人にお願いするときの言葉を正しく使えることは、ビジネスシーンでのコミュニケーションを円滑にする上で必要なスキルです。立場によっても依頼の言葉や方法は異なります。
そこで今回は、人にお願いするときの言葉や依頼時のマナーについて説明するとともに、すぐ使える例文や言い回しについてもご紹介します。
人にお願いするときの言葉【目上の人・上司にも使えるビジネスメールの例文】
ビジネスメールで何かをお願いするときに使える表現には、どのようなものがあるのでしょうか? 使用されることの多いフレーズをまとめてみました。
ビジネスメールで人にお願いするときに使える言葉
ビジネスメールで「お願いしたい」という気持ちを丁寧に伝える表現には、以下のようなものがあります。これらの言い回しを活用すると、真摯さが伝わりますよ。
・お忙しいところ大変恐縮ではございますが~
・お忙しいところ大変申し訳ございませんが~
・~をお願いしてもよろしいでしょうか。
・~をお願いできますと大変ありがたく存じます。
相手の状況を気遣うフレーズを含んだ言葉を用いるのがポイントです。
ビジネスメールで人にお願いするときに使える文章の〆の言葉
文章をきれいにまとめるのに使える表現には、以下のようなものがあります。
・お手すきの際にご返信いただけますと幸いです。
・ご検討いただけますと幸いです。
・以上ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
こちらも、相手の状況に配慮しつつ、柔らかい言い回しを使うと良いでしょう。
人にお願いするときのビジネスメールの文章例・例文
実際にメールにする場合、どのような流れで書けば良いのでしょうか? ここでは、アポイントの依頼を例に、依頼文のテンプレートをご紹介します。
【件名】
(打ち合わせ内容)についてのミーティングのご相談【本文】
■■株式会社 ▲▲部 ●●様いつもお世話になっております。
□□株式会社△△部の〇〇です。先日の会議で議題に上がりました(打ち合わせ内容)についてご相談がございます。
以下の候補日にてミーティングを実施させていただきたく、●●様のご都合はいかがでしょうか。
ミーティング候補日時
・4月5日(水) 14:00~15:00
・4月6日(木) 11:00~12:00
・4月7日(金) 15:00~16:00
ミーティング時間は1時間を予定しております。 もし、上記の日程が難しい場合は、●●様のご都合のよろしい日時を、2~3候補お知らせいただけますでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、3月31日(金)までにご返信いただけますと幸いです。
ご確認のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
〇〇(自分の署名)
人にお願いするときに大切なビジネスメールの基本
メールでの依頼では、次のポイントに気を配りましょう。
依頼内容はわかりやすく簡潔に
ビジネスシーンにおける依頼では、「いつまでに」「何を」「どうしてほしい」という内容になることがほとんどです。また、「いくらで」という金銭的な問題が絡む場合もあります。
これらの具体的な内容は、依頼時にわかりやすく記載することが鉄則です。特に、納期や金額などは、「尋ね返すのは気が引ける」と考える方も多くいます。最初の段階でなるべく具体的に、そして簡潔に内容を伝えましょう。
相手を気遣う言葉を挟む
わかりやすく簡潔な文章で依頼することはもちろん大切ですが、相手の状況や気持ちに配慮するのも非常に重要です。
「お忙しいところ恐縮ですが」「この企画をお願いできるのは〇〇さんしかいないと思い」など、相手が快く仕事を引き受けられるよう配慮した言葉を添えましょう。
返信が必要な場合は回答期限を設ける
「もしこの人がダメだったら別の人に依頼したい」と考えている場合や、期日の決まった依頼をする場合には、必ずメールに回答期限を記載しましょう。
回答期限を書かずに、後から「あの件、急いでほしいのですが…… 」と連絡するのは不親切です。
人にお願いするビジネスメールで使わないほうがいいNG表現
最後に、依頼のメールでは使用を避けた方がいいフレーズについてです。
・~してください。
・~をお願いします。
指図をしているような印象を相手に与えるフレーズは、使用を避けた方が無難でしょう。
人にお願いするときの言葉【口頭】
口頭で人にお願いするときに使える言葉や言い回しをご紹介します。
誰かの代わりを依頼するときに使える例文・文章
アクシデントや急用などで、誰かの代わりをお願いしたいときは、次のような言い回しが効果的です。
・忙しいところごめんなさい。〇〇さんにしか相談できないことなのだけど
・代わりは〇〇さんにしか務まらないと思って
「あなたにしかできない」という気持ちを伝えると、相手に期待が伝わり、引き受けてもらいやすくなります。「〇〇さん」としっかり相手の名前を呼ぶのもポイントです。
プラスの仕事を依頼するときに使える例文・文章
追加で仕事をお願いしたい場合は、以下のようなフレーズを使ってみましょう。
・この仕事はメンバーのなかで〇〇さんがピカイチだから、忙しいところ申し訳ないけど引き受けてもらえないかな?
