ビジネスメールでよく使われる「長文失礼しました」について、正しい使い方をご存じでしょうか。
今回は、「長文失礼しました」の意味や、どのくらいの文字数のときに使うかなど、正しい使い方を紹介します。相手別の例文や、言い換え表現、使用時の注意点などもまとめました。メール送信時の基本ポイントもおさらいしましょう。
「長文失礼しました」の意味とは?
早速、「長文失礼しました」という言葉の意味について紹介します。
「長文失礼しました」とは、長文のメールや手紙を送る際に、謝罪の意味で使われる定型文です。
一般的にビジネスメールや手紙では、相手側への配慮から簡潔な文章が求められます。しかし、用件によってはどうしても長文の文章を送らざるを得ないケースもあるでしょう。
こういった場合に、相手の時間を奪うことへの配慮・マナーとして、「長文になってしまい申し訳ない」という旨の言葉を文頭や文末に付け加えるのです。
「長文失礼しました」の正しい使い方
ここからは、「長文失礼しました」の正しい使い方について見ていきましょう。
まずメールの場合には、件名または文頭に「長文失礼します」と入れるのが望ましいでしょう。ビジネスパーソンは毎日大量のメールを受信することが多いです。相手がメール本文を読む前に、このメールは長文であるとあらかじめ伝わった方が、今読むか、後でじっくり読むかなどを、相手が判断しやすくなります。
メールの文末に記載するときには、「長文失礼しました」の後に、また長い文を書かないことが大切です。
なお、長文の定義は10行程度といわれています。10行を超えてしまうと画面をスクロールすることになり、相手側に手間をかけてしまうためです。
手紙に書く場合にも、文頭または文末に使用します。文頭に使うときには、メールのときと同様に、「長文失礼しました」ではなく「長文失礼します」という文言を使いましょう。
「長文失礼しました」の例文
次に「長文失礼しました」という文言を使った例文について、メールの送り先ごとに紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
顧客に向けて使用する場合
- 「長文失礼しました。ご質問などあれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。」
特に顧客に対しては、謙虚で丁寧な姿勢が大切です。
相手側に冷たい対応と思われないように、「いつでもお気軽にお問い合わせください」といった文言を付け加えるといいでしょう。
取引先に向けて使用する場合
- 「長文失礼しました。お手数をおかけしますが、進捗があり次第またご返信をいただけますでしょうか。」
取引先に対しては、顧客向けと同様に丁寧な表現を使いつつ、時にはこの後のビジネスが予定通り進むようにコントロールする必要があります。
そのような場合は例文のように、相手からの返信を促すようなニュアンスの文章なども添えておくことがポイントです。
社内に向けて使用する場合
- 「長文失礼しました。よろしくお願い致します。」
社内のやり取りの場合は、相手が上司であっても、丁寧さを重視し過ぎるより簡潔な文言を心掛けるといいでしょう。用件が端的に伝わることが大切です。
「長文失礼しました」を使用するときの注意点やマナー
ここでは、「長文失礼しました」を使うときの注意点やマナーについて解説します。下記のポイントにはぜひ気を付けてください。
何度も同じ相手に使用しない
まず、何度も同じ相手には使用しない、という点に気を付けましょう。前述の通り、長文のメールを送ること自体がビジネスマナー的にはあまり良くないとされています。そのため、「長文失礼しました」という文言があったとしても、毎回毎回、同じ相手に長いメールを送ってしまうと、相手側にマイナスイメージを与えてしまう恐れがあります。
連絡内容が長文になる場合には、適宜電話や対面での打ち合わせなどで対応する方がいいでしょう。
文章が短い場合は使用しない
次に、当然ですが文章が短い場合には使用しないことです。文章が短いにも関わらず「長文失礼しました」という文言を使うと、「この程度の文章でさえ、読むのに時間がかかると見くびられているのか」と相手側に不快感を与えてしまいます。内容に関係なく事務的に入れている、と思われてしまうこともあるでしょう。
そのため、前述の通りメールの本文が10行以上になった場合を目安として、そのときだけ「長文失礼しました」を使いましょう。
「長文失礼しました」の別の言い方
ここからは、「長文失礼しました」と同じ意味を持つ、別の言い回しを紹介します。参考にしてみてください。
長々となりましたが
1つ目は、「長々となりましたが」です。具体的には「長々となりましたが、〇〇の件について、なにとぞよろしくお願いいたします」といった形で使います。「長文失礼しました」に比べると、「長々と」の方が意味合いが広いことと、お詫びの文言がない分、ややカジュアルな印象を相手に与えます。
締めではなく、後に言葉を続けたい場合には、「長文失礼しました」より「長々となりましたが」という表現の方が使いやすいでしょう。ただし「長々となりましたが」であっても、やたらと長文を続けて記載するのは避けましょう。
長々と失礼しました
2つ目は、「長々と失礼しました」です。「長々となりましたが」と同様に、「長文失礼しました」に比べると相手側にややカジュアルな印象を与えます。
「長々と失礼しました」は、「長い文章になってしまい申し訳ない」という意味以外にも、「メールを読む時間を取ってしまい申し訳ない」というニュアンスも持ちます。
訪問時に長居してしまった場合や、電話が長引いてしまったときなどに、口頭でも使うことができる表現です。
乱筆乱文にて失礼いたしました
3つ目は、「乱筆乱文にて失礼いたしました」です。本来は手紙での締め言葉として使われるものであり、字が雑で読みにくい・まとまりがない長文であることを謙遜してお詫びする言葉です。
メールを送る前に気を付けるべき基本のポイント
豆知識として、メールを送る前に気を付けるべき基本のポイントも紹介します。以下の点について注意しましょう。
メールの内容は端的で読みやすいかを確認する
1つ目は、メールの内容は端的で読みやすいかを確認することです。
メールは用件が簡潔に記載されており、読みやすいことが重要なポイントです。具体的なチェックポイントとしては、件名はメール本文の内容が端的に伝わるように書かれているかを確認しましょう。どうしても本文が長文になってしまう場合でも、件名を見れば何に対するメールなのかや、至急確認すべきなのかなどが一目で分かるように心掛けます。
またメール本文は、改行や箇条書きなども活用し、相手側が読みやすいように工夫されているかをチェックします。
送る前に声に出して読み直す
2つ目は、送る前にできる限り声を出して読み直すことです。メールの内容を声に出して読むと、誤字脱字や固有名詞(会社名や名前など)の誤りに気付きやすくなります。また、敬語の使い方や文章としておかしなところ、冗長でわかりづらい箇所などについても、声を出すことによって確認がしやすいでしょう。
声を出すのが難しい場合でも、送信前に必ず見直しをするように癖づけましょう。
「長文失礼しました」を適切に活用しよう
ビジネスメールは、なるべく端的で相手側にとって読みやすい内容であることが重要です。そのため、長文はあまり好まれません。
しかし、やむを得ず長文を送らなくてはならないこともあります。このような場合には、今回紹介した「長文失礼しました」「長文失礼します」といった文言を適切に活用し、相手側になるべく不快感を与えないように心掛けましょう。