最近は「カーボンニュートラル」という言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか。カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる」という目標で、2020年10月に政府が宣言しています。脱炭素社会に向けた取り組みが加速しており、オフィスビルや店舗ビルといった場所では、設備の省エネ化をはじめとしてさまざまな対応が求められています。
その中のひとつはLED照明。水銀ランプやメタルハライドランプなどのHID用照明器具は2018年3月、蛍光灯用の照明器具は2019年3月に生産が終了しています。そして、HID用ランプは2024年3月に生産が終了する予定。いまだこうした照明器具を使っている施設は変更を余儀なくされるわけです。
加えて、燃料価格の上昇による電気代の高騰も大きな問題になっていることから、電気使用量の削減も課題となっています。特に店舗などでは照明にかかる電気代の割合も大きいため、LED化の早期実施に取り組みたいところ。しかし、企業としてはLED化を早く進めたくても、費用の負担が重くのしかかるのが現実ではないでしょうか。
そういった法人に向けて、パナソニックが機能提供型サービスを手がけています。一般的には、設備を一度に交換すると一施設ごとに多額の費用がかかりますが、この機能提供型サービスなら月額払いにできるので、費用の負担が少なくすみます。そして最新の器具にすることで電気代も安くなり、CO2削減を早めることができるのです。
一見すると「分割払い」のように見えるサービスですが、単に費用を月払いにできるだけではありません。実際に導入している、生活協同組合コープさっぽろ(以下、コープさっぽろ)の事例を取材しました。
機能提供型サービスとは?
パナソニック エレクトリックワークス社(以下、パナソニックEW)が提供する機能提供型サービスは、照明の導入からサポートまでを月額制で利用できます。契約期間は7年間(点灯40,000時間の到達見込み時より早い場合は短くなることもあり)。パナソニックEWの馬杉道裕氏は、「導入時の初期投資ゼロで管理費も含まれているため、大きなメリットがあります」と話します。
LED照明の導入方法には、さまざまな選択肢があります。購入して一括で支払う方法、月払いにする方法、機器をレンタル・リースする方法――がありますが、機能提供型サービスは導入時の設計からサポートまで含まれるとのことです。
また馬杉は、単に照明を配置するだけでなく、店舗においては魅力ある売り場を作るための付加価値も提案していることを強調しました。
「レンタルの場合、借りる側の意思で製品を選ぶことがほとんどですが、機能提供型サービスは、導入時の設計からパナソニックEWが携わります。省エネ効果やデザインなどを含め、お客さまと打ち合わせをしてから照明の選定や配置などを決定。導入時にそれぞれの場所に合わせた、快適な明るさになるようなレイアウトに設計します。
例えば店舗、事務所、工場ではそれぞれ最適な照明は異なりますが、省エネ効果に優れた、快適なあかりを作れるわけです。契約期間中の修理対応が無償であることも、レンタルとの大きな違いです」(馬杉氏)
コープさっぽろでは順次導入、省エネ性能が高く明るい照明に
1965年に札幌市民生協として創業し、道内に108店舗を展開するコープさっぽろも機能提供型サービスを利用しています。いち早く環境問題に取り組んでいたため、現在は古いLED照明から新しいLED照明へ交換する時期にさしかかっています。そこで検討したのがパナソニックの機能提供型サービス「あかりEサポート」(契約窓口を三井ファイナンス&リースと提携した場合の商標名)です。
生活協同組合コープさっぽろの村上伸吾氏は「海外製のLED照明が安かったので使っていましたが、6~7年で照明が切れ始めました。照度が落ちているものもあり、照明を更新しなければならない時期にさしかかりました。ただ、コープさっぽろは108店舗を展開しています。1店舗につき数千万円の費用がかかるので、順次切り替えるにしても費用負担が膨大です。そこが大きな経営的課題でした」と振り返ります。
また、「節電を第一に考えて店内を暗くしたこともありましたが、お客さまの年齢層が高いこともあり、商品が見えにくいといった声が上がりました」(村上氏)と、過去の節電対策でうまくいかなかったことについても明かしました。特に店舗の照明は、商品を鮮やかに見せつつ、安全性にも配慮した照度を確保する必要があります。
「パナソニックさんに相談しながら、省エネかつ最適な明るさに変更できました。既に多くの店舗で切り替えていますが、何の不自由もなく感謝しているところです」(村上氏)
初期の一括支出なしに、LED化の電気代削減効果で実質負担を減らしながら魅力的な売り場作りができるということもあり、コープさっぽろでは複数店舗への導入が進んでいます。
足元まで明るく、食品が鮮やかに見えるスーパーの照明
実際に、コープそうえん店に導入された照明を見てきました。2022年10月にオープンした店舗で、2階には無印良品の店舗を構えるスタイリッシュな外観のスーパーです。
入り口のダウンライトやスポットライトもパナソニック製。壁のほうへと指向性が強いスポットライトをあえて当てており、立体感を演出しています。
店内には一体型LEDベースライト「iDシリーズ」を使用。彩光色のスポットライトは演色性の高いライトです。演色評価数のRa(*)は、スポットライトがRa90、ベースライトがRa80となり、色温度はどちらも3,500K(温白色)に統一されています。赤や緑がキレイに見え、食材の美味しさや新鮮さをPRできるようなあかりです。
*Ra 照明で物体を照らすときに、自然光の見え方に対する色の再現度を示す指標。最大値は「100」で、Raが高いほど自然光に近い色味で見えることを意味します。
照明は店内の適切な場所に配置されており、フロア全体を隅まで明るく照らしていました。また、スポットライトを利用して壁側を照らすといった演出もあり、店内は上品な印象です。
また、スポットライト型ナノイーX発生機も設置されていました(ナノイーXはパナソニック独自のイオン成分)。このナノイーX発生機はダクトレールに取り付けることができ、手動による首振り機構を備えています。ナノイーXを放出する向きを変更して鮮魚コーナーに向けており、ニオイの発生を抑えています。
月額で費用を支払えばLED化が実現し、適所適光によって省エネ化を図り、サポートが受けられる機能提供型サービス。コープさっぽろは実際に2019年から店舗や配送センターで導入を始めており、今後も増やすとのこと。このように、複数の店舗や拠点を持つ法人にはメリットが大きいサービスと言えるでしょう。