・新しい案件が5つも入ってきてしまって、申し訳ないんだけど1つ担当してもらってもいい?
相手を褒めながら依頼することで、快く引き受けてくれる可能性が高まります。また、追加で依頼するときは状況を理解してもらうことも大切です。
急な仕事を依頼するときに使える例文・文章
急ぎの仕事を頼みたい場合は、以下のようなフレーズが良いでしょう。
・忙しいところ本当に申し訳ないのだけど、この仕事を〇時までにお願いしてもいい? 〇〇さんは仕事がとてもスピーディーだし、ミスも少ないから頼めるとすごく助かる。
急ぎの仕事の場合、必ず「不躾にごめんなさい」「忙しいところごめんなさい」など、相手の状況を配慮する言葉から始めましょう。
その上で、「仕事の期日」をしっかり伝え、「あなたを頼りにしている」ということが伝わる言い回しをすることが大切です。
「お願いできる? 」や「引き受けてもらえるとすごく助かる」のように、「強制ではなく、あくまで意思決定権は相手にある」ことが伝わるようにすることも忘れずに。
口頭で人にお願いするときのポイントは?
メールではなく対面や電話など、口頭で依頼する場合はどのようなことに気をつけたら良いのでしょうか? そのポイントをまとめました。
タイミングをよく見て依頼する
メールとは違い、口頭での依頼は「相手に話を聞く時間があるかどうか」に気を配る必要があります。スケジュールなどに気をつける他、本題に入る前に「今10分ほどお時間よろしいでしょうか? 」など、必ず許可をとるようにしましょう。
命令口調やぶっきらぼうな言い方にならないよう注意する
「仕事なのだから命令しても良いだろう」と、つい強い口調で頼みごとをしてしまうことはありませんか? これは、上司から部下への依頼でありがちです。
「部下だから上司の言うことを聞いて当たり前」という気持ちもわかりますが、強く命令されて快く引き受ける人はいません。「忙しいのはわかっているのだけど、どうしてもお願いしたくて」という相手を配慮する言い回しを意識しましょう。
相手が不安にならないような心配りをする
初めて引き受ける仕事や納期がタイトな業務は、相手は引き受ける際に多少なりとも「大丈夫だろうか」という不安を感じているはずです。
「私もサポートします」「他の業務より優先して取り組んでもらえるように、根回ししておきました」など、相手が不安に思うポイントに先回りして触れ、不安を持たずに仕事を引き受けてもらえるよう気配りを忘れないようにしましょう。
人にお願いするときは相手を配慮した言葉選びを
今回は、人にお願いするときの言葉や依頼時のマナーについて説明するとともに、すぐ使える例文や言い回しについてご紹介しました。
依頼は、シーンによって方法やフレーズを使い分けることが大切です。相手の状況や気持ちに気を配り、「自分だったらどうしてもらいたいか」をよく考え、お願いしてみましょう。
お願いが上手になると、仕事をする上で多くの人に助けてもらえるようになります。1人で成し遂げられる仕事は多くはないので、周りの人を上手く巻き込み、仲間にできる力を身につけることは非常に重要です。
この記事を参考にコミュニケーションスキルをアップさせましょう。