「くれぐれも」はよく耳にする言葉ですが、状況に合わせてさまざまな意味で使われます。間違った意味で使用している方もいるかもしれません。うまく使えれば、ビジネスシーンや日常のお願い事など、自分の気持ちを有効に伝えられる可能性もあります。

本記事では、「くれぐれも」の意味や使い方・例文を紹介しますので、正しい使い方ができるようにお役立てください。

「くれぐれも」の意味とは

  • 「くれぐれも」の意味

    くれぐれもの意味と漢字表現を解説します

「くれぐれも」は、「繰り返し心を込めて懇願・依頼したり、注意したりするさま」という意味です。

昔は「何度考えても」という意味で使われたこともありましたが、今ではあまり使われていません。

「くれぐれも」の漢字表現

くれぐれもの漢字は、「呉呉も」と表記されます。もしくは省略して「呉々も」のケースもありますが、漢字表記は馴染みが薄いため、ひらがなで表記されることがほとんどです。

「くれぐれも」の使い方と例文

  • 「くれぐれも」の使い方と例文

    くれぐれもがよく使われる表現の意味や例文を解説します

「くれぐれも」は話し言葉や、手紙、ビジネスシーンで使用されます。ここではどのように使用されるのか、例文を用いて解説します。

「くれぐれもお気をつけて」はより注意を促す

「くれぐれもお気をつけて」は、注意が必要な状況や危険がある状況などで使われるフレーズです。

例えば、ビジネスシーンでは、「くれぐれもお気をつけてお帰りください」「くれぐれもお気をつけてお越しください」といったように使用されます。相手に来訪してもらえる場合や、夜道を車で帰る際などに使用可能です。

日常では、「くれぐれも気をつけてね」と、子どもが1人で出かけたり、遠方に出かけたりする際にも使用できます。

「くれぐれもよろしく」は誠意を表現する

「くれぐれもよろしく」とは、お願い事をする際に、より心を込めていることを強調したいときに使います。例えば、取引先への挨拶や感謝を伝えたり、仕事の依頼を検討してもらったりする際です。その場にいない第三者に対して、人づてに挨拶を伝えたい場合にも使えます。

ビジネスシーンにおいては、「くれぐれもよろしくお願いいたします」「くれぐれもよろしくお伝えください」などがよく使われるフレーズです。

「くれぐれもご自愛ください」は相手の健康を祈る

「ご自愛ください」は、「体を大切にしてください」という意味です。「くれぐれも」をつけて「ご自愛ください」を強調しています。

例えば、季節の変わり目や繁忙期で忙しそうな時期に使用され、ビジネスシーンでは上司や取引先に対しても使える言葉です。メールや手紙でも使用可能です。ただし健康を祈る言葉のため、既に体調が悪い人に対しては適切な表現ではありません。

「くれぐれも」は目上の人に使える?

  • 「くれぐれも」を使う際の注意点

    くれぐれもを使う際の注意点を解説します

特にビジネスシーンにおいて「くれぐれも」は適切な言葉なのか、不安に感じる方も少なくありませんが、フォーマルなシーンでよく使われる言葉であり、ビジネスシーンで使用しても問題ありません。「くれぐれもご自愛ください」のように、使いどころや、頻度が適切であれば失礼にはあたらないため、うまく使いこなしましょう。

「くれぐれも」の類語・言い換え表現

  • 「くれぐれも」の類語

    くれぐれもの類語を4つ紹介します

「くれぐれも」を使うのにふさわしい状況、もしくはふさわしい相手なのか、分からないこともあるでしょう。ここでは類語を紹介しますので、「くれぐれも」を使うか迷った場合は他の言葉に言い換えてみることも検討してみてください。

また類語を知っておけば、表現の幅も広がります。

「どうか」

「どうか」は、無理なお願いをしている場合や懇願する際に用いられる傾向にあり、「どうにか・なんとか」という意味です。言われた相手は、「くれぐれも」よりも「どうか」の方が懇願している印象を強く受けるでしょう。

例えば、「くれぐれもお気をつけください」と懇願する気持ちは「どうかお気をつけください」と言い換えられます。加えて、「くれぐれもよろしくお願いします」は、「どうかよろしくお願いします」と言い換えられます。

「何卒」

「何卒」は、丁重に許可を求めたり、お願いの気持ちを強調したりするために使われます。ビジネスのメールや手紙などによく用いられる言葉です。 例えば、「くれぐれもよろしくお願いします」を「何卒よろしくお願いします」に言い換えられます。

ビジネスでの使用では、特出したお願い事項がない場合でも、定型文として文章の末尾に用いられる傾向があります。

「ぜひ」

「ぜひ」は、是と非を意味する表現です。善悪と似た意味を持ち、そこから・どうあってもという意味や強い願いの意味で使われます。相手の許可を求める場合に用いられる表現です。 例えば、「くれぐれもよろしくお願いします」を、「ぜひよろしくお願いします」と言い換えられます。

「くれぐれも」の対義語

  • 「くれぐれも」の対義語

    くれぐれもの対義語を2つ紹介します

ここでは、「くれぐれも」の対義語だと考えられるものを紹介します。

「とりあえず」

「とりあえず」は、まずその場の状況を収める、できる範囲で第一に対処することを意味します。

例えば、「とりあえず企画書を作成しました」「とりあえず応急処置をします」といえるでしょう。ただし、相手の状況や立場からすると、その場しのぎの印象を与えてしまう可能性があるため、「まず」という表現がおすすめです。

「取り急ぎ」

「取り急ぎ」は、「とりあえず急いで」と言う意味です。急いで何かをする、もしくは完了したことを相手に伝えたい場合に使われる表現です。

例えば、「取り急ぎ御礼まで」「取り急ぎ拝受のご連絡まで」などと使われます。手紙やビジネスメールで使用される傾向にあります。相手がすぐに確認して欲しいと考える書類を受け取った際や、何か急ぎで報告する際にも使用可能です。

「くれぐれも」の英語表現

  • 「くれぐれも」の英語表現

    くれぐれもが使われる状況を英語でどのように表現するか、例文を用いて解説します

「くれぐれも」を英語で表現したい場合は、「please」を使うのがおすすめです。丁寧にお願いするときだけでなく、「どうか」というように強調する意味も含まれています。

ビジネスで「くれぐれも」はここぞというときに使おう

  • ビジネスで「くれぐれも」はここぞというときに使おう

    くれぐれもはビジネスシーンにも使える、有効な表現方法

ビジネスシーンでよく使う「くれぐれも」の意味や使い方について解説しました。「くれぐれも」は、懇願の気持ちを表現したり、相手を想った注意や誠意を表したりする際に有効な言葉です。シーンや頻度を見極めて大切な場面で使えるようにしましょう。