米Mozillaは、3月14日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 111」をリリースした。Firefox 110から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 110では、2023年2月28日にマイナーバージョンアップの110.0.1がリリースされている。110.0.1では、以下の修正が行われた。

  • 最近のCookieを消去すると、すべてのCookieが消去される問題の修正
  • macOS版:コンテキストメニューが、他のFirefox UI要素のバックグラウンドに表示されることがある問題の修正
  • Windows版:ブックマークツールバーが空であると、[ブックマークの管理]リンクがクリックに反応しない問題の修正
  • Linux版:VMWare仮想マシン内でFirefoxを実行したときにWebGLがクラッシュする問題の修正
  • デンマークのMitID Digital IDを使用するとすCSPシリアライゼーションがうまくいかない問題の修正

このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。したがって、今回は、110.0.1からのアップデートとなる。

Firefox 111のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 「Firefox 111」を試す - Windowsネイティブ通知やFirefox Relayをサポート

    図1 Firefox 111へのアップデート

アップデート後のFirefox 111は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン111にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 111をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 111のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 111の新機能

続いて、新機能であるが、以下のとおりである。

  • Windowsネイティブ通知が有効に
  • Firefox Relayでは、Firefoxパスワードマネージャーで、メールマスクを作成することが可能になった。この機能を使うには、Firefoxアカウントでサインインする必要がある
  • 新たに、Silhe Friulian(fur)とSardinian(sc)の2つの新しいロケールが追加

以下、具体的にみていこう。まず、Windowsネイティブ通知であるが、Windows 10からサポートされていた機能である。しかし、about:configで設定をしないと利用できなかった。それが、今回のバージョンアップでは、デフォルトで利用可能になった。以下では、Notifications Testを行うWebサイトのBen Kennishでの実行例である。

  • 図5 Windowsネイティブ通知の実行例

Firefox Relayは、普段、使用しているメールアドレスでは、各種Webサービス、メールサービスなど利用することに抵抗を感じることもあるだろう。そこで、ダミーのメールアドレスを使い、利用することを可能にする仕組みである。こうすることで、普段のメールアドレスを登録する必要がなくなり、セキュリティを高めることができる。 Firefox Relayを利用するには、いくつかの準備が必要となる。

  • Firefox Relayにユーザー登録したFirefoxアカウントでサインインする
  • Firefoxの設定にて[プライバシーとセキュリティ]→[ログインとパスワード]で[[FirefoxのパスワードマネージャーでFirefox Relayを有効にする]にチェックを入れる

ユーザー登録は、Firefox Relayのサイトにて行う。

  • 図6 Firefox Relayのサイト

あとはパスワードマネージャーで、以下の設定を行う

  • 図7 [FirefoxのパスワードマネージャーでFirefox Relayを有効にする]にチェック

以上である。

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で13件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が7件、4段階で上から3番目の「Moderate」が6件となっている。

「High」では、

  • フルスクリーン通知が、Androidのダウンロードポップアップにより非表示になる可能性
  • フルスクリーン通知が、Androidのウィンドウプロンプトによって隠されている可能性
  • Android版Firefoxでプロンプトなしでサードパーティのアプリを起動する可能性
  • プライベートブラウジングモードにおけるServiceWorkerキャッシュリークの可能性
  • JITコンパイルにおいて不適切なコード生成
  • Firefox 111、Firefox ESR 102.9で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox 111で修正されたメモリ安全性の問題

などが対応された。新機能については、それほど目新しいアップデートはなかったが、早めのアップデートをすべきであろう。