デロイト トーマツ グループはこのほど、「人事制度・報酬調査2022」の結果を発表した。調査期間は2022年7月~9月。国内資本の企業を中心に、196社から有効回答を得た。
全産業における基本給・諸手当・賞与を含めた年間報酬額の中央値を調べたところ、「Senior Manager/部長級」は1,091万円、「Manager/課長級」は882万円との結果に。また、階層間での報酬格差について内資企業と外資企業で比較すると、内資企業は階層間格差が全般的に小さく、特に賞与で顕著な違いが見られたという。
直近3年間における賃上げの検討状況を聞くと、「引き上げを実施した」は65.3%、「具体的な計画がある」は8.2%で、賃上げを実施・具体的な計画がある企業は計73.2%に上り、うち72.9%が「全体」を対象に賃上げすると回答した。
同調査では「特に近年は初任給見直しや若手層の処遇見直しなどが進められてきたこともあり、内資における階層間格差の小ささもあいまって初任給・若手層を限定した賃上げは難しくなっていることがうかがえる」と推測している。
年齢別の賃金カーブについてみると、「55歳以降」の報酬水準の落ち込みがなくなりつつあることが明らかになった。また、定年延長企業が2割を超えたほか、再雇用者制度導入企業でも定年前と同水準で処遇している企業が15%となるなど、「高年齢層の処遇に変化が生まれつつある」という。
若年層については、初任給見直しや処遇見直しなどが進み、会社間の水準差は小さくなった一方、企業間で競争力の差が生まれ、28歳以降の中堅世代では報酬水準が拡大していることが判明。同調査では「人材獲得やリテンションで課題を抱える企業には報酬水準の検討の必要性がうかがえる」としている。