2022年に国内で一番売れた車は何だったのだろうか? 自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)が発表した人気車ブランドのランキングを紹介しよう。
2022年度人気車種TOP10
順位 | ブランド通称名 | ブランド名 | 販売台数 |
---|---|---|---|
1 | トヨタ | ヤリス | 168,557 |
2 | トヨタ | カローラ | 131,548 |
3 | 日産 | ノート | 110,113 |
4 | トヨタ | ルーミー | 109,236 |
5 | トヨタ | ライズ | 83,620 |
6 | ホンダ | フリード | 79,525 |
7 | トヨタ | アクア | 72,084 |
8 | トヨタ | シエンタ | 68,922 |
9 | ホンダ | フィット | 60,271 |
10 | トヨタ | アルファード | 60,225 |
※軽自動車および海外ブランド車を除く
1位: トヨタ「ヤリス」
「ヤリス」はトヨタが世界戦略車として開発したコンパクトカーで、国内では長年「ヴィッツ」の名称で親しまれてきたが、4代目のフルモデルチェンジを機に世界名称に統一され、今やその名前も浸透しつつある。トヨタの新しい設計思想「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を導入したことで、自動車としての基本性能やデザインなどのポテンシャルを大幅に向上させている。
エンジンは新設計の3気筒1.0Lと1.5Lにハイブリッドも加え、十分なパワーと省燃費性能を両立。また、ボディがひと回り大きく、デザインも異なるSUVタイプの「ヤリスクロス」もヒットして販売台数を伸ばしている。そのほか、WRCのホモロゲーションモデルとして、ベーシックの「ヤリス」とは比較にならないほどパワフルなエンジンと強靭な車体を持つ「GRヤリス」も話題となった。
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2位: トヨタ「カローラ」
クルマに詳しくない人でも、ファミリーカーの代名詞として知名度の高いトヨタ「カローラ」。実に50年以上の歴史を持ち、累計販売台数は5000万台を越え、ギネス記録を更新している。国内ではミニバンやハイブリッドカーの「プリウス」、「アクア」や「シエンタ」のようなコンパクトカーに主役の座を奪われていた時期もあったが、12代目は3ナンバーサイズのTNGAプラットフォームによる高い走行性能と精悍なデザインで生まれ変わり、見事に復活を果たした。
「カローラ」の特徴は、トヨタのもう一つの主力車である「ヤリス」以上に、さまざまなバリエーションを持ち、幅広い年齢層やライフスタイルに応じたモデルを選択できることだ。セダンを基調に、エントリー層やスポーツユーザー向けのハッチバックやツーリングワゴンのほか、シリーズ初のSUV版として生まれた「カローラクロス」も大ヒット。誰にでも扱いやすい大衆車というイメージを持ちつつも、1.6Lで304馬力の強心臓を持つ「GRカローラ」の登場や、水素エンジンによる耐久レースへの参戦も話題となった。
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3位: 日産「ノート」
トヨタ一強の中、3位を獲得した「ノート」は、日産が世界戦略車とする小型ハッチバック。2020年の3代目からパワートレインは「e-POWER」のみに絞られたが、発売以降はトヨタを抑えてトップに立つなど、順調に販売台数を伸ばしている。ハイブリッドカーとしては先輩にあたるトヨタ「プリウス」との違いは、トヨタがモーターとエンジンを併用した動力源とする「スプリット方式」なのに対し、日産の「e-POWER」は、エンジンを発電のみに使用する「シリーズ方式」を採用している点だ。
「e-POWER」のような「シリーズ方式」のメリットは、市街地ではモーター主体の静かな走行が行えることだ。もちろん、発電のためにエンジンを始動する必要もあるが、第二世代「e-POWER」では、ロードノイズの大きさを検知してエンジンの始動タイミングをコントロールするなど、さらに静粛性を向上させている。また、アクセルのオン/オフでスピード調整をするワンペダル方式など、未来を感じさせる運転感覚も脚光を浴びた。2021年の夏にはボディを3ナンバー化したプレミアム版の「ノートオーラ」を、2023年1月にはSUVの機能やスタイルを融合させた「AUTECH CROSSOVER +Active」シリーズに加えている。
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4位: トヨタ「ルーミー」
2016年の登場から現在に至るまで、大きなモデルチェンジも行わずにロングセラーとなっている小型ハイトワゴンがトヨタ「ルーミー」。トヨタの子会社であるダイハツが設計した「トール」のOEM車だが、ダイハツが長年の軽自動車製造で培った数々のノウハウが詰め込まれている。
ダイハツが主業とする軽自動車のジャンルでは、1,700mm以上の車高に後席スライドドアを持つ「スーパーハイトワゴン」が主流となっている。これに近いパッケージを持つ「ルーミー」は、それらと同じ価格帯で車格も若干大きいため、5人乗りの十分なスペースや、軽自動車並みの小回り性能を持っている。先進安全装備「スマートアシスト」も備えるなど、実用的なクルマとしての堅実さが人気の秘訣だろう。
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5位: トヨタ「ライズ」
2019年11月に登場し、SUV車としては初めて首位に立ったモデルがトヨタ「ライズ」。こちらも「ルーミー」同様、子会社であるダイハツが開発した小型SUV「ロッキー」のOEM車だ。衝突回避やペダル踏み間違えの急発進を防止する安全性能も装備し、エンジンは従来の1.0Lターボに加え、2021年には新開発の1.2Lと「e-SMARTハイブリッド」も投入された。
もともとトヨタには90年代にヒットした「RAV4」というSUVが存在したが、5ナンバーサイズの初代からモデルチェンジを繰り返し、北米などの海外向けモデルになってからは車格も大きくなっていった。そのため、再びSUVブームに沸いた日本国内では、初代「RAV4」に近いサイズと、200万円前後という買いやすい価格の「ライズ」が受け入れられたようだ。
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2022年の自動車業界は大幅な納期遅れに揺れた一年になったが、現在はサプライヤーと調整を行い改善の兆しを見せているようだ。しかし、半導体や鉄鋼、樹脂などの部材は自動車以外の製品にも使われるうえ、世界情勢も安定しないため、今後も予断を許さない状態が続くだろう。
また、世界的にカーボンニュートラルに向けてICE(内燃機関)エンジンからEVへのシフトを進めてきたが、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機の影響もあり、EUは2035年以降のハイブリッドを含めたエンジン搭載車の販売禁止を撤回し、合成燃料を可能とするというニュースも飛び込んできた。
それまでは日本国内でも政府や自治体が国際世論に同調する形で脱ガソリン車の方針を打ち出し、国内外の自動車メーカーもBEV車の開発を余儀なくされてきたが、今後の状況によっては方針を転換させる可能性も少なくないだろう。
こうした中では、EV以外にも「プリウス」をはじめとするハイブリッドや、FCV(燃料電池)、市販を表明している水素エンジンなど、さまざまなパワートレインを持つトヨタがさらに有利になるはずだ。これに対し、ホンダや日産などのライバルメーカーはどのような動きを見せるだろうか?
※ブランド通称名とは、国産メーカーの同一車名を合算したものであり、海外生産車を含む
※上位台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含む(例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含む)