「かいほう」という漢字を使うとき、「解放」「開放」どちらを使うか迷ったことはありませんか。一部の漢字が同じであることから、何となく同じような意味だと思っている人もいるかもしれません。
本記事では「解放」「開放」について、その違いや意味と例文、「ゲーム」「心」「メモリ」などに用いるときの具体的な使い分けなどを紹介します。類語や対義語、英語表現もまとめました。
「解放」と「開放」の違いとは
「解放」と「開放」はどちらも「かいほう」と読み、「はなす、自由にさせる」などの意味を持つ「放」の字が入っています。
「解」は「ほどく、無くす、バラバラにする」などの意味を持ちます。一方「開」は「ひらく、あける、始まる」などの意味を持ちます。
「解放」と「開放」の違いは、「解放」が「ほどく、無くす」ことによって、あるものを放ち自由にすることを表し、「開放」が「ひらく、あける」ことによって、あるものを放ち自由にすることを表している点です。
以下で、「解放」「開放」のそれぞれの意味を、より細かく見ていきましょう。
「解放」の意味とは
「解放」は、「体・心の束縛や制限を取り除き、自由にすること」を意味する言葉です。
「解放」は「解き放つ(ときはなつ)」という漢字からもわかるように、何かの拘束や束縛・制限などといった自由でない状況から解き放ち、自由にすることを意味しています。
例えば「人質を解放する」のように、自由でない状況から離れて自由になる様子を指して使われます。「何かに縛られて苦しんでいるような状態から自由になる」というようなニュアンスを持つ性質上、主に人や心体などに対して使われます。
「開放」の意味とは
「開放」は「門や扉などをあけはなす、あけたままにすることで、自由に出入りできるようにすること」「隠さずありのままを見せること」などの意味があります。
密閉・閉鎖されている場所や空間を開け広げるという意味があり、主に場所や建物などを対象にして用いられます。
こちらの「開放」は「解放」とは違い、何かにとらわれたり拘束されたり、苦しんでいる状態が前提とはなっていません。いわゆる「開けっ放しにする」ことを指す言葉です。
「解放」と「開放」の使い方・例文
それぞれの意味を確認した後は、実際の例文で使い方のイメージをとらえましょう。「解放」と「開放」の例文をそれぞれ紹介します。
「解放」を使った例文
・「試験が終わり、ただならぬプレッシャーから解放された。」
試験勉強で自由に遊ぶことができずに拘束された状態から、試験が終わり身も心も解放されたという状況を表した例文です。対象となる人が試験勉強というものに縛られていた状態が前提にあることがわかるでしょう。
・「久しぶりの連休で解放感に満ちている。」
仕事が忙しく休みがない状態から、久しぶりに連休となり、仕事から身も心も解放されたという状況を表した例文です。対象となる人が仕事などで休めない状況にあり、そこから解放されたことがわかる例文となっています。
「開放」を使った例文
・この家は吹き抜けがあって、とても開放感がある。」
吹き抜けがある家を見て、「開けていて広々としている」と感じていることが伝わる例文です。この場合は、「とらわれていた心や体が解き放たれた」というような意味ではなく、空間を隔てる壁や仕切りなどがあまりない、広々とした場所や空間などに対して使われています。
・「放課後は気温が30度以下の場合のみ、校庭が開放される。」
こちらも場所に対して使われていることがわかるでしょう。自由に出入りできる、使えるということを指しています。
「解放」と「開放」の具体的な使い分け
ここからは、実際に「解放」と「開放」の使い分けについて見ていきます。どちらが当てはまるか考えながら読み進めてみてください。
ゲームでの「かいほうする」
この場合はどちらの「かいほう」が使われるでしょうか。
答えは、ゲームの何が「かいほう」されるかによって異なります。例えば、ゲーム内のレベルやミッションなどには「解放」を使います。
次のレベルやミッションにうつる場合には、何かしらの制限・条件があり、そこから解き放たれる必要があるためです。それをクリアし自由になって、次のステップを目指す、という意味で「解放」が使われます。
一方、ポートフィルタリング機能など、接続ができなかったゲームをつなぐ場合には、「開放」を使って「ポート開放」などと言います。
これは、遮断していた何かを開け広げるという意味から「開放」の方を使います。
心を「かいほうする」
心を「かいほうする」といった場合にはどちらが使われるでしょうか。
これも、自分の状況や伝えたい内容によって異なります。「悩みやストレスなどの何らかの拘束・重圧から解き放たれた」という意味であれば、「解放」と書けるでしょう。
一方、「心を開けっぴろげにする」「心をオープンにする」というような意味で使う場合には、「開放」を使います。この場合、「心を開放する」というよりは、「開放的な人」「開放的な性格」などの形で使うことが多いです。
元々の意味を理解していれば、使い分けもそこまで難しく考えなくてもできるでしょう。
メモリを「かいほうする」
メモリを「かいほうする」という場合はどちらが使われるでしょう。
答えは「解放」です。メモリを「解放」するのは、パソコンの動きが遅くなったり画面が固まって動かなくなったりしたときに、不要なデータを削除する場合です。
メモリを占領されてしまっている状態から「解放」することを表しているので、こちらの漢字を使います。メモリ自体は、データを処理するためにもともと開けっぴろげにされているものであるため、「開放」は誤用となります。
ドアを「かいほうする」
ドアを「かいほうする」という場合にはどちらが使われるでしょうか。
答えはドアや窓を開けるという意味を持つ「開放」です。「開け放つ(あけはなつ)」と読むことができ、ドアや扉などを物理的に開ける、人や物などが自由に出たり入ったりできるようにする場合に「開放」を使います。
「解放」と「開放」の類義語・対義語
「解放」と「開放」の意味や使い方、使い分け方を見てきました。次はそれぞれの類義語・対義語を見ていきましょう。
「解放」の類義語・対義語
まず「解放」の類義語には、下記のようなものが挙げられます。
・解除
・放出
・放免
・自由化
何らかの制限や束縛などから解き放ち、自由にさせることを表す言葉が類義語として挙げられます。
「解放」の対義語は「束縛」「拘束」などです。
「開放」の類義語・対義語
「開放」の類義語には、下記のようなものが挙げられます 。
・開封
・明け払う
・オープン
閉じた状態のものを開く、開け放すという意味の言葉が類義語に挙げられます。
「開放」の対義語は「閉鎖」などです。
「解放」「開放」の英語表現
最後に「解放」と「開放」の英語表現を紹介します。
「解放」は英語では「release」や「free」と表します。拘束された状態から肉体的にも精神的にも自由にするという意味を持つ英語表現です。捕まえた魚を逃がす意味で「釣った魚をリリースする」などと使われることもあり、耳にしたことのある人も多いでしょう。
「開放」は「open」と表します。閉じられた空間を開け広げる、という意味を持つ英語表現です。
同音異義語の「解放」と「開放」の使い分けに注意しよう
「解放」と「開放」の違いやそれぞれの意味に使い方、類語、対義語、英語表現などについて解説しました。
「解放」も「開放」もあらゆる場面でよく使われる言葉ですが、使い分け方を知っておけば、そのようなときに迷わず使うことができるでしょう。
「解放」は「解き放つ、自由にする」、「開放」は「開け放つ、広げる」という風に覚えておくことで、そのイメージから迷わずに使い分けができるようになりますよ。