俳優の杉野遥亮が27日、オンラインで行われた囲み取材に応じ、本日最終回を迎えるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『罠の戦争』(毎週月曜22:00~)の見どころや、主演の草なぎ剛とのエピソード、今感じている“悔しさ”について語った。
2015年の『銭の戦争』、2017年の『嘘の戦争』に続くシリーズ第3弾は、“政界”を舞台にした弱者による強き権力者への復讐劇。愛する家族を傷つけられた議員秘書が知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、悪しき政治家を失脚させる痛快エンターテインメントとなっている。杉野が演じているのは、主人公・鷲津亨(草なぎ)の秘書である蛯沢眞人。兄の仇を取ろうと鷲津に拾われる形で秘書になった眞人は、実直なキャラクターで皆に愛され、時に癒やしを与えてきた。しかし先週放送された第10話のラストシーンでは、鷲津を陥れた怪文書をばらまいた犯人だったことが判明し、視聴者に大きな衝撃を与えることに。
最終回では、その動機が亡くなった兄の陳情を鷲津が取り合わなかったことだと察した蛍原(小野花梨)が眞人に当時の状況を説明。しかし眞人は納得するどころか、秘書として尊敬できる先輩であり、ひそかに思いを寄せる蛍原が真実を知りながら鷲津をかばっていたことにショックを受け、もう誰も信じられないとある場所へ向かう。そんな最終回の鍵を握る重要な役どころを、杉野はどう演じてきたのか。
■草なぎ剛に引っ張られ、救われた現場
――草なぎさんとの共演は、いかがでしたか。
贅沢でありがたい経験だなとずっと思っていました。撮影中は「演技って難しいな」と感じることがたくさんありましたが、草なぎさんのエネルギーやオーラに引っ張っていただいて。真似したいなとか、どうすればあんなふうにできるんだろうと思うたび、自分なんて草なぎさんが積み重ねてきたものに比べるとまだまだだなと痛感もしました。俳優として幸せな経験だったと思います。
今作では「自分って、本当にできないな」と1人ですごく落ち込んで打ちひしがれることが多かったんです。でも草なぎさんは僕のそういう様子をすごく繊細に見てくださっていて、温かい言葉をかけてくださったので救われました。そしてやっぱり一緒にお芝居をすることが楽しかったです。この間久しぶりに会ったときは、3~4回ハグしました(笑)。こんな先輩、共演者の方と出会えることってなかなかないので、本当にこの出会いに感謝しています。
■眞人はずっと人としてブレていない
――10話のラストシーンで鷲津と眞人が対峙しましたが、草なぎさんとこういうシーンにしようと相談はされたのでしょうか。
していません。自分なりにあのシーンに向けて感情を作っていって挑みました。できあがった映像を見て、草なぎさんの演技を見て、個人としては出来栄えに悔しいなという思いもありましたが、そこで出たものがすべてなので、自分の現状はこうだなと受け止めました。11話の2人のシーンでは、こうしようと話し合わなくてもお互い分かり合えているなと感じられる場面があって、やりやすかったという言い方が正しいかは分からないのですが、胸に来るものがありました。
――杉野さん自身は、物語が終わった後の眞人にどんな生き方をしてほしいと思いますか。
10話の台本をいただいて、僕も眞人ってどうなっていくんだろうと想像したんです。鷲津のようになることもありえるなといろいろ考えていくなかで、11話のストーリーにも関係してくるので詳しくは言えないのですが、眞人を演じていて思ったのは、自分の意見や軸をちゃんと持っている人間だったなということ。自分が何をしたいか、自分がここでどうするべきなのかとちゃんと考えて行動してきたので、この先もきっと人としてブレないのではないかと思っています。世の中、どうしても気付いたら自分が予期せぬ立場に転じていることはありえるので難しいですが、どこか眞人は大丈夫だろうなと信じています。
――眞人は植物おたくな一面がありますが、杉野さんにもそんな一面はありますか。
今はないのですが、少し前までは『僕のヒーローアカデミア』については熱く話していましたね、アニメが好きで。
――小野花梨さんとの共演シーンが多かったと思いますが、いかがでしたか。
眞人も蛍原さんも自分の意識が強くあるというよりは「鷲津さんのために」という思いが根底にあるというキャラクターだったので、どこまで感情の深層を見せていけばいいのかが難しい役どころだったなと思います。恋愛要素も消化するのが大変だったなと。