アイペット損害保険は、犬・猫(以下、「ペット」)飼育者の1,100名を対象に、ペットの支出に関するアンケート調査を実施した。同調査は2月28日~3月1日の期間にインターネット上にて行われたもの。

  • ペットの支出に関する調査

2021年(以下、昨年)の調査結果と比較すると、2022年のペット関連支出全体に大きな変化はなかったものの、やや増加傾向がみられ、背景には物価上昇の影響があることがわかった。また、猫の支出に顕著な増加がみられたことも特徴的であった。さらに今回は、ペットの長寿化が進行する中でペットの老後費用についても新たに調査を実施した。

  • 2022年のペット関連年間支出は「5万円以上~10万円未満」が最多、猫の支出首位に変動

2022年におけるペット関連の年間支出を尋ねたところ犬飼育者・猫飼育者ともに「5万円以上~10万円未満」が最も多くなった。内訳では、猫飼育者の支出が、調査開始以来初めて「5万円未満」から増加に転じた他、直近4年間の推移では「5万円未満」の割合は年々減少し「10万円以上~20万円未満」は年々増加していることがわかった。

  • 昨年比「増えた」は初の3割超

また、支出の増減は昨年と「変わらない」とする回答が最多だったが、昨年よりも「支出が増えた」と回答した割合は昨年より6ポイント以上増加し、初めて3割を超えた。支出が増えたと感じるペット飼育者は年々増えているようだ。

  • 一番「支出額が大きい」と感じる項目は「フード、おやつ購入費」

つづいて、ペット関連支出の中で一番「支出額が大きい」と感じる項目を尋ねたところ、「フード、おやつ購入費」が最多となった。犬・猫飼育者別で傾向をみたところ、犬は「病気やケガの診療費」、猫は「フード、おやつ購入費」が最も多く、特に猫は圧倒的に多くなっているようだ。

  • 7歳以降の犬と猫で差

ペットの年齢別では、6歳までは犬・猫飼育者ともに「フード、おやつ購入費 」、7歳以降では犬飼育者が「病気やケガの診療費」、猫飼育者では「フード、おやつ購入費 」が最多となった。シニア期(7歳以降)の犬・猫飼育者では、支出額が大きいと感じる項目に差が出た。

  • ペット関連支出が増えた理由は「物価上昇」

続いて、ペット関連支出が増えたと回答した方に理由を尋ねたところ、「物価上昇に伴いペット関連費用が増加したため」が半数を占めた。次いで「医療費などのペットの病気に関連した支出が増えたため」「ペットの高齢化に伴う支出が増えたため」となった。

  • 物価上昇による飼育者自身の支出に約7割が「影響があった」

また、物価上昇による飼育者自身の支出に影響があったか尋ねると、約7割が「影響がかなりあった」「影響があった」と回答した。そのうち83.3%が支出の見直しをすると回答した。

  • 生活へ影響はあるがペット関連費は削れない

見直しを検討する項目を尋ねると、「食費(自炊のための食材購入費)」が最も多く、一番少なかった項目は「医療費」次いで「ペット関連費」となった。ペット飼育者自身の医療費やペット関連費は、削ることのできない大切な支出項目であることが言えそうだ。

  • 2023年のペット関連支出の予測、3人に1人は「増えそう」と回答

つづいて、2023年のペット関連支出の予測について尋ねたところ、「増えそう」と回答した割合は約35%で、3人に1人が、ペット関連支出が増えると予測していることがわかった。犬・猫飼育者で比較すると、猫飼育者が昨年よりも10ポイントも多く「増えそう」と回答した。

  • 最も増えそうな支出は犬「病気やケガの診療費」、猫「フード、おやつ購入費」

また、最も増えそうな支出は昨年同様「病気やケガの診療費」が最も高くなった。内訳では、犬・猫飼育者とも「病気やケガの診療費」が大幅に減少した一方で、「フード、おやつ購入費」が大幅に増加した。特に猫飼育者の増加が目立っており、前述の「支出額が大きいと感じる項目」でも同様の結果がでていることからも、猫飼育者にとって「フード、おやつ購入費」は、費用がかかる項目と考えていると言えそうだ。

  • ペットの老後にかかる費用「準備をしている」は2割弱

つづいて、昨今のペットの長寿化に伴い「ペットの老後にかかる費用の準備」について尋ねたところ、「準備をしている」割合は2割弱にとどまったが、「準備をしていないが、今後は検討したい」と前向きに検討している方が5割いることがわかった。一方で「検討する予定がない」「検討するかはわからない」と回答する飼い主は3割にのぼった。

  • 75%が「準備の仕方を知らない」

また、「どのような準備をしたらよいか知っているか」と尋ねたところ、約75%が「知らない」と回答。ペットの年齢別で傾向を調べると、犬・猫が現在1歳~6歳の飼育者の方が、7歳以上の飼育者よりペットの老後の準備の仕方を「知っている」割合が高い傾向があった。

  • ペットの老後費用の備えは「10歳以降」と考える飼い主が最も多い

つづいて、「ペットの老後にかかる費用はペットが何歳になってから備えることがベストか」を尋ねたところ、「10歳以降」が最多、次いで「7歳以降」となった。犬・猫が現在1歳~3歳の飼育者は「7歳以降」、4歳以上の飼育者は「10歳以降」とする回答が最多だった。また、犬・猫15歳以上の飼育者では、準備は「15歳以降」とする割合が約3割で、15 歳以上の超高齢期でも老後準備は「今から」と考える飼育者がいることがわかった。

  • ペットが高齢になった際、利用してみたい支出(サービス)は「動物病院の往診」

終生飼養という言葉が徐々に浸透してきた昨今、高齢のペットに向けたサービスも増えてきた。そこで、「ペットが高齢になった際、利用してみたい支出(サービス)」について尋ねたところ、「動物病院の往診」次いで「ペット保険」「オンライン診療・健康相談」という結果になった。上位3項目をみると、自宅で介護や看病をしたいと考える飼育者が現時点では多いことが言えそうだ。また「ペット保険」を利用してみたい割合は、若年のペット飼育者に多いことがわかった。

今回の調査では、昨年と比べ年間支出の合計額の割合に大きな変化は見られなかったものの、経年推移をみると、支出額や支出が増えたと感じる割合が年々増加していることがわかった。また、世界情勢の影響などから、原材料や燃料費の高騰による物価上昇や、歴史的な円安の影響は我々の生活にも影響が及び、自身の生活支出のみならず、大切な家族のペット関連費用にも影響が及んでいることも今回の調査からうかがえた。