HGPI(日本医療政策機構)は3月15日、「女性の健康」に関する調査結果を発表した。調査は2022年9月、男女1万名(男性5,050名、女性4,950名/就業回答者:男性4,434名、女性3,324名)を対象にインターネットで行われた。
調査によると、女性の健康問題を理由に過去3か月間で日常の様々な活動に影響を感じている女性は81.2%。
月経随伴症状や更年期症状を原因として欠勤・遅刻・早退によって、どのくらいの生産性が失われているのかを換算したところ、プレゼンティーズム(何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態)によって、日本全体では、年間、約3,628億円の損失が生じていることが明らかに。また、就業している女性の79.6%が「仕事の生産性への影響」を感じており、平均で約1,024円/時間の損失が生まれており、特に正規雇用者においては損失が大きかった。
続いて、「生理休暇」について聴取した。生理休暇の整備状況を従業員数別にみると、従業員数が少ない企業ほど「生理休暇が整備されていない」という回答が多く、実際に利用する人も少ないことが判明。その割合に地域差はあまり見られなかったが、回答者が正社員か否かによって大きな差が。
一方、管理職は、48.2%が「生理休暇制度がある」と回答。しかしながら、一般職員、特に工場などの現場労働、販売・サービス業に就いている回答者では、「制度がある」と回答した人はそれぞれ21.9%、17.2%にとどまり、管理職と一般職員の間で認識に差異が。管理職が思っているほど、一般職員の間に生理休暇の整備状況は認識されていないことが浮き彫りとなった。
次に、OTC 医薬品(Over The Counter: 市販薬)の使用頻度を調べたところ、自分の親の認識が「『月経痛は我慢するものだ』であると思う」と回答した人ほど使用頻度が高く、月経痛への対処方法として受診ではなく市販薬を使用している人が多かった。
親の月経や治療用ピル利用に対する認識が、子供の受療行動(女性特有の健康課題がある際に、医療機関を受診したりOTCを利用するか)に影響を与えているよう。
次に、職場研修など、女性の健康に関する知識を得る機会があったかと尋ね、職種別にその割合を集計したところ、「機会がある」人の割合が高かったのは、「管理職」(28.8%)と「農林水産業」(18.2%)で2~3割程度。その他の職種では1割前後にとどまり、全体としても非常に低かった。
一方、学校教育の場で、女性の健康に関する知識を得る機会が「あった」と回答した人は、全体の24.7%。多くの男性回答者が、女性の健康問題を「わからない」こととしてとらえていた一方で、女性の多くは、「職場の理解があるとは思わない」と回答するなど、認識に差異があることがわかった。