相鉄新横浜線・東急新横浜線が3月18日に開業する。各駅時刻表の公開に続き、3月11日に乗換案内アプリ(サイト)も対応した。そこで、従来のルートと相鉄新横浜線・東急新横浜線経由のルート、相鉄線から都心への東急直通線経由とJR直通線経由のルート、東急線内から東海道新幹線は品川駅と新横浜駅のどちらが便利かなど、調べてみた。

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■新横浜駅始発「のぞみ」に間に合う駅はどこ?

新横浜駅はJR横浜線と東海道新幹線、横浜市営地下鉄ブルーラインが交わる駅だった。3月18日から相鉄線・東急線の列車もやって来る。東急新横浜線からは東横線・目黒線の列車に加え、東横線と相互直通運転を行う東京メトロ副都心線と東武東上線、目黒線と相互直通運転を行う都営三田線と東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道(埼玉スタジアム線)の列車も来る。都心の各方面から新横浜駅につながる大きなネットワークになる。

JR東海はこの集客力を見込んで、3月18日のダイヤ改正から東海道新幹線に新横浜駅始発の臨時「のぞみ491号」を設定。新横浜駅を6時3分に発車する。品川駅を6時0分に発車する「のぞみ99号」(3月17日まで「のぞみ79号」)、東京駅を6時0分に発車する「のぞみ1号」より先行し、新横浜駅を6時0分に発車する「ひかり533号」を小田原駅で追い越す。新横浜駅周辺から名古屋駅・京都駅・新大阪駅へ、最も早く到達する列車になる。

  • JR東海は相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業に合わせ、新横浜駅始発の臨時「のぞみ491号」を設定

「のぞみ491号」の運転日はおもに土曜日と月曜日。週末に新横浜駅周辺から名古屋・京都・大阪方面へ旅行に出かける人の利用を見込めるだけでなく、東京・横浜方面を旅行した人が週明けに名古屋・京都・大阪方面へ帰り、そのまま学校や職場に直行する人の利用も期待できる。月曜日の列車は出張先で午前中に行われる会議等にも間に合う時刻設定のため、ビジネス需要も見込める。

ただし、新横浜駅の発車時刻は早朝6時3分である。この列車に間に合う駅はどこだろうか。「JTB時刻表」2023年3月号を見ると、新横浜駅での相鉄新横浜線・東急新横浜線と東海道新幹線の乗換標準時分は10分となっている。つまり、5時53分までに新横浜駅に到達できる駅を探せばいい。

利用日を「3月18日土曜日」と指定し、ルートを検索してみた。その結果、相鉄線・東急線はすべての駅から間に合った。ただし、田園都市線において、渋谷~鷺沼間の駅は大井町線・東横線経由で東急新横浜線を利用、たまプラーザ~青葉台間の駅はあざみ野駅で横浜市営地下鉄ブルーラインに乗換え、田奈~中央林間間の駅は長津田駅でJR横浜線に乗換えとなった。

  • 新横浜駅始発の臨時「のぞみ491号」に間に合うおもな駅

直通先の駅だと、東京メトロ南北線は溜池山王駅、東京メトロ副都心線は小竹向原駅からの各駅において、5時53分までに新横浜駅に到達し、「のぞみ491号」に間に合う。都営三田線、埼玉高速鉄道、東武東上線からは到達できなかった。西武池袋線の場合、保谷駅4時25分発の各駅停車に乗れば間に合うが、この列車は副都心線直通ではなく、地上の西武線池袋駅に到着するため、地下の副都心線池袋駅へ乗り換える必要がある。

JR線の駅で検索すると、南武線の各駅に加え、山手線の池袋駅、横須賀線の東京駅、埼京線の赤羽駅、京浜東北線の南浦和駅、中央線の三鷹駅からも、東急新横浜線へ乗り継ぐことにより、新横浜駅に5時50分より前に到着できる。それだけ東急新横浜線の波及効果は大きいといえる。もっとも、これらの駅は品川駅6時0分発、東京駅6時0分発の「のぞみ」にも間に合う。よほど急ぐ用事がない限り、わざわざ新横浜駅まで行く必要性は希薄かもしれない。

■東海道新幹線の乗換えは新横浜駅か品川駅か

「のぞみ491号」にこだわらず、東海道新幹線に乗り換える場合はどうか。東急新横浜線が開業したからといって、新横浜駅が便利とは限らない。都内の路線なら東京駅や品川駅のほうが近い。

東急線の主要駅を抽出してみたところ、東横線と目黒線は都内の駅でも新横浜駅で乗り換えたほうが早く、直通効果が出ている。それ以外の駅を見ると、都内の駅は品川駅のほうが近く、神奈川県内の駅は新横浜駅のほうが近い。検証した時間帯は「平日の8時台」で、通勤時間帯は列車の速度が遅くなりがちだから、日中ならもっと早い結果になるだろう。

  • 東急線から新幹線に乗り継げるおもな駅

  • 東急線の直通先から新幹線に乗り継げるおもな駅

都心方面の直通先について、東横線と相互直通運転を行う東京メトロ副都心線・東武東上線・西武池袋線、目黒線と相互直通運転を行う都営三田線・東京メトロ南北線の主要駅で比較したところ、いずれも新横浜駅よりも品川駅や東京駅で乗り換えたほうが近くて便利という結果になった。

■神奈川県民に朗報! 二俣川駅への所要時間が短縮

同じ東急線でも、田園都市線のたまプラーザ~中央林間間は東急新横浜線の利用機会が少ないかもしれない。新横浜駅まで行くなら横浜市営地下鉄ブルーラインやJR横浜線を経由したほうが早いからだ。しかし、新横浜駅で相鉄新横浜線に乗り換えるルートは注目に値する。相鉄線の二俣川駅は徒歩圏内に神奈川県警察運転免許センターがあり、神奈川県民のドライバーにとって重要な駅である。

運転免許試験や免停講習受講など、マイカーを運転できない人にとって、相鉄新横浜線はありがたい。各種免許の手続きは平日の朝8時に受付を開始する。この時刻に二俣川駅に着く列車を探した結果、神奈川県内にある東急線のほとんどの駅から間に合った。

  • 神奈川県内の東急線のおもな駅から相鉄線二俣川駅への経路

なお、都心から二俣川駅に行くルートも、相鉄新横浜線・東急新横浜線経由のほうが速い。神奈川県に住民登録を残したままの人も助かるだろう。

■相鉄線から都心方面、東急直通線ルートかJR直通線ルートか

相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業で新横浜駅経由がクローズアップされがちだが、もともと相鉄・東急直通線は相鉄・JR直通線とともに、「神奈川東部方面線」として「相鉄線から都心方面へ直通する」ことを主旨としていた。最後に相鉄線から都心方面の所要時間を見てみよう。平日8時着前後の最速ルートを比較した。

  • 相鉄線二俣川駅から都心方面の経路

渋谷駅へは東急直通線経由・JR直通線経由のどちらのルートも使える。所要時間はほぼ同じ。運賃は東急直通線経由のルートが安い。地図上では遠回りとなるJR直通線経由のルートも健闘している。しかし、最も運賃の安いルートは横浜駅で乗り換え、東横線を利用するルート、次いで横浜駅で乗り換え、JR線(湘南新宿ラインなど)を利用するルートだった。相鉄新横浜線・東急新横浜線ともに加算運賃が適用されるため、割高になっている。

二俣川駅から新宿駅へ行くならJR直通線経由のルートが速い。東急直通線経由のルートは渋谷駅などで乗換えが発生するため、不利になる。一方、目黒駅へ向かうなら東急直通線経由のルートが速い。JR直通線経由のルートだと、目黒駅に埼京線・湘南新宿ラインのホームがないため、品川駅または大崎駅で乗り換える必要がある。

全体的に見ると、JR線の駅に向かうならJR直通線経由のルート、東京メトロの駅に向かうなら東急直通線経由のルートと考えて良さそうだった。ちなみに、東急直通線経由のルートは目黒線利用が速く、東横線利用は遅めになるように感じられる。東横線はあくまで「渋谷~横浜間」を重視しているようで、特急は元町・中華街駅発着が多い。東急新横浜線から東横線は目黒線直通から乗換えとなるパターンが見られる。

なお、言うまでもないことだが、利用する時間帯や、平日ダイヤ・土休日ダイヤの違いなどにより、最適なルートは変わってくる。早く着くほうがいいか、乗換えの少ないほうがいいか、という好みの問題もある。

気を付けたい点として、乗換案内アプリ(サイト)には「癖」があり、検索結果でおすすめされるルートが必ずしも最速・最安ではない場合がある。ルートが複雑になっており、乗換案内アプリ(サイト)のチューニングが必要かもしれない。3月18日ダイヤ改正の対応で、相鉄新横浜線・東急新横浜線関係が遅れた理由も、このあたりに原因があったと推察する。意図したルートが表示されない場合は、経由駅を「新横浜」「横浜」などと指定したほうがいいだろう。