朝食はパン派?ご飯派?

ご飯派は、白いご飯とともに、納豆を毎日欠かさず食べているという人もいるはずです。そんな、身近なご飯のお供である納豆が自由に食べられない職業があるのをご存じでしょうか?

杜氏、朝の納豆が解禁になり、咽び泣く・・・。(@Tamaasahi_Owara)

  • (@Tamaasahi_Owaraより引用)

それが、日本酒の蔵で、酒造りの取り仕切る杜氏(とうじ)。

富山市八尾町で200年以上の歴史を持つ地酒蔵・玉旭酒造有限会社(@Tamaasahi_Owara)の杜氏さんは、朝の納豆が解禁になり、歓喜のあまりむせび泣いたというのです。

「日本酒造りは非常にデリケートゆえ、納豆菌が邪魔をする納豆は食べられない」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

この投稿に対しTwitterユーザーからは「もらい泣きしました」「我慢した後の納豆は絶対美味しい」「今シーズンもお疲れさまでした」といった共感やねぎらいの声が続々。

「杜氏さんはこの仕事をしている以上ずっと納豆禁だと思っていましたが、解禁される時期もあったんですね‼️」など、納豆が解禁される時期があることに驚く人もいました。

「納豆NG」と聞いたことはあっても、詳しいことはあまり知られていない杜氏のお仕事。なぜ納豆がNGなのか、またいつ納豆が解禁になるのか、玉旭酒造の杜氏さんにうかがいました。

「納豆解禁」、投稿者に聞いてみた

――今回の納豆解禁ツイート、投稿のきっかけを教えてください。

杜氏の仕事は休みがほとんど取れないのですが、長い酒造りの季節もいよいよ終盤です。実は10月11日からこれまで、完全1日休みが得られたのはわずか1日です。今月も休みが取れそうにありません。

納豆菌の心配をしなくてよい段階に入りまして、しみじみネギ納豆を眺めていて、その旨を何の気なしに伝えたまでです。

――杜氏さんのお仕事は、なぜ納豆NGなのでしょうか?

日本酒造りに必要な麹菌と納豆菌の生育環境が似ており、麹室そして麹が納豆菌に汚染されると、麹が変調をきたし、酒の味に悪影響を及ぼしてしまいます。よって、納豆NGとされております。

――「杜氏の仕事=納豆は常にNG」だと思っていた、という声も寄せられています。玉旭酒造さんの場合、解禁のタイミングはいつ頃なのでしょうか。

年によって違いますが、麹造りが終わり麹室の清掃が終わった段階で解禁としております。

――今回の投稿には大きな反響が寄せられましたね。

酒造業界においてはアタリマエのことを何の気なしにつぶやいたらこうなって、驚くやら嬉しいやら。

業界挙げて我慢を重ね、努力を惜しまず美味しい酒を醸すことに全力を傾けておりますので、皆様方にもぜひとも日本酒を飲んでいただきたいものです。


納豆好きにとっては、長くつらい「納豆禁止」に耐え抜き、日々じっくりと手をかけて造られている日本酒。そんな裏話を知れば、日本酒への興味や愛着がさらに深まりますね。