8544品目に上った。このうち、4月1日をもって23年内に値上げ済みとなる食品は累計1万品目を超えた。また、今年1-6月までの累計品目数(1万7,928品目)は、前年と同じ時期(22年1-6月:8,243品目)に比べ2倍を超えるペースで推移している。
2023年4月単月の値上げ品目数は、加工食品を中心に5,106品目だった。前年同月(1,204品目)の4倍超に上るほか、今年2月以降3カ月連続で前年を上回った。5月以降も2022年を上回る水準の値上げが予定されており、5月は前年比3倍、6月には前年にほぼ並ぶ2,390品目の値上げが予定される。7月以降も、4月に行われる輸入小麦の価格改定、電気代の引き上げなどを背景に断続的な値上げが続く。値上げは今春を一旦ピークとしながらも増加ペースは早まっており、4月中にも計画ベースで年内値上げ累計2万品目を突破するとみられる。
2023年に予定される値上げ1.8万品目のうち、原材料高が理由となったものは99%以上(品目数ベース)と、ほぼ全てで原材料高が理由にあげられた。また、供給不足が続く鶏卵価格高騰を理由とした値上げ、人件費上昇による値上げも目立ってきた。電気代などのエネルギー代や物流コスト、輸入コスト上昇も続き、製品価格へ緩やかに反映する動きが引き続き目立っている。
2023年4月の値上げで最も多い食品分野は加工食品で2,273品目となり、単月全体の約4割を占めた。ハム・ソーセージなど肉製品のほか、チルド麺製品、冷凍食品などで値上げが行われる。パック牛乳など乳製品(768品目)は、単月としては前年11月を上回り22年以降で最多だった。酒類・飲料(791品目)も、缶ビールなど大規模値上げが行われた22年10月(3,778品目)に次ぐ多さで、輸入ウイスキーや甲乙類焼酎などの値上げが中心となっている。調味料(972品目)は、だし製品に加えてしょうゆやマヨネーズ、ポン酢などの各調味料製品で値上げが実施される。
2023年通年では、6月に即席麺だけで200品目を超える値上げが行われる加工食品(9,023品目)が最多で、前年累計(9,468品目)を上回り年間累計1万品目を超える可能性がある。
2023年の食品値上げは、判明ベースで4月中の2万品目超えがほぼ確実となる。これまでのコスト増加分における価格転嫁は十分にできていないほか、鶏卵や海苔、電気代など新たな値上げ圧力も出現しており、頻繁で断続的な価格改定の動きは今秋10月頃まで長引く可能性がある。
今後は、5%に抑制された「輸入小麦」の価格改定に伴い、パンや麺製品の価格が引き上げられるかが焦点となる。特にパン製品は、小麦以外にもショートニングや乳製品、砂糖類など原材料の多くで価格が上昇しており、菓子パン類を中心に昨年7月以来の大規模な値上げが年内にも行われる可能性が残る。物流コストや容器代などのコスト増に直面している、小型PETボトル製品や缶ビール・缶RTD飲料製品の値上げも注視したいポイントとなる。