画面を曲げてたためる「折りたたみスマートフォン」の新製品が海外で次々と発表されています。その中でもちょっとした話題になっているのはTecnoというメーカーの「Phantom V Fold」。販売先はアメリカでも中国でもなくインド。しかも価格は13万円と、折りたたみモデルとしては格安で、これには販売先となるインドの人々も驚いていることでしょう。
折りたたみスマートフォンは開くと大きい画面が現れるのが特徴です。Phantom V Foldも7.85インチと小型タブレットとして使える画面を搭載。折りたたみモデルですが画面の中央を見ても溝のようなものは見えにくく、開いたときの使い勝手も良さそう。
開いたときの本体サイズは159.4×140.4×6.9mmで、片手で持つことも可能な大きさです。そしてこの画面を左右から閉じるように力を加えると、そのまま本体をたたむことができるのです。
たたんだときの大きさは縦横が159.4×71.95mmで、普通のスマートフォンの大きさとなります。厚みはヒンジ側が14.53mm、反対側が14.15mmでやや厚いものの、いつでも開けば大画面になることを考えると気になるものでもありません。
たたんだ状態で片手に持つと6.42インチ、21:9のディスプレイを使えます。やや縦長ですがソニーの「Xperia 1 IV」などと同じ縦横比ですから違和感もありません。ただ持ってみて感じたのは「ちょっと重いな」ということ。Phantom V Foldの重さは299gなので、最近の重量級のスマートフォンよりもさらに重いのです。このあたりはコストとの兼ね合いもあって軽量かは多少犠牲にしているのかもしれません。
背面のカメラは5,000万画素を2つ(広角と2倍望遠)と1,300万画素でなかなかの性能です。なお閉じたときの画面のフロントカメラは3,200万画素、開いたときのフロントカメラは1,600万画素と、自撮り用カメラも悪くない画質です。
背面の仕上げはビーガンレザー製で、革というよりも布をイメージした仕上げになっています。そのため握ったときの滑り止め効果も高く、こうして裏側から見るとカバーをつけているようにも見えます。傷や指紋の跡もつきにくく、このままケース無しで使いたくなるデザインでしょう。
さて開いたときの大きい画面は他のスマートフォンでは味わえない体験を提供してくれます。特に写真を撮影するときは大きなプレビューを見ながら撮影できるので、写真を撮ることがより楽しくなります。
また自分の顔写真を撮るときはフロントカメラを使ってもいいのですが、本体を開けば5,000万画素の高画質カメラを使うことも可能です。その際は開いたときのフロントディスプレイがプレビュー画面になるので自分の顔を確認しながらしっかりと撮影できます。
そして大きな画面は2つのアプリを同時に立ち上げて使うのにも便利です。SNSを開きながらショッピングアプリを開いたり、ブラウザと地図を開くなど、2つのアプリを同時に表示しておけば、パスワードや住所をいちいち記憶する必要もありません。折りたたみスマートフォンはこの「マルチウィンドウ」出来る点がかなり便利なのです。
なかなか便利な折りたたみスマートフォンであるPhantom V Foldですが、触ってみてちょっと気になる点もありました。画面は隙間なく閉じることができるため持ち運びするときに楽なのですが、本体を開いて使うとき、途中の位置で開いて使うことができません。半開きができれば机の上に置いて立ててそのまま動画を見たりビデオ会議をすることもできるのですけどね。とはいえこれも大きな不満というわけではなく、大手メーカーよりも安い価格で販売されるのであれば十分許容できます。
Phantom V Foldは2022年2月28日からスペイン・バルセロナで開催された「MWC 2023」で発表されました。世界で最大の通信イベントでインド向けの折りたたみスマートフォンが発表されるとは、インドのスマートフォン市場も急激な盛り上がりを見せていることなのでしょう。5Gサービスもインドでは昨年から始まっています。
Phantom V Foldのインド価格は8,999ルピー(約14万7,000円)。早期予約価格は7,999ルピー(約13万円)で、一般的なスマートフォンのハイエンドモデルと変わりません。またインドではサムスンの折りたたみモデル「Galaxy Z Fold4が」1万4,499ルピー(約23万6,000円)なので、比べればかなり割安です。インドの国民平均所得を考えるとPhantom V Foldもまだ高いでしょうが、ちょっと無理すれば買える価格まで下がってきました。Phantom V Foldが発売されればインドでも折りたたみスマートフォンを使う人が増えるでしょうね。