スマートフォンで長時間動画を撮影したりゲームをプレイしていると本体が熱くなってしまうことがあります。それでカメラやゲームのアプリが強制的に止まってしまうことを経験したことがある人も多いのではないでしょうか。そんなスマートフォンの過熱を防止するためにOnePlusが開発したスマートフォン「Oneplus 11 Concept」は本体内部を液体で冷やす機能を搭載しています。

  • スマートフォンを液体で冷やす「OnePlus 11 Concept」

OnePlus 11 Conceptは見た目は普通のスマートフォンです。ハイエンドスマートフォンを展開するOnePlusがコンセプトモデルとして発表したもので、このまま発売されることはないとのこと。本体内部には液体を流して冷やす機構が搭載されており、この機構により、実際に冷却させることができます。

  • 見た目は普通のスマートフォンと変わらない

本体の背面はガラス仕上げで、ブルーのラインが何本も走っています。このラインの部分は細いパイプになっており、本体内部のこの部分に水が循環して流れるようになっています。

  • ガラス越しに液体が流れる様が見える

OnePlus 11 Conceptは2023年2月28日にスペイン・バルセロナで開催されたMWC 2023で発表されました。「Active CryoFlux」と名付けられたこの冷却システムは本体を常に安定した温度に保つことができるといいます。開発中のデータでは本体温度を2.1度下げられ、充電中の温度も1.6度低下するとのこと。ハイスペックなゲームの秒間フレームレートも3から4fps増やすことができ、動作面でも快適なプレイが可能になります。

  • 製品発表会の様子。Active CryoFluxで温度を下げる

薄い本体内に圧電ポンプという超小型のポンプを2つ内蔵して液体を循環させ、本体の質量を大きく増加させることなく冷却できます。パイプ内を流れるのは特殊な液体とのこと。

  • ラインの部分は実際に内側に水冷用パイプが通っている

なお常時Active CryoFluxをONにしておくとバッテリーの減りも早くなってしまうので、冷却機能はアプリからON/OFFの制御が可能です。OnePlusのハイエンドモデルにはiPhoneの「着信/サイレントスイッチ」に似た「Alert Slider」を備えているので、将来この機能が製品に搭載されるときは、冷却の切り替えスイッチもそこに統合して手動で切り替えできるようになるかもしれません。

  • Active CryoFluxをOFFにすると背面のライトも消える(左)

Active CryoFluxで冷却中の本体を持ってみました。背面を触ってみると極端に冷えているわけではありませんが、耳を当ててみるとポンプが動いているモーター音がわずかに聞こえます。また背面のライトは点灯しっぱなしではなく水が流れるようなエフェクトで光るので、このように背面が見えるように持って使っていると「そのスマホ、どうして光っているの?」と注目を集めそうです。

  • 背面のライトは流れるように光る

カメラを使ってみましたが、高解像度の動画撮影を行っても確かに発熱は抑えられているように感じました。最近のスマートフォンはカメラ性能が高く、高画質な写真が撮れることはもちろん、動画も4Kの60fpsや8Kに対応するモデルも多くあります。ゲーム用途だけではなくカメラを使うときもこの冷却機能は有用でしょう。なおカメラの周りにもライトが埋め込まれていますが、こちらはエフェクトだけでカメラを冷やしているわけではありません。

  • 動画撮影時にも冷却機能があると便利

OnePlusのルーツはOPPOであり、現在は同じグループ企業のメーカーです。OnePlusはハイエンドスマートフォンに特化したメーカーでしたが、今やどのメーカーもハイエンドモデルを出しており、OnePlusの優位性は年々弱まりつつあります。2023年1月にはSnapdragon 8 Gen 2を搭載した高性能モデル「OnePlus 11」を発表して巻き返しを図っています。ちなみにOnePlusは老舗のカメラメーカー、ハッセルブラッドと提携しており、カメラ性能にも定評があります。

  • OnePlus 11(左)。今回紹介したOnePlus 11 Concept(右)のベースモデルだ

スマートフォンを水冷してしまうというコンセプトは、ハイエンドスマートフォンをずっと展開してきたOnePlusらしい製品と言えます。発表会では「あのOnePlusがやってくれた!」という声も来客から多く聞かれたほどです。この水冷機能の製品化がいつになるかわかりませんが、スマートフォンの新しい機能として数年後には多くのモデルが採用しているかもしれません。

  • ハイエンドスマートフォンのメーカーらしい製品といえる