桜も開花し、いよいよ春本番!ですが、気温の上昇と共に花粉の飛散量も増加し花粉症の人にはつらい時期ですよね。最近は花粉症を発症するお子さんも増えてきているようですが、もしわが子に花粉症の疑いが見られたとき、どのような対処をしたらいいのか迷う親御さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、高座渋谷つばさクリニック院長の武井 智昭先生に、子どもの花粉症対策のポイントをお聞きしました。何科を受診したらいいのか? や、子どもが使える花粉症の薬、日常生活で症状を抑えるためにできることなどまとめていますので参考にしてみてください。
■子どもの花粉症の発症について
ーー花粉症が親から子へ遺伝する可能性はありますか?
武井先生: 花粉症は他のアレルギー疾患(気管支喘息やアトピー性皮膚炎など)と同様に、体質の遺伝的な要素も考えられます。このため、親御さんが花粉症であるとお子さんも同様に花粉症を発症するなど、遺伝的な要素に関して否定はできず、こうしたエピソードは比較的多いため、親子で受診をされるケースも多いです。
ーー花粉症は何歳ころから発症する可能性がありますか?
武井先生: 10年前まではスギ・ヒノキの花粉の飛散量、暴露の量はここ数年と比べて少なく、アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎などの発症は小学校の入学後であることが多かったです。ところが、近年では他のアレルギー疾患も低年齢化がすすんでおり、花粉症に関しても、2歳・3歳などの早期での発症例、受診例が増加しております。
本年は例年の10倍以上の花粉の飛散が報告され、さらに低年齢となる可能性もあり、1歳でも花粉症が疑われるお子さんの受診がありました。
■子どもが発症した際の病院の受診について
ーー子どもに花粉症を疑う症状がみられた場合、病院を受診するタイミングの目安を教えてください
武井先生: 受診の目安としては、水様性鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどで、学校や幼稚園・保育園、家庭での生活に支障が出た時点で受診が必要となります。学校生活において、外で一緒に遊ぶことやサッカーなどの屋外のスポーツが症状によって妨げられる、屋内の学習が眠気や水様性鼻汁・くしゃみによって集中力が持続しないなと、生活に支障が生じたと本人申告あるいは家族からの指摘によっての受診が適切なタイミングと思われます。
ーーかかりつけ医、耳鼻科、眼科など、何科を受診したらいいのでしょうか
武井先生: まずはかかりつけ医でよいかと思いますが、アレルギーに関して詳しい小児科・耳鼻咽喉科に受診をされることが推奨されます。眼の症状(かゆみ、眼脂など)が強い場合には眼科の受診も検討してください。
■子どもが花粉症を発症した際の治療について
ーーどのような治療をするのでしょうか
武井先生: 抗ヒスタミン薬の内服、ロイコトリエン拮抗薬の内服、漢方(小青竜湯)の内服に加えて、点鼻・点眼などの治療となります。必要であればヒスタグロビンの注射や鼻粘膜焼灼を行う場合もあります。
これとは別に、スギ花粉が飛んでいない時期(おおむね6月)より、舌下免疫療法による治療も可能であります。
ーーアレルギー検査は必ずした方がいいのでしょうか
武井先生: 症状が優先であり、アレルギー検査は補助的な意味合いがありますから必須ではありません。むしろ花粉が飛散したタイミングに、くしゃみ・目のかゆみが出た時点でスギ・ヒノキの花粉と考えてよいでしょう。
ただスギ花粉に関しては、舌下免疫治療の適応(連日のアレルゲン内服によって、アレルギーになれて体質を改善させる)がありますので、舌下免疫をご検討される場合には他のアレルゲンを含めてアレルギー検査は検討してよいでしょう。
ーー子どもが使用できる薬にはどのようなものがあるかを教えてください
武井先生: 小児では内服薬・点鼻・点眼など、成人とほぼ同じ内容での治療が可能であります。内服薬にも粉薬、錠剤など体重や状態に応じて選択肢は多数あります。
ーー薬を服用した際に、眠気などの副作用はありますか
武井先生: 抗ヒスタミン薬の一部には眠気がでることがあり、翌日の学校などの生活に眠気がでる場合があります。その他の内服薬・点鼻・点眼薬では眠気の副作用はほとんどありません。
■日常生活でできる、"症状を抑える工夫"について
ーー辛い症状を抑えるために、日常生活でできる工夫を教えてください
武井先生: まずはマスクをすること、室内では空気清浄機を利用することなどがよいでしょう。
ーー食事面でできる対策はありますか?
武井先生: 食事面では、良質のビフィズス菌の摂取などの腸活が推奨されます。腸は免疫細胞の7割程度が存在するため、腸内環境が良好になれば、アレルギー症状の緩和にもつながります
監修ドクター: 武井 智昭先生
2002年慶應義塾大学医学部卒業。慶応義塾大学病院研修医、平塚共済病院 内科・小児科医長、神奈川県内のクリニックを経て、2017年なごみクリニック院長、2020年高座渋谷つばさクリニック院長(内科・小児科・アレルギー科)
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