帝国データバンクは3月15日、「首都圏・本社移転動向調査(2022年)」の結果を発表した。調査は、2022年に首都圏と地方を跨いだ「本社所在地の移転」が判明した企業について、保有する企業概要データベースのうち業種や規模が判明している企業を対象に分析したもの。

  • 首都圏の企業転出入動向

    首都圏の企業転出入動向

2022年(1-12月間)における、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から地方へ、本社または本社機能を移転した企業は335社。調査開始以降最多の前年(351社)に続く過去2番目の多さを記録し、首都圏外へ本社を移転する流れが続いた。

一方、地方から首都圏へ本社を移転した企業は258社(前年328社)と、2年ぶりに減少。過去20年で最少件数を記録し、この結果、転出が転入を77社上回り、首都圏で2年連続の「転出超過」となった。

  • 首都圏からの転出先(コロナ前から増加した道府県)

    首都圏からの転出先(コロナ前から増加した道府県)

首都圏からの移転先は、「茨城県」(34社)、「大阪府」(30社)、「愛知県」(24社)を筆頭に、41道府県におよび、1990年以降で最多に。これまで、首都圏からの本社移転先は大都市部や首都圏近郊エリアが多かったが、リモートワークが定着したことで、遠隔地のほか、人口密度の低い地方・中核都市も浮上。コロナ前(2017~19年)に比べコロナ後(2020~22年)の移転社数が多い移転先は、「北海道」が最多の+28社。そのほか、「宮城県」(+16社)、「静岡県」(+15社)、「愛媛県」(+14社)なども増加が目立った。

一方、首都圏に移転した企業の転入元で最も多いのは「大阪府」の57社。次いで「愛知県」(27社)、「北海道」(19社)と続いた。

  • 首都圏の企業転出入動向(企業属性別)

    首都圏の企業転出入動向(企業属性別)

首都圏から転出した企業を業種別にみると、「サービス業」(129社)が最も多く、なかでも、ソフトウェア開発やベンダー、ドローン開発など先端技術産業も含めた「ソフトウェア産業」(29社)がサービス産業全体の2割超を占める結果に。続く「製造業」(68社)では、「食品産業」(12社)の移転がコロナ後に増加。次いで「卸売」(50社)、「小売業」(35社)と続いた。

一方、首都圏への転入でも、「サービス業」(98社)がトップとなったものの、過去2番目の高水準だった前年(124社)から26社減と大幅に減少。続く「卸売業」(41社)は24年ぶりの低水準を記録したほか、トラック運送などを中心とした「運輸・通信業」(7社)は前年から半減し、5年ぶりに10社を下回る少なさだった。