フランチャイズはビジネスモデルがパッケージ化されており、経営形態の中でも比較的成功しやすい業態と言われています。しかし、実際にフランチャイズへの加盟を考えると、「安定して経営できるのだろうか」と不安になる人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、フランチャイズの中でも安定している業種や本部の特徴をご紹介します。フランチャイズ経営を検討している方は、ぜひご覧ください。
■フランチャイズは経営が安定しやすいと言われる理由
フランチャイズは、他の経営形態と比べ、安定的な経営が実現しやすいと言われています。そのように言われる理由は、フランチャイズに以下のようなメリットがあるためです。
1.本部の持つブランド力が活用できる
一般的に、ビジネスを軌道に乗せるには、商品・サービスの認知度や知名度をある程度高める必要があります。自分でゼロから開業する場合、市場調査から始めプロモーションやリピーター獲得の戦略まで綿密に計画しなければ、経営を安定させることはできません。
しかし、フランチャイズであれば、すでに本部の名前や商品・サービス名がブランド化されているため、認知度・知名度アップのためのコストを大幅に削減できます。
本部の持つブランド力を存分に活用できれば、開業当初から大きな売上を上げることも不可能ではないのです。
2.本部のサポートにより業務に集中できる
開業してビジネスを始めると、業務のかたわら、商品・サービスの開発や宣伝、問い合わせなどにも対応しなければなりません。一方、フランチャイズで起業すると、ほとんどの場合、それらの仕事を本部に任せられます。
つまり、加盟店オーナーは店舗運営や人材育成などに集中できるのです。業務の精度が上がれば高品質な商品・サービスの提供が可能になり、それが売上増加や顧客獲得につながることで、将来的にはオーナー自身の収入アップも目指せるでしょう。
本部からのサポートがあることで、加盟店オーナーは自分の仕事に集中でき、経営が安定しやすいのです。
3.本部から経営のアドバイスがもらえる
フランチャイズでは、経営について本部からアドバイスを受けることができます。個人経営の場合、経営に行き詰っても誰かに相談することは難しいため、客観的な改善策がもらえる点はフランチャイズの大きなメリットです。
フランチャイズ本部は、成功事例や経営ノウハウを多く積み上げています。これらをもとにした適格なアドバイスは、安定経営に欠かせない大事なポイントとなるでしょう。
4.そもそも需要のある業種が多い
フランチャイズは、そもそも需要のある業種であることが多いです。それは、フランチャイズ本部には強大な情報収集力があり、市場ニーズをしっかり調査しているためです。
特に、少子高齢化や共働き世帯の増加にともない、介護やハウスクリーニングなどの需要は大きく伸びています。他にも、ジムやフィットネス、学習塾など長期的に安定したニーズやマーケットが見込める業種が多くあります。
そのうえで、フランチャイズへの加盟を検討する際は、ご自身でも業界のニーズや将来性をしっかり見極めるとさらに安心できます。
■安定しているフランチャイズの業種とは
元々、安定している業種が多いとされるフランチャイズ。その中でも特に安定経営が見込める業種とは、どのようなものなのでしょうか。
＜景気の影響を受けにくい業種＞
景気の影響を受けにくく、いつでも一定の需要がある業種は、フランチャイズの中でも特に安定しています。たとえば、葬儀社のように緊急性が高いサービス、マッサージ業のようにいつでも必要とされるサービスがその例として挙げられるでしょう。
反対に、娯楽サービスは景気の影響を受けやすいです。たとえば、居酒屋のような飲食業界は特に景気に左右されやすく、また、仕入れ値が景気の影響を受けることも知っておかなければなりません。
景気によって需要が激減するような業種は避け、いつでも一定のニーズが見込める業種を選ぶようにしましょう。
＜10年先も変わらず需要のある業種＞
一時的に需要が伸びている業種ではなく、5年、10年先も変わらず需要のある業種も安定しているでしょう。勢いのある業種のフランチャイズに加盟すればその時だけは稼げるかもしれませんが、ブームが去れば、売上が激減することも考えられます。
売上が減っても、フランチャイズ本部へのロイヤリティの支払いは続きますし、契約期間の途中で廃業することは簡単ではありません。フランチャイズで安定経営を目指すなら、今だけ流行っている業種なのか、これからも変わらない需要が見込める業種なのか、よく見極める必要があります。
＜安定しているフランチャイズの業種＞
では、具体的には、どのような業種が安定しているのでしょうか。主な業種をいくつかご紹介します。
・リサイクルショップ、買取販売
近年、リユース市場は右肩上がりに成長を続けています。フリマアプリが浸透したことで、不要品の販売が身近になったと感じる人も多いのではないでしょうか。その中で、「不要品を売ってすぐに現金が欲しい」という声に応えるリサイクルショップ、買取販売には一定の需要があります。
不要品をお金に換えたり、欲しい商品を中古で安く購入したりする流れは今後も続いていくでしょう。リサイクルショップや買取販売などは、安定している業種の一つと判断できそうです。
・介護サービス（デイサービス）
日本では少子高齢化が深刻な問題になっていますが、高齢者の数が増えれば、介護におけるデイサービスの需要も多くなります。デイサービスのフランチャイズ加盟店を募集している本部は多くありますので、事業内容や開業資金などの条件を見比べ、広い選択肢の中から選べる業界でしょう。
・高齢者向け弁当宅配サービス
高齢者の一人暮らしが増え、自炊や買い物が困難な高齢者向けの弁当宅配サービスも需要が増えています。今後も高齢者の数は増えていきますので、こうした弁当宅配サービスも安定経営が目指せる業種の一つでしょう。
・ハウスクリーニング、家事代行
共働き世帯の増加に伴い、ハウスクリーニングや家事代行サービスを利用することが一般的になりつつあります。家事を外注することは、今後さらに世の中に浸透していくでしょう。清掃サービスや家事代行サービスへの需要は今以上に高まり、経営も安定すると考えられます。
・整体、医療マッサージ
今や、ほとんどの仕事でパソコン業務が欠かせなくなりました。長時間のパソコン作業で深刻な肩こりや腰痛に悩まされている人も少なくないでしょう。
こうした体の不調が増えていることから、整体や医療マッサージは、高齢者のみならず若い人の需要も多い業種です。景気に左右されにくく、今後も比較的安定した需要が見込める業種と言えます。
■安定しているフランチャイズ本部の特徴
業種によって安定しているかどうかは異なりますが、やはり最終的には、フランチャイズ本部の安定性も気になるところです。最後に、安定しているフランチャイズ本部の特徴を解説します。
1.加盟希望者に配慮してくれる
フランチャイズ本部の中には、加盟店を増やしたいあまり、本部のペースで契約の話を半ば強引に進めるところもあります。しかし、加盟店から得る加盟金だけが目的であるなど、加盟店の利益を考えてくれない場合も多いため、注意が必要です。
また、本部のペースで話が進んでしまうと、初期費用の詳細を確認できなかったり、充分な開店準備ができなかったりと不都合が生じる場合もあります。
一方、加盟希望者の事情に耳を傾け、配慮してくれる本部も存在します。安定的な経営を目指すなら、ビジネスパートナーとして信頼できる本部を選ぶことは欠かせません。
ぜひ、加盟希望者への配慮がみられる本部を選ぶようにしましょう。
2.詳細に説明してくれる
フランチャイズ加盟前には、説明会などで本部担当者の話を聞く機会があるでしょう。その際、事業内容やサポート体制などについて詳しく説明してくれ、費用やロイヤリティなど、本部にとって不都合な内容の質問にも誠実に答えてくれる本部は評価が高いです。
自社について包み隠さず詳しく開示してくれるのは、真面目に事業に取り組み、経営ノウハウを積み重ねている証拠とも言えます。
反対に、事業についての説明が少ない、疑問点を質問してもはぐらかすといった本部は、ひどい場合、事業の実態さえない場合もあります。
加盟希望者に対して本部はどのように向き合っているのか、よく見極めましょう。
3.初期費用の分割払いが可能
フランチャイズ本部によっては、初期費用の分割払いに対応しているところもあります。初期費用を充分用意できるとしても、今後の運転資金のことを考えると、初期費用を分割払いにできれば大きな助けになるでしょう。
また、初期費用の一部を本部が融資してくれる場合もあります。初期費用の分割払いに対応しているフランチャイズに絞って加盟を検討するのもいいでしょう。
4.サポートがしっかりしている
サポート体制が整っているフランチャイズ本部は、経営が安定している傾向にあります。ろくにサポートせず、マニュアルを渡して終わりという本部は、加盟店から集める加盟金が目当てであることがほとんどです。
一方、しっかりサポートしてくれる本部は、まずは加盟店に稼いでもらうことで、本部も利益を得ようという姿勢を持っています。サポート体制が充実しているフランチャイズ本部を選び、安定経営を目指しましょう。
■長く需要のある業種を選ぼう
今回は、安定しているフランチャイズの業種や本部の特徴について解説しました。ビジネスである以上、ある程度の浮き沈みがあることは仕方ありませんが、業種や本部選びを慎重に行い、できるだけ安定的に収益を得たいものです。
業種については、一時的なトレンドに惑わされず、長く需要のある仕事を選びましょう。一方、フランチャイズ本部の選定は複数の会社をよく比較検討し、時間をかけて行いましょう。
