JR西日本は16日、開業直前となった大阪駅(うめきたエリア)の報道公開を実施した。この日は顔認証改札機をはじめとする新技術が紹介された。

  • 大阪駅(うめきたエリア)の地下ホーム。22番線側の駅名標はJR京都線のラインカラーである青色に

まずは既存の大阪駅に新設される西口を見学。水都大阪らしく「水」をテーマとしている西口は、上部の照明に波紋、柱に水路・掘割を想起させるデザインを施した。改札内にある黒色の柱はそれぞれ装飾が異なり、大阪市内にある代表的な橋をイメージしたとのこと。

西口と大阪駅(うめきたエリア)は改札内連絡通路でつながる。地下2階へ下りた後、地下1階に上がる構造となっているが、通路のコース自体はそれほど複雑ではない。案内通りに歩けば、自ずと大阪駅(うめきたエリア)の地下駅コンコース階に出られる。

  • 既存の大阪駅に設置される西口

  • 西口の改札内。大阪市内の代表的な橋をイメージした柱が並ぶ

  • 大阪駅西口と大阪駅(うめきたエリア)を結ぶ改札内地下連絡通路

  • 大阪駅(うめきたエリア)の21・22番線ホーム

  • 大阪駅(うめきたエリア)の改札口。新たに顔認証改札機を設置

  • 顔認証改札機は同時に入出場が可能

地下駅コンコース階において、最も目立つ設備が顔認証改札機。大阪駅(うめきたエリア)の開業に合わせて設置される近未来型の改札機で、従来の改札機にあったような扉はなく、顔認証またはICカードのタッチによって通過できる。万が一誤って通過した場合、改札内のデジタルサイネージが赤色に変わり、ブザーが鳴るしくみになっている。

JR西日本は、大阪駅(うめきたエリア)が開業する3月18日から、顔認証改札機を使った実証実験を開始する。大阪駅(うめきた地下口)から新大阪駅(東口)までを実証実験の区間とし、新大阪~大阪間を含む「ICOCA定期券」利用者が対象。新大阪駅(東口)改札にも簡易型の顔認証改札機を設置し、顔認証によって改札内へ入場し、顔認証によって改札外へ出場できるしくみに。顔認証とICカードの併用はできないので注意したい。実証実験に参加するには、JR西日本アプリ「WESTER」などからモニター登録を行う必要がある。

改札機横の券売機には、AI機能を搭載した「みどりの券売機プラスAI」が設置される。受話器を使い、券売機のオペレーターと対話することにより、きっぷを購入できるしくみに。試しに行先を「留萌」、日付を「明日」と口頭で伝えると、大阪駅から留萌駅までの列車と経路が表示された。従来のように駅名をタッチパネルで入力する必要がなく、いたってスムーズだった。

  • 「みどりの券売機プラスAI」は受話器を用いた対話形式できっぷを購入できる

  • 地下駅コンコース階にあるプロジェクションスクリーン。記念撮影ができるしかけも

改札機を通過すると、プロジェクションスクリーンが現れる。通常のプロジェクションスクリーンは、悠久の自然から未来の都市へ進化していくストーリーに沿った4つの光の水景がランダムに現れ、時間によって色や明るさも変わる。プロジェクションスクリーン周辺にあるタッチパネルを操作することにより、記念パネルを表示させた上で記念撮影もできる。

地下駅コンコース階からホーム階に降り、21・22番線ホームに立つと、フルスクリーンホームドアをはじめ、発車標や駅名標が整備されていた。特急「はるか」「くろしお」が乗り入れる21番線側の駅名標は大阪環状線のラインカラーである赤色、おおさか東線の列車がおもに乗り入れる22番線側の駅名標はJR京都線(東海道本線)のラインカラーである青色を採用している。

その他にも、トイレの個室の使用状況がリアルタイムにわかるトイレDX化、専用オンラインサイトで注文した商品をスマートロッカーで受け取れる「pikuraku」をはじめ、新サービスの展開も予定されている。

  • 地下駅コンコース階では、可変案内サインを用いることで臨機応変な案内が可能

  • トイレDX化により、トイレの個室の利用状況がわかる

  • 大阪駅(うめきたエリア)に設置される地上口。周辺は工事中のため、暫定的な設備の印象が濃い

  • 「グランフロント大阪」につながる地下通路

大阪駅(うめきたエリア)へは、西口からの改札内地下連絡通路に加え、「グランフロント大阪」からの地下道、あるいは地上口からもアクセス可能。ただし、うめきた地下口の地上部は2024年の全面開業を予定しているため、当分の間は改札内地下連絡通路と「グランフロント大阪」からの地下道がメインルートになると思われる。