アサヒビールではRTDの新価値創造に向けた新たな取り組み「Asahi RTD INNOVATION 2025」をスタートする。消費者の情緒的価値に基づいた新ブランドやフルオープン缶技術を活用した新ブランドを展開することで、2025年までにRTD事業で600億円の売上を目指していく考えだ。都内では10日、4つの新商品をメディアに披露した。

  • アサヒビールがAsahi RTD INNOVATION 2025を発表した

チャレンジャーの戦略で立ち向かう

アサヒビールではAsahi RTD INNOVATION 2025の第1弾として「アサヒ GINON(ジノン)」「アサヒ グレフルマニア」「アサヒ まろハイ」「アサヒ 横丁ダルマサワー」をエリア限定で順次発売する。これらの新商品が本当に消費者のニーズに応えられているのかを見極めたのち、全国発売を目指すとしている。

  • エリア限定で4つの新商品を発売する

大人の気分にじっくり浸れる「アサヒ GINON」は東北エリアで3月22日に発売。甘くないものを好む大人向けジンベースの無糖柑橘サワーとなっている。レモンとグレープフルーツの2フレーバーを用意、希望小売価格は缶350mlが168円、缶500mlが229円。

  • 東北エリアで3月22日より「アサヒ GINON」発売。スピリッツで、アルコール分は7%

明るく開放的な気分になれる「アサヒ グレフルマニア」は九州エリアで4月11日に発売する。レモンフレーバーの次に人気のあるグレープフルーツを使用、果皮ごとじっくり漬け込み減圧蒸留する「旬果仕込み」によりみずみずしく果実感のある香りを実現した。スイート(アルコール分3%)、オリジナル(同5%)、ソルティ(同7%)の3種類を用意、缶350mlで希望小売価格は171円。

  • 九州エリアで4月11日より「アサヒ グレフルマニア」発売。こちらはリキュールとなる

やさしい気持ちになれる「アサヒ まろハイ レモンチューハイ」は中国・四国エリアで6月6日に発売。隠し味にみりんを使用したまろやかな味わいが特徴の穏やかでやさしい気持ちに心が満たされるレモンチューハイになっている。缶350mlで希望小売価格は171円。

  • 中国・四国エリアで6月6日より「アサヒ まろハイ レモンチューハイ」発売。リキュールで、アルコール分は5%

人々の幸せを願う「アサヒ 横丁ダルマサワー」は東海・北陸エリアで7月19日に発売。横丁で飲むサワーのようなやさしい味わいが特徴の缶チューハイになっている。特製レモン(アルコール分6%)、懐かしラムネ(同5%)、秘伝ウメボシ(同7%)の3種類を用意、缶350mlで希望小売価格は171円。

  • 東海・北陸エリアで7月19日より「アサヒ 横丁ダルマサワー」発売。品目はリキュール

登壇したアサヒビール 専務取締役 マーケティング本部長の松山一雄氏は「当社は長年にわたりRTD市場に挑戦してきたが、市場を席巻するブランドを創り出せていない」とし、その原因については「これまでビール市場で成功したやりかたをRTD市場に持ち込んでいた。お客さんも競争環境も違うので、それでうまくいくはずがない」と反省の言葉を並べる。具体的には、ビールでは強い単一ブランドを打ち立てて一気呵成にモメンタム(方向性・勢い)をつくってきたが、RTDではそれがうまくいかなかったとのこと。

  • アサヒビール 専務取締役 マーケティング本部長の松山一雄氏

そして「アサヒビールはRTD市場ではチャレンジャー。だからチャレンジャーの戦略が必要だった。開発プロセスを含めてバリューチェーン全体を見直していきます」と松山氏。3年後の2025年にゴールを設定し、全社横断型のプロジェクトチームを結成。今後、Asahi RTD INNOVATION 2025を推進していく。

  • 3か年計画のAsahi RTD INNOVATION 2025がスタート

「ありそうでなかったRTD、まったく新しい切り口のRTD、お客様の情緒的価値を捉えたRTDに焦点を当てて開発していきます。いま日本のRTDは基本的にはスペックドリブン。フレーバー、度数などで個性づけられていますが、情緒的価値で捉えたRTDは数少ない。そこにチャンスがあると思っています」と分析する。これに加えて、アサヒビールならではの独自価値も大事にしていく。たとえば『アサヒスーパードライ』の生ジョッキ缶で開発したフルオープン缶の技術も、ゆくゆくはRTDに転用することを考えている。

最後に松山氏は「市場を席巻する複数のブランドを創出し、お客様に新しい選択肢や価値を提供することで2025年までにRTD事業で(2022年比1.5倍以上の)600億円の売上を目指していきます。ボリュームからバリューへ。この事業がしっかりアサヒの収益に貢献できるような、明るい未来をつくっていきます」と力強く締めくくった。

  • 2025年までにRTD事業で600億円の売上を目指す

このあと、アサヒビール RTDマーケティング部長の髙橋利和氏が登壇。マーケティング戦略について説明した。Asahi RTD INNOVATION 2025で訴求する”お客様の情緒的価値”について、髙橋氏は「チャレンジしたい、気合が入る」「ワクワクする、面白い」「特別感がある、優雅で華やか」「親しみやすい、気楽で晴れやか」といったキーワードで紹介したうえで「開放感を求める声が高まっている今だからこそ、様々なシーンで”そのときの気分”にマッチする新しい味わいを提供できると考えました」と説明する。

  • アサヒビール RTDマーケティング部長の髙橋利和氏

また地域の選定理由については、次のように明かした。「アサヒ GINON」は甘くないRTDがよく売れる東北エリアを選定。また「アサヒ グレフルマニア」は、甘い味付けが好まれている九州エリアを選んだ。なお九州はグレープフルーツフレーバーの1人あたりの購入容量も首都圏に次いで高いという。「アサヒ まろハイ」はみりんの1人あたりの年間消費量が日本一の中国・四国エリア。レモンフレーバーの1人あたりの平均購入ブランド数も同地域が日本一とのこと。「アサヒ 横丁ダルマサワー」は、富士の毘沙門天だるま市で有名な静岡県富士市を含む東海・北陸エリアを選んだ。伊勢神宮にはおかげ横丁、名古屋にも賑やかな横丁があるとしている。各エリアで反響を確認したのち、基準を満たした製品については必要に応じて中味、パッケージを変更し、来年を目途に全国でも販売していきたいと説明した。

  • 4つのエリア限定で新商品が発売される