レクサスは3月30日、ブランド初の電気自動車(バッテリーEV=BEV)専用モデル「RZ450e」を発売した。これまで明らかになっていなかったフル充電での航続可能距離は約494km、価格は880万円と判明。最初に販売する500台は発売記念の特別仕様車「“First Edition”」で940万円だ。

  • レクサス「RZ450e」

    レクサスが3月30日に発売した「RZ450e」

トヨタ「bZ4X」とは何が違う?

RZはレクサスにとって、「BEVを軸とするブランドへの変革の起点」となるモデルだ。BEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用し、バッテリーやモーターの最適配置により慣性諸元の理想を追求。ボディの剛性を高めて車両の基本性能を大幅に進化させたという。

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    「RZ450e」のボディサイズは全長4,805mm、全幅1,895mm、全高1,635mm、ホイールベースは2,850mm。タイヤサイズは18or20インチ。レクサスのトレードマーク「スピンドルグリル」はボディと一体となった造形「スピンドルボディ」に進化した

モーターは前後に1基ずつの計2基を搭載。動力性能はフロントが最高出力204PS、最大トルク266Nm、リアが最高出力109PS、最大トルク169Nmだ。前輪と後輪の間で駆動力を最適に配分する四輪駆動力システム「DIRECT4」が発進加速性、操縦安定性、低電費に貢献するという。

  • レクサス「RZ450e」

    前輪と後輪の駆動力を0:100~100:0の範囲で変えられる「DIRECT4」を搭載する「RZ450e」

バッテリーの総電力量は71.4kWh。電池は重いものだが、これを床下に敷き詰めることで低重心になるのがBEVの特徴でもある。床下バッテリーには遮音壁としての役割も担わせることで、車内の静粛性向上にも役立てているそうだ。

バッテリーの「持ち」については、電池昇温システムの搭載や電池制御技術の向上により「世界トップクラスの電池容量維持率」を目指しているとのこと。10年後に90%以上の確保を目標に据える。

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    内装は「クリーンで開放的なおもてなし空間」を目指した。シート表皮には「ウルトラスエード」を採用

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    ラゲージルームの容量は522L。後席を倒さなくても9.5インチゴルフバッグなら3つ積めるという

RZ450eのライバルになりそうなのは、輸入車勢が日本に持ち込んだ数々のBEVたちだ。似たようなサイズ感のSUV型BEVを探すと、例えばメルセデス・ベンツの「EQC」はボディサイズ(全長/全幅/全高)4,770mm/1,885mm/1,625mm、航続距離(バッテリー容量)400km(80kWh)、価格991万円。BMW「iX3」は同4,740mm/1,890mm/1,670mm、508km(80kWh)、862万円。ひと回り小さいがアウディ「Q4 e-tron」は同4,590mm/1,865mm/1,630mm、594km(82kWh)、638万円~といった感じである。

ちなみに国産のSUV型BEVでいえば、RZと同じプラットフォームを使うトヨタ自動車「bZ4X」が4,690mm/1,860mm/1,650mm、559km(71.4kWh、FWDの場合)、サブスクKINTOのみの販売で月額10.67万円(1~4年目、補助金未適用の場合)。bZ4Xの兄弟車であるスバル「ソルテラ」はスペックほぼ一緒で594万円~。日産自動車「アリア」は「B6」というモデルで4,595mm/1,850mm/1,655mm、470km(66kWh)、539万円~というような具合だ。

bZ4XとRZは具体的にどう違うのか。レクサスが開催したRZ450eに関するオンライン説明会で聞いたところによると、ハードウェアはかなり似ているのだがモーターの出力が違うほか、アッパーボデーを新しくしたり、「パフォーマンスダンパー」などの操縦安定性能向上アイテムを追加しているという。

bZ4XはサブスクのKINTOのみでの展開だが、RZは売り切りでの販売も行うのはなぜか。これについては「レクサスユーザーの購買特性」を考慮したとの話があった。主に富裕層であるレクサスの顧客は、クルマを現金で購入して保有したいという気持ちが強いらしい。それにサブスク・リースだと車内で喫煙できなかったり、ペットを乗せられなかったりもする。これだと「車両の保有を通じて得られる体験価値の提供により顧客の生活を豊かにする」(オンライン説明会でレクサス側が発言)というレクサスの考えを体現できないので、売り切りも必要と判断したらしい。

RZ450eは中国や米国を含む約150カ国に投入する予定。世界で月間2,700台程度の販売を目指す。