とある街角、蛇口から滴る水をペロペロを舐める三毛猫ちゃん。首輪もしていないようなので野良猫ちゃんとお見受けします。春の柔らかな陽ざしを受けながら、いたって自然体。街行く人々もそんな猫ちゃんを当たり前のように通り過ぎていきます。いったいこの街はどこ? なんで野良猫ちゃんも雑踏の中でノビノビしていられるの?
蛇口から水を飲むタイプの野良子猫 この子のために蛇口は常に開きっぱなし。些細なシーンからも見えるイスタンブールの優しさです。
ここはトルコのイスタンブール。バルカン半島では最大、ヨーロッパでも最大規模の都市圏 の一つです。その歴史は紀元前にまでさかのぼり、古代ビュザンティオン、ローマ時代にはコンスタンティンノーブルと呼び名は変われど、いつの時代もヨーロッパとアジアを繋ぐ要所として栄えてきました。経済と文化の中心地…と歴史の教科書では学んできたのですが、猫たちの中心地でもあるのですね。猫好きフォロワーから共感と羨望のメッセージが多数寄せられました。
「いいなぁ、動物に優しい街って。こういうところに住みたい」「ヌコに優しい街ですね」「ネコ様ファースト! 」「何と優しい街、何とオシャレな猫」などなど。さらにトルコに詳しい人たちからは追加情報も。
「トルコ2回行ったことありますが、ネコ大好き国民ですからね」「猫に優しいトルコ。旅行にはカリカリをお忘れなく! 」「ローマでは野良猫はローマ市民と同等の権利があり、猫専用の割引カードがあるようです」「御飯皿の空を見つけたら 必ず御飯を入れてる人達が居るだよなぁ」「可愛いなあ。トルコにはたくさんの野良猫ちゃんも野良犬ちゃんも居てみんな犬猫に親切ですよね」などなど。投稿者であるアジアねこ散歩さんに体験をまじえた詳しいイスタンブール猫事情を伺いました。
■投稿者に聞く
……イスタンブールにどのくらい住んでおられるのですか。
2021年の10月からなので1年半くらいになります。
……イスタンブールは野良猫が多いと聞きますが、どんな猫たちの状況でしょうか。
イスタンブールは猫の都だと、市長が公言するほど猫保護が進んだ都市です。行政のバックアップの元、善意の市民一人一人が野良猫の保護活動を行っています。その中にはもちろん適度な避妊による数の調整や、病気の子がいれば病院に連れて行くなどの活動も含まれます。 そうした活動の成果は街の猫たちの態度を見れば一目瞭然です。特に猫保護が進んだ地域だと、人を見て逃げる猫などいないばかりか、リラックスしきってくつろいでいる様子や、ベンチに座っていれば勝手に膝に乗ってきたり、日本では考えられないような光景に日々出くわします。
……イスタンブールという土地や人々の魅力について教えてください。
イスタンブールは世界一豊かな街だと感じています。トルコという国は経済的には深刻なインフレに見舞われるなど、決して裕福な国ではないのですが、人々の余裕と自信に満ちた態度、大らかに様々なものを受け入れる懐の深さなどは、どこの国の人でも真似できないような豊かなものだと思います。そうした風土が猫保護にも直結しているように感じます。ネット上ではよく、猫保護はイスラム教の教えのせいだと言われますが、それはちょっと誤解で、イスラム教で嫌われる犬も猫と同様に手厚く保護されています。
……ほかにもイスタンブールにおける「猫ファースト」なエピソードなどありましたらお教えいただけますか。
イスタンブールなら猫は駅、公園、学校、病院、薬局、レストラン、カフェ、美容院、タトゥー屋まで本当に至る所にいるのですが、一番驚いたのが大手スーパーマーケットの店内、ペットフード売り場の前に猫がいたことです。商品を選んでいると、買って欲しいものがある子供のようにキャットフードをせがまれて、結局購入して、お店の外で食べさせてあげました。
▼その時の動画です。
▼蛇口から水を飲むタイプの野良子猫 この子のために蛇口は常に開きっぱなし。些細なシーンからも見えるイスタンブールの優しさです。
蛇口から水を飲むタイプの野良子猫🐈
— アジアねこ散歩 (@nekosanpoch) March 20, 2023
この子のために蛇口は常に開きっぱなし。些細なシーンからも見えるイスタンブールの優しさです。 pic.twitter.com/35D5y7PmQi