米Intelは現地時間の3月23日、第13世代CoreベースのvProプロセッサを発表した。こちらについて簡単に紹介したい。

  • Intel、第13世代Coreの「vPro」プロセッサを発表

    Photo00:

まず発表されたSKUであるが、表1にDesktop向け、表2にMobile向けを示した。Desktopの35/65W製品はvPro EnterpriseとvPro Essentialsの両方が用意され、一方125W品はvPro Enterpriseのみとなっている。またMobile向けはU/P-Seriesに関してはvPro Enterprise/vPro Enterprise for Chromeがラインナップが重なっている格好だ。

表1:Desktop向け

vPro Enterprise & vPro Essentials vPro Enterprise
35W TDP 65W TDP 125W TDP
Core i9-13900T Core i9-13900 Core i9-13900K
Core i7-13700T Core i7-13700 Core i7-13700K
Core i5-13600T Core i5-13600 Core i5-13600K
Core i5-13500T Core i5-13500

表2:Mobile向け

vPro Enterprise
U-Series P-Series H-Series HX-Series
Core i7-1365U Core i7-1370P Core i9-13900H Core i9-13950HX
Core i5-1345U Core i5-1350P Core i7-13800H Core i7-13850HX
Core i5-13600H Core i5-13600HX
vPro Essentials
U-Series P-Series H-Series
Core i7-1355U Core i7-1360P Core i9-13900HK
Core i5-1335U Core i5-1340P Core i7-13700H
Core i5-1334U Core i5-13500H
vPro Enterprise for Chrome
U-Series P-Series
Core i7-1365U Core i7-1370P
Core i5-1345U Core i5-1350P

ちなみにvPro EnterpriseとvPro Essentialsで提供される機能をまとめたのが表3である。基本的な仮想化機能(VT-x/VT-d)やPTT/CET、Boot Guard/BIOS Guardなどの機能はvProを搭載しないただのCoreプロセッサでも利用可能だが、それ以外の機能は当然vProプロセッサのみ、となっている。

表3
非vPro vPro Enterprise vPro Essentials vPro Enterprise for Chrome
Hardware Shield
Virtualization(VT-x/VT-d)
TXT(Trusted Execution Technology)
System Security Report
System Resources Defense
VT-rp
TME-MK(Total Memory Encryption-Multi Key)
PTT(Platform Trust Technology)
Boot Guard
BIOS Guard
TDT(Threat Detection Technology)
CET(Control Flow Enforcement Technology)
AMT(Active Management Technology)
Standard Manageability
One Click Recovery
Remote Platform Erase
Platform Service Record
SIPP(Stable IT Platform Program)

といっても、そもそもvProはvProであって、既存の製品から新機能が大量に入ったとか全く新しい機構になった、という訳では無い。では今回のvProは何が特徴か? というのがこちら(Photo01)。vProのターゲットがビジネス向けという事もあり、当然3~4年毎の刷新という事になる事を前提に、その3~4年前のPCと比較して大幅に性能が改善しているとする。

  • Photo01: 個別の要素は以下で詳細に説明したい。

まず4年前のPCと比較して、攻撃に対しての脅威が概ね70%減少した(Photo02)というものだが、当時の製品だとまだOSがWindows 10(流石にWindows 8.1は絶滅していると思いたい)のものが残っている筈で、こうしたものがWindows 11になるだけでもだいぶ攻撃への耐性が増している筈だ。加えてTDTに最新のウィルス対策ソフトが対応しているので、効率よく検知が可能になっている(Photo03)とする。

  • Photo02: ランサムウェアの検出効率が93%上がり、ソフトウェア自体の攻撃耐性も24%上がり、...といった(計算方法はわからないが)数字の積み重ねでトータルとして70%削減できたとする。

  • Photo03: 昔のPCだと、ウィルス検知の処理が結構な負荷になり、VPNとか使っていると本当に耐えられない速度になることがままあった。TDTを利用する事で、この辺りがハードウェアで高速化される、という話。

ちなみにその次のVirtualizationベースのSecurityというのはWindows 11側の機能であり、これはPhoto02に出て来たランサムウェアの検出効率が93%アップという所の理由の一つである。この話は、次の"testing on IT configurations for a smooth transition to Windows 11"にも絡む話である。

その次の3年前のPCと比較して生産性やセキュリティなどが大幅に向上という話(Photo04)もあるが、こちらは純粋にコアの性能比較の話となる。このPhoto04は同時に最後の"Over 2x better productivity..."の節の説明でもある。Core Countの数はHybrid Architectureが故のメリットである。

  • Photo04: 第10世代Coreとの比較だけでなく、Ryzen 7000シリーズやApple M2との比較もあるが、ここではSYSmarkの数字だけで比較していた。Apple M2はともかく、RyzenとはProcyonの数字も欲しかったところ。

総じて、第13世代になって基本性能が上がったというのと、完成度が上がったという以上の話ではないのが今回のvProの発表ではあるのだが、そもそもvProの完成度そのものが高い(概ね20年近くに渡り提供されている)ということで、更に完成度を高めたというのが今回の発表である。