今年1月に発表された、SteelSeries初のゲーミングスピーカー「Arena」シリーズ。発表会の会場でも少し実機に触れて音質を体験できましたが、今回借り受ける機会に恵まれてしばらく試すことができました。
忙しい方向けにざっくりまとめておくと、気になる音質そのものはかなり本格的。それでいて素晴らしい設置性の高さを実現しており、導入が極めてかんたんに行えます。ネックになりそうなのは、やはり約4万円(筆者調べ、記事制作時点)という決して手軽とはいえない価格でしょうか。
サブウーファーに全部詰め込んでスッキリした製品仕様
さっそく製品外観を眺めつつ紹介していきましょう。この製品はシリーズのうち、上から数えて2番目のモデル。左右に設置するステレオスピーカーに加え、重低音を担当するサブウーファーの0.1ch分を組み合わせた2.1ch仕様です。最上位モデルはリアスピーカーも組み合わせる5.1ch仕様なので、一般的なステレオ用途ではArena 7が有力になるでしょう。
今回設置を通して最も感心したのが、このサブウーファーユニットです。配線を集約する母艦としても機能しており、オーディオ知識が要求される複雑な配線作業は皆無。専用のスピーカーケーブルが用意されており、端子の形が左右で違うので差し間違えも起こりません。
また、光入力/出力が搭載されている点もポイントです。主にUSB Type-C端子の接続でPCとの組み合わせを想定している本製品も、光オーディオ入力で幅広い機器との利用が可能。スマートフォン等のと接続にはBluetoothを活用できるうえ、アナログ入力が行えるAUX端子も備え、かなり高い汎用性を確保している点も見逃せません。
“ゲーミング”スピーカーと侮れない、本格的なオーディオ機器だ
サブウーファーを含む2.1chシステムのサウンドを評価する前に、まずはサブウーファーをオフにした2.0ch状態から試してみましょう。体験会の会場で聴いた時も感じましたが、やはりこれは“ゲーミング”スピーカーという色眼鏡からは一目置くべき本格オーディオ製品だと感じました。サブウーファーと組み合わせて使うことを想定されているためか、スピーカー単体では低音がやや薄く、スッキリめなサウンドになっています。それでいて中 ・高域はフラットに聞き取れるバランスに仕上げられており、大量の効果音にセリフが混じるようなゲームでも、クッキリとボイスを聞き取ることが可能でした。低音が過剰に持ち上げられている一般的なゲーミングスピーカーに辟易されている場合、本製品の導入ではかなり大きな変化を感じられるはずです。
加えて、サブウーファーのボリュームを引き上げて2.1chのサウンドもチェック。試用前は内心、「デスクトップ環境にサブウーファーなんかいらなくない?」と思っていたのですが、使ってみると迫力のサウンドに感心しました。まさにサブウーファーと組み合わせるために開発されたように、薄めだった低域をサブウーファーが補完。全帯域がバランスよく再生され、素晴らしいクオリティでまとめ上げられています。サブウーファーの量感はボリュームで自在に調節でき、イコライザを操作する必要もありません。
ちなみに、イコライザ機能は独自ユーティリティ「SteelSeries GG」から調節できます。ゲームごとに独自のプリセットが大量に用意されているので、プレイタイトルにあわせて変更すると最適な音質で楽しめるというわけ。スピーカーシステム本体のファームウェア更新も行えるので、使用前にぜひ導入しておきましょう。
細かいことに注意するとすれば、デスクトップ環境という至近距離でサブウーファーを使う以上、設置位置にはかなり気を使う必要があります。試しにデスク左側の足元に設置してみると、当然左から聞こえる音量が大きくなります。左右でバランスをとるためにはなんとか足元に置いてみるなど、気になる場合は設置場所を見直す必要もありそう。
加えて、SteelSeries公式の製品ページに再生可能なフォーマットの記述がない点はいただけません。筆者が見落としているだけかもしれませんが、ドキュメントにも記述がないものと思われます。4万円もするオーディオ機器である以上、DACの再生能力が気になるユーザーもいるはずです。筆者が確認したところ、24bit/48kHzの再生に対応していることがわかりました。
ややこしいオーディオ知識は不要! 4万円で2.1chセット丸ごとなら…
ここまでSteelSeries「Arena 7」について紹介してきた本記事。個人的にはデスクトップ環境でのスピーカーは必須デバイスだと考えていますが、案外ちゃんとした製品を使っていないPCゲーマーも多そうな製品カテゴリです。スピーカーならいちいちヘッドセットを被る必要もなく、PCに向かっていないときでも活用可能。本格的なスピーカーの導入にはDACやアンプについて考える必要がありますが、Arean7なら必要なものがすべて揃っているので考えなくても問題なし。Arean7を導入すれば、いつも適当なスピーカーでなんとなく眺めていた配信がとても高音質だったことに気付けるかもしれませんよ。