「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place To Work Institute Japan(GPTWジャパン)は、日本の働く人々が職場・仕事に対してどのような意識を持っているのか、性・年代別に調査した。
同調査は2023年2月3日〜2月6日、20〜60代の働く男女600名(※性別は300名ずつの均等割り付け)を対象に、インターネット調査にて行った。
全体では、現在の職場に満足していると回答したのは、61.5%に。
年齢、男女別の結果をみると、男女の満足度の差が大きいのは3、40代。特に30代では、現在の職場にとても「満足している」と回答した男性は13.8%であるのに対して、女性は約半数の7.0%という結果となった。
また、職場に満足していないと回答した30代の男性は31.0%であったのに対して、同年代の女性は52.6%と20pt以上の差があった。
全体では、今すぐに退職・転職したいと検討しているのは10.5%にとどまり、残りの89.5%はすぐに行動を起こすことを考えていない、という結果となった。
男女別の結果をみると男性は53.2%、女性は65.4%が20代ですでに転職について考えている。
全体では、気兼ねなく有休を取得できると感じているのは45.5%と半分を下回る。20代男性は、同年代の女性と比較すると、有休を取得しやすいと感じている割合が23.2pt低い。
男性は、年代が上がるごとに「気兼ねなく取得できる」と回答する割合が増えていくのに対して、女性は50代で少し上がるものの、年齢が上がるごとに下がっていく。
約半数の48.6%が職場の上司は、完全に尊敬することができていないという結果となった。
※実際に聞いた設問は「あなたが勤めている職場の上司は、リーダーシップがあると思いますか。 また、尊敬できる存在だと思いますか。 それぞれあてはまるものをお選びください」。ほぼ同じような分布であることから、ここには後者の回答結果のみ表示。
コミュニケーションが活発だと考えているのは56.5%にとどまり、残りの43.5%はコミュニケーション不足を感じている。
全体では、自身が働いている会社を友人に勧めたくない人(全く勧めたくない+あまり勧めたくない)の割合が、勧めたいと回答した人より多い、61.5%となった。中でも30代女性は友人に勧めたくないと考えている割合が最も多い、75.4%となった。
全体では、職場で評価されていると感じていると回答したのは 51.6 %にとどまり、約半数が、職場で正当に評価されていないと感じている。
性、年代別でみると、60代男性は正当に評価されていると感じている割合が多く、68.8%が職場で正当に評価されていると回答している。女性は50代で少し増加するが、全体的にみると20代の53.8%から年齢が上がるにつれて評価されている、と回答する割合が減少していく。
全体では、仕事を通して成長したいと考えている割合は60.5%にとどまり、残りの39.5%は仕事に成長を求めていないという結果となった。
性別、年齢別でみると、50代女性が仕事を通して成長したいと考えている割合が66.6%と最も多い。反対に、仕事を通して成長したいとあまり思わない、全く思わないと回答したのは20代男性が最も多く、46.8%となった。
全体では、52%が自身が勤めている職場は、成長できる環境ではないと回答。特に30代女性は、アンケートを取った中で最も多い61.4%が「全く思わない」もしくは「あまりそう思わない」と回答。反対に30代男性は58.6%の人が「とてもそう思う」または「ややそう思う」と答えている。
「あなたは、仕事を通して成長したいという思いはありますか」の質問に対し「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した363名のうち、「あなたが勤めている職場は、自分の意見や主張が聞いてもらえる環境だと思いますか」の質問に対し「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した人の割合は70.8%となった。
仕事をする上でのモチベーションとしてはボーナス、昇給、稼ぐなど給料に関連した回答が一番多く、その次にスキルアップやお客様といった、仕事のやりがいに関連したワードが続く結果となった。
※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析
※スコアが大きい単語ほど大きく表示
※単語の色は品詞の種類で異なっており、青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞、灰色が感動詞を表す
今回は日本の「働きがい」の現状を探るべく、20〜60代の働く男女に仕事や職場に関する様々な質問を投げかけた。全体としては約4割の人が現在の職場に満足していないという結果となり、不満を持ちながらも我慢して働く人が一定数いることが示唆された。
同社は「働きがい=働きやすさ+やりがい」と捉えている。「有休を『取得しにくい』人が2割に満たない結果を踏まえると、日本の働きやすさは年々向上してきているが、同時に『やりがい』を上げていくことが喫緊の課題である」としている。
また、いくつかの質問では性・年代によって傾向が異なる結果となった。同社では、「30代になると職場満足度の男女のギャップが広がることは、女性がライフイベントを経て当初思い描いたようなキャリアを歩めなくなるといった事象に関係があるようにも思われます」と分析している。