25日・26日に2夜連続で放送されるテレビ朝日系スペシャルドラマ『キッチン革命』のレビュートーク会が12日、東京六本木・テレビ朝日本社で行われ、濱口優(よゐこ)、八木亜希子、潮田玲子が登場。八木が自身のキャリアを振り返った。
戦前から戦後にかけての激動期に“食に関わる革命”を起こして日本を変えた2人の女性を描く今作。第1夜は、あらゆる家庭で豊かな食生活が営めるよう、現代でいうレシピ=“料理カード”を作った女性医師・香美綾子(葵わかな)の奮闘と、先輩医師・昇一(林遣都)との愛の物語。第2夜は戦後復興の荒波の中、暗く寒々しかった台所に光り輝くステンレスのダイニングキッチンを導入した日本初の女性建築家・浜崎マホ(伊藤沙莉)とバディ・本郷義彦(成田凌)の改革をエネルギッシュに描く。薬師丸ひろ子が壮年期の綾子に扮するほか、杉本哲太、石田ひかり、伊東四朗、筒井真理子、美村里江、渡部篤郎、中村アン、戸塚純貴、佐藤寛太、毎熊克哉、板尾創路、寺島進、北村一輝と豪華出演者が脇を固めている。レビュートーク会では、いち早くドラマを視聴した3人が物語やキャストへの感想、作品のテーマともいえる“女性と仕事”について語り合った。
八木は「キッチンのありようを変えることが、家族の形も変えていくんだと感じられました」と作品の感想を語ったあと「とにかく出てくる人が豪華で!」とキャスト陣に興奮し、濱口も「主役級のメンバーが脇を固めていましたよね」と頷いた。
劇中には女性がお茶汲みをさせられるシーンが登場するが、八木にもその経験があったといい「男女雇用機会均等法以降“総合職”ができたりして。それまでは、女子アナの先輩は3年で更新とかっていう契約でした」と、八木が働き始めた頃が男女雇用機会均等法ができて数年のタイミングだったことを振り返る。そして女性の社会進出に対して「壁として立ちはだかる人には、男性も女性もいると思うんです。理解してくれる男性もいれば、壁になる女性もいる」と作品の展開にあわせて持論を述べた。
“女性アナウンサーブーム”を築き、その後女優としてのセカンドキャリアを切り拓いた八木。当時のことを聞かれると「行き当たりばったりで」と自嘲気味に話しながらも「フジテレビを退職したあとすぐに映画のお仕事をいただいて、いろんなことを言われるだろうしハレーションが大きいだろうなと、引き受けるかどうか悩みました。でもその頃80歳以上の方に聞いたアンケートで『やらなかったことを一番後悔している』という結果を見る機会があって。あのときやっていれば、という“たられば”っていつまでも心に残ってしまうだろうから、せっかく誘っていただいたんだしやってみようと。もし失敗したとしても『はい終わり!』とスッキリできそうだと引き受けました」と回顧。
また、アナウンサーの仕事について「男女で違いのない職業なのに、当時は報道番組でも情報番組でもバラエティでも、アシスタントとしてフォローやサポートをするという役割が多かった」と話し、「今は女性キャスターが1人でメインを張っていますよね」と時代の変化に感慨深げな表情を浮かべる。潮田が素朴な疑問として「スポーツの実況を女性がされていることは少ないですよね。何か理由があるのかなって」と問いかけると、司会のテレビ朝日・武内絵美アナウンサーは「テレビ朝日では、女子マラソンの実況を女性が担当したこともありました。ただ、女性の声は高いから長時間の実況にはどうだろうという先入観がまだまだあるのかもしれない」と返答。八木は「やりたい人もいたので、テレビ局側もトライさせようとしてきたのですが、私の頃は実況向きの低い声になるまでに結婚して辞めてしまう人が多かったんですよね。小宮悦子さんも、当時久米(宏)さんから言われて、ニュースは普段より低い声で読む努力をされていたと聞きましたが、今は40代、50代になっても働く女性アナウンサーが増えたから、ニュースや実況を担当できるようになってきましたよね」と補足した。
いつかやってくださいと振られた武内アナは「今、1つモチベーションをいただきました。時代を切り拓いていくのは若い女性だというイメージがあったんですけど、私にもできることがあるかもしれないですね。勇気をもらいました」と新たな目標に笑顔を見せた。