Windows 11でアプリを呼び出す(起動する)には、当該アプリをタスクバーにピン留め、スタートメニューにピン留め、インデックスに基づく検索機能から探す、といったさまざま方法がある。ショートカットをデスクトップに並べているユーザーも多いだろう。

スタートメニューについては、Windows 9x時代から受け継がれたプログラムメニューを廃止した経緯もあるのだが、これはランチャーなど別ツールをインストールしない素の状態においても、利用者の使い勝手をよくするための取り組みだった。Windows 11のスタートメニューには賛否両論があるとはいえ、慣れるとさほど悪くないと思う。ただ、筆者の使用頻度は著しく少ない。

問題はタスクバーだ。UIプラットフォームの移行に伴い、コンテキストメニューから呼び出すジャンプリストの動作はアプリによってまちまち。アプリ側が悪いのかどうかは判断できないが、古いWin32アプリは「Shift」+右クリックで呼び出す旧型のコンテキストメニューで複数開いたアプリを閉じることもできない。筆者の場合、現在はIrfanViewをメインの画像ビューアーとして使っており、長年の習慣から「Shift」キー+右クリック→「閉じる」を選んでしまうが、終了するIrfanViewはひとつだけ。右クリック→「すべてのウィンドウを閉じる」を選ばなければならない。

  • IrfanViewの旧コンテキストメニュー

Windowsの進化と利用環境の変化に伴うUI変更は致し方ない。ただ、前述したような変化はユーザーを戸惑わせる要因ともなる。たとえば通常のコンテキストメニューはアクセスキーもなく、キーボード操作派から見れば不便極まりないのだ。マルチディスプレイ環境でメインディスプレイから移動できないなど、気になる箇所を連ねるとキリがない。今さらWindows 10に戻るわけにもいかず、筆者の使用スタイルはWSL(Linux)ベースになりつつあるが、Windows 11のUIはさらなる変更が加わるようだ。

Microsoftが現地時間2023年3月17日に公開した公式ブログによれば、「利用者がピンと既定値の変更を制御できる」「アプリ開発者が既定のアプリやタスクバーのピン留めを制御できる」とある。端的に述べると、アプリのインストール時に既定のアプリやピン留めを取捨選択するチェックボックスや、通知による選択が可能になるという。

  • 通知機能でタスクバーへのピン留めをうながしてくる(公式ブログより)

この背景にあるのは、サードパーティー製アプリに対するファーストパーティーのMicrosoft製アプリが持つ優位性を考慮して、バランスを取るための措置ではないだろうか。この改善自体は歓迎したい。

たとえば本仕様が適用されたWindows 11でGoogle Chromeをインストールした場合、ms-settings: URIスキームで「設定」を呼び出して既定のWebブラウザーを変更できそうだ。ピン留めに関しては「プライマリータイル」「セカンダリータイル」のいずれかをピン留めするAPIを新たに用意するようだが、最新のWindows 11 Insider Previewでも実装されていないので、今のところ詳細な動作は不明である。

通常ならWindows Insider Blogの更新記事に挙がる内容と思われるが、前述のとおりMicrosoftは1本の記事を投稿した。近年高揚していた既定のWebブラウザーや検索サイトにまつわる諸問題は記憶に新しく、今回は一連の騒ぎに対する回答のひとつなのだろう。Windows 11のUIに対して、今回の仕様変更はそれほど影響は大きくないのだが、長年のユーザーに対する配慮を開発チームに求めるのはワガママだろうか